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「どうぶつ宝島」池田宏監督 昭和46年3月

「怪しい船乗り」が来たら教えろと怪しいやつに言われてもねえ。とにかくこの映画もねずみがかわいいのです。ねずみっていつもかわいい役やりますね。たまに人間が出てくるんですが男の子(A)と女の子(B)という風に考えましょう。この怪しいやつから箱を預かり宝島の地図を入手。

一度宝島を目指して航海に出ますが、途中海賊に捕まります。これもみんな動物。そして海賊島に連れて行かれて、奴隷商人に売られ、かつ宝島の地図もとられます。バーブーはどうするのでしょうか?(小さな赤ちゃん、人間も一緒に船出してしまったのです)Bはフリント船長の孫です。

しかし海賊にまた地図を取られ、海賊の中で抜け駆けするものも出てきて海賊同士の争いの中、どうにか海賊同士の仲間割れを利用して海賊をやっつけます。あとはABのロマンティックな船旅。しかしそうはうまくいきません。嵐に巻き込まれて船はばらばらに。そしてABともに離れ離れになってしまいます。

まあなんだかんだ言ってもABとともに海賊も宝島に来てしまいます。そこでまた一波乱あるのですが、ABともに少年少女のはずですが今のアニメと違って、笑いが少ないのです。どこか大人びているのです。これが時代というものでしょう。しっかりしていますよ。

そして最終的にAが人質になりBもあきらめて宝の案内図を渡すのですが、そこにか隠した手段があるのです。まるでカリオストロと同じようにスイッチがあり、海賊たちはそのスイッチを押して爆破で吹き飛んでしまいます。その爆破とは隠してある、財宝をつんだ船が湖の中から出てくるのですが、その湖の水の水門を開ける役目をします。それでABと優しい船乗りたちはめでたし、めでたし、ですぐに終わります。まああっけないのですが子供が動物の喧嘩を見て楽しむように作ってあるのです。ドタバタですが。かわいい映画ですよ。

 

「富江(とみえ)」 及川中監督 1998年

邦画が続きますが、これはホラーとはいえ気楽です。漫画が原作なんで、少しいい加減なところは感じるのですが、すごく傲慢な女が出てきてその女Aが思った相手のすべてを取ってしまうという設定です。この人物は漫画の原作者の特典映像にあるのですが「昔女性恐怖症だった」ことから作り上げられた人物像らしい。その人物の名前がこの映画の題名です。しかしほとんど顔は出てこないで、嫌がらせをされる女のほうが中心で進行します。ですからこの女性Bが主役でしょう。中村麻美です。まずはこのBの近くに男の子Cが引っ越してきます。そしてCは何かを育てているのです。なにかこの泣き声が気持ち悪いのですが、「憎悪」とも呼べるような抽象的なものでしょう。映画では生き物ですけど。

Bは楽しそうな外見ですが、友人関係もギクシャクしているし精神科の睡眠療法にかかるくらい気の小さな女の子です。専門学校(写真だと思う、関西から一人上京、彼氏と同棲)くらいなのでしょうか。3年前の事故で記憶障害にはかかっております。何の事故かということですが。

ともあれ、このころから嫌がらせが多くなります。自転車壊されたり、真夜中の泣き声や無言電話など。

そして刑事が来て、事の真相というか事実関係がわかってきます。3年前Aがある学校に転校してきてクラスが崩壊したとのこと。そして逃げるようにAが失踪した。その先がBのいるクラスで仲良しになったんですが、Bの彼氏に殺されたらしい。しかし遺体がない。この理由を求めてはこの映画はだめなんです。Bが彼氏をAに奪われそうになり、最後まで理由を探していましたが、理由がないところがホラーだということ。ただ、何回も生まれ変わったり、寄生虫のように乗り移ったりするのか、Aは何回も殺されている記録があるのです。今回は冒頭に出てきた変な生き物を男が飼っていましたがそれがいつの間に大きくなって「富江」になったのです。菅野さんかなり、気持ち悪いです。でもかわいい子らしいですね。まわりで好きだという人結構います。初め「えっ」と思いましたけど、かわいいのでしょう、と思うことにしました。そして、かなりの驚きはあるんですが、この男はABと同級生だったんです。そして精神病院から脱走したらしい。彼自身も自虐の性格があるんですが(それが「富江」の命令かもしれませんが)。彼が言うのは学校のみんなでAを殺してばらばらにしたんですが、Aの首が土の中で生きていたとのこと。これは実写で見たかったです。今モラルの問題があるのか、ばらばらにするシーンとか少ないですよね。昔ホラー映画を見ていなかったので、昔規制される前の映像というのは見てみたい気もします。ホラーはここ最近見るようになってしまいました、だって怖くないからね。怖いのは怪談系。特にうらみとかで死んだ霊の話。確かに生首とか出てくるんですが、作り物とすぐにわかるし、結局、怖さというのは不条理の中にも存在しますが、自分の罪悪感と対になっていると思います。悪いことをしていないので、怖くないんじゃないかと思います。人をだましたり、早い話、殺したりしているとこういう映像でも怖いんでしょうが、私はまったく怖くないですね。しかしかなりいいつくりの映画だと思うんです。そして監督のセンスもいいと思うんですけど、なにかホラーオタクではないでしょうかね。

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