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次の瞬間、その手毬が川を流れてしまう。土蔵の女が拾い土蔵へ誘おうとする。女が土蔵に入ったらそこから先生が出てくる。先生に話を聞くと、近くに子産み石があることを教えられる。石をなぜると子供ができない人にも子供ができるようになる効能があるという。すると夢の中で母と関係している少年が頭の中で浮かぶ、しかしそばで手毬をついた女がいるのだ。夢から覚めても夢の中のように、手毬をついた女はいる、追いかけても近づけない。それを妨げている川の向こうの母にも近づけない。こんな中途半端な様子を夢の中の世間の人は笑うのですが、どんな風に挑発されても(相撲取りのかっこうした姿はさすがに唖然としますが)そのまえで母の首が手毬歌で大丈夫というのです。しかし母の首が持っていかれると、少年は追いかけ、世間と戦う。もうイメージの世界ですよ。その夢の中の夢の中で、母が少年に向かって「お前をもう一度妊娠してやったのだ」と、ほかの兄弟たちを引き連れて言う。そして母との強引な結婚式が行われそうになると、あせってどうしようもなくなると目が覚めて子産み石の部屋で寝ている自分に気がつく。女の入っていった土蔵、そのあとにもう一度訪れた土蔵には子産み石があり、そのなかで母の印象が堂々巡りをして、現実かうつつかわからないまま砂丘(母なる大地)に来ると今度は先ほどの兄弟たちが堂々巡りをして遊んでいるのだ。生まれ変わった自分もまたその次の自分もあのように回り続けるのだ。これは「神曲」の最後にそっくり。母なる大地から生まれた人間は狭い環境の中で回り続けるだけです。そして、そう人生は繰り返す。そして魂は消えないのである。次にどの肉体を選択するかが問題なだけなのである。

面白い映画ですよ。母からの自立という単純ではないと思います。輪廻転生する魂がまた同じことを繰り返すということです。イメージがつかめないとそのまま不思議な映像だと思って終わってしまうタイプの映画ですね。最近ニューマスターが出たらしいのですが劇場ではぼかしなしでしょうか?このテーマはもう飽きましたので次に娯楽映画でも観たいですね。しかし気が楽な映画ではありました。わかりやすいし、イメージが非日常的で映画的だと思いました。

 

「世界残酷物語」グァルティエロ・ヤコペッティ監督 1962年 イタリア

この映画BOXで入手しました。まあ実は見たことないのです。「モンド」系「ジャーロ」系は一応毛嫌いしているんですが、とりあえず見ておこうと思いました。主題歌最高に良い曲ですしね。

まあ「やらせ」というのは今では定説ですし、楽しもうと思います。しかし40年前の景色、人となり、は嘘はないと思います。またジャケットが良いセンスしてます。

内容は、こんな映画だったのか、という程度。ぜんぜんショッキングではない、というものです。実際に今の犯罪の方が異常すぎると思います。

すごく感じたのは人種がいろいろといて東西南北に広がり、さらに貧困の差があるとこんなにも面白い違いが出るものか、ということです。問題は貧しい人が貧しいと感じているかで、それが富裕層の犠牲になっているのなら仕方ないのですが、違うなら彼らの生活はそのままにしておきたい、と思うのです。富裕層の犠牲では原爆実験のシーンでしょうか。

あとはBGMがまったくうまくかぶせてあり、雰囲気の強調がうまいです。そして良い音楽がかかりすぎていることかな。

世界残酷物語という感じの映像ではないです。残酷な話はもっとあるような気がするのですが時代が変わったのでしょうか。今は大企業、国際優良企業の犠牲になっている残酷物語とかいくらでもありそうですが。まあ次元が違うのでしょう。日本の場合は金融物語とか作れそうです。実際昨今UFJの危機と言われてますが、つぶすなら早く、ですね。みずほ、りそなは大丈夫なのか、という感じもしますし、変な時代です。すくなくてもこの映画の頃は残酷そうでも生活で必要な残酷な映像のような感じはします。ナチスの映像がないのは決定的におかしい。しかしこの映画で出てくるアジア、オセアニア、アフリカの映像は良い感じです。日本を含めて、本当にあるのなら行ってみたいですね。しかしさすがに地元だけあってイタリアに関しては良い感じです。さらに最後のポート・モレスビでの飛行機神話を作り上げた現地人の話はなんか夢がある感じさえします。

主題歌は流れてこないのですね。主旋律しか流れてこなかった。つまらない。

「セーラー服と機関銃」 相米慎二監督 1981年

静かなタイトルバックで良いです。

機関銃をぶっ放すシーンも無音で静かな感じをうまく利用して激しさを強調しておりますね。この映画自体アイドルを作る目的とそのアイドルをスター化する路線ですが映画自体もすごくよく出来ていると思います。たとえば、ボスの死んだあと、組長に高校生を迎えるとき、雑踏(高校のグラウンド)のなかで中心にひとり前に進み出るのが薬師丸さんです。本年の最初に映画をこれにしたのも正月に薬師寺に行った関係でしょうか。まあ関係ないのですが、とにかくこの映画、アイドル映画なのですが、意外ときわどい言葉ややり取りが出てきて観ているこちらがびっくりいたします。実はリアルタイムでは観ておりません。今だからこの映画の面白さがわかったのかもしれません。

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