「サルート・オブ・ザ・ジャガー」デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ監督 1989年
この映画は凄くいいです。なんというか魂に響く映画ですね。一部の人間には支持されているのですが、有名ではない作品です。何が良いのかというと、最後のせりふが最高にいいのです。ジョアン・チェン(A)もすごくいいですよ。なんと言っても使い古されたルトガー・ハウアー(B)も最高にかっこいいです。闘士たちの話なんですが、いつの時代でも結局はいいのです。近未来というだけで、別にローマ帝国でも同じような話はあったと思います。
この闘士たちは賭け勝負をして賞金で渡り歩くのです。その一座が東洋系のAがどうも気になるのです。ここはなぜだか判らないのですが、このゲームは魅力的なゲームなので、好きだからでいいと思います。
そしてBの率いる一座はどう見ても弱い。女もいるし、けが人もいるようなどさ回りの一座です。しかしBは強い。昔の国の代表選手です。今はどさ回り。敵にAが加わります。Aはアジアの代表みたいな役でアジアの強さ、存在感を示しているのです。まあこの時代2200年くらいだったか、このころに国境も何もないと思いますが、人種的な問題はあると思います。Aの強さと闘争心は凄いのですがBにやられてしまいます。そして負け。これが彼女最後の負けです。この映画でジョアン・チェン好きになりましたが、この映画以上の映画はないし、のちにレズビアンと知ったときはちょっとショックが大きかった。映画監督もやってますよね。まあアジアの役者のはしり、みたいな存在でしたから。
強さの階級はあるのです。権力の階級も存在して、この両者は密接な関係です。Bは昔、この密接な関係を壊したから除名されたのです。しかし強さは本物。たぶん俳優は各大陸の象徴なんでしょうがいろいろな人種で一座は構成されております。Aが仲間に入りたくてついて回りますがフォワード役のやつは大怪我はしてますがBは仲間だとまったくAを相手にしません。仲間は見捨てない、これが戦いの基本です。しかし立てなくなったとき、その仲間から外れることになります。そしてAを仕方なく指名。この一座は弱そうですが、実は仲間意識が強く、信頼しあってます。そして何よりBがセレクションしたメンバーなので基本的には強いはず。Aの初戦は先制パンチを食らいますが相手のフォーワードを捕まえて耳を食いちぎり、立てなくしてそのままひとり戦力を減らします。このフォワードだけは手も使えるし、何でもできるのです。というより、手しか使えないのですがその分密着した攻防があります。今思うと「ハンニバル」(これ結構好きです)よりもずっと前に(多分「羊たちの沈黙」よりも前ですよね、この映画)こういうシーンあったんですね。
途中のどさ回りの試合でBは片目を失います。これは致命傷。しかしAは選抜チームと戦いたいという願望をBに打ち明けます。Bは却下するのですがいつしか自分も戦ってみたいと思うようになります。
そして階級と力の象徴のレッドシティに。そこは砂漠の下深く、核などのシェルターだったんでしょう。
挑戦資格があるかどうか、審査されるのですが、今までの戦歴は充分、しかしBが元代表だとばれてしまいます。そして拒否されるどころか、徹底的に抹殺せよ、と指令が代表チームに伝わります。本当に権力の階級のほうは嫌なやつらばかりです。しかし観客は興味がない試合になります。結果がわかっていると思っていたのです。Bたちの負け。大方の予想を覆し粘ります。チームの信頼がBの復讐というところでまとまったのです。Bがつかまりますが(ここで必要以上に痛めるために捕まえさせた)ほかの4人がぎりぎりのところで殺されそうになっても相手を逃さないので、Bのところに殺しに行くメンバーができないのです。そのうちに試合は長引き、観衆も集まってくるし、捨て身の挑戦者に対して惜しみない応援が続きます。最高にかっこいいシーンです。しかしBのところに向うのエースを行かせないようにBの仲間の女は捨て身で怪我などかえりみずに体を張って止めましたが怪我でそうしようもなくなってしまいます。そこでマネージャー役の年寄りが代わって出場するのです。それでなくても弱いチームのメンバーに年寄りが?しかし成り上がる魂と一旗あげようという魂、勝負にかける魂が奇跡を生みます。相手は怪我したら交代してべストの状態で戦うのですから判官びいきに観客がなってもなんらおかしくないですよね。もう興奮のるつぼと化します。Bを凄い。押さえつけてBを殺しに来させようとした抑えた男の兵隊をこの老人の仲間の兵士に逆に抑えてくれと頼みます。完全仕返しですよ。「目には目を」戦いが始まります。老人がひとり抑えていれば、4人対4人ですから老人だなんて関係ないんです。そしてBは相手のエースめがけて戦いに行きます。そして打ちのめす。そうなると3人対4人。3人が相手3人を抑えていればフォワードは一人残ります。ゆっくりとゴールできるわけです。
そしてまだ若い3人が代表にスカウトされます。Bはいずれ死ぬだろうと相手にされません。あの傷ついた女と老人とまた新しいどさ回りのチームを作ります。
「三文役者(さんもんやくしゃ)」 新藤兼人監督 2000年
殿山泰司さんの話ですが、まあ映画になるのかな。新藤監督が自分自身を省みるにもいい題材だと思います。先日この監督の娘さんの映画も「LOVE・JUICE」も見たばかりですしいい機会だと思います。しかしはじめに後半の人生を付き合う人との結婚の場面ですが