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実際にACの作品に出版の話が持ち上がります。Cは一貫して拒否。しかしAの漫画が出版されてからCの態度が急に冷たく変わります。サイン会の話とかでも切れてしまいます。それはCはAを好きで所有したいからなんです。所有というよりもずっと一緒にいるということを優先したいからなのです。しかしAは出版とかサイン会とかでCから離れていってしまう。これを敏感に感じているのはC.でAは普通の生活と思っているのです。結局Cは甘えん坊で依存性が強いのです。そしてCの方から「キスしてくれないの」と強引に奪うあたりからAの気持ちも冷めていきます。深入りしすぎた感じ。Aは基本的に普通の生活を普通の男とできるタイプです。Cはできないタイプなのです。

「私たちって腐った果物みたい」とCが言うのが印象的。食べたくても食べられない、つかみたくてもつかめない、みたいな感覚でしょうか。そしてAが無言のままCを無視したときCはAに戻ってくるような合図を出して戻ってくるときに飛び降り自殺をします。実にAに見せているのです。Aは拒否した自分のせいかもしれない、と思うことでしょうし、実際にそう思わせるのがCの目的。Cは死んでAの頭に一生残るのです。呪縛。

並行するABの後日談ですが、BがAにAがCに抱いたような同じような気持ちになるのですが、Aは拒否します。Cとの関係が尾を引いてます。Bは健康すぎて相手にはならないと思うのでしょう。Cはその点不健康そのまま、異常性ありでしたから。

ABは最後にCの自殺した場所に向かいます。ここでCの霊と出会いAの本当の気持ちを伝えました。「好きだ」ということ。Cは「私が死んだのはあなたが別れようと言ったからじゃないの、それはあなたが考えて」といって消えます。最後にすべての思い出を焼こうとするAに対して「これはとっておいたら、つらい思いでも思い出だから」といって捨てるのをやめさせます。そうですよ、思い出は大事だモンね。

「にっぽん昆虫記」今村昌平監督 1963年

まずは、妊娠のシーンから。家で出産してますね。人間だけ人の手を借りなければ出産できないというのも実はおかしいことですもん。大正7年のことです。

次は大正13年、すでに子供が2人います。みんな親が違うという話です。山の神様に献上するこけしを夫は作っていますが、妻はほかの男とまだ子供作りをしております。多分、この夫との子供は一人もいないと思います。しかし子供戸籍上で育ての親になついています。これって戸籍が入っていれば実の親なんでしょうかね。出生届も本人が出してますから。

昭和17年、戦争中。子供も大きくなって工場で働いてます。一番初めの子供は女の子でしたがその子が地主のところに嫁(実質奉公)に行くことが急に決まりました(女の子をA)。

ここの家は「出雲系の神」を信じているみたいです。地主の三男坊ですので家の中でも地位は低いです。そして奉公のみということで嫁いできたのですがそんなわけにはいきません。実際このAは嫁ぐ前の日まで父と寝てました。近親相姦かどうかは定かではないのですが、多分父はあまり性に興味がなく山と子供を育てることに興味があるタイプだったのでしょう。しかし奉公のみのAが子供ができたので実家に帰されます。実家では地主に食い込むためのAが返されて予定が狂ったというし、子供は増えるしでめちゃくちゃな人間関係です。生まれた女の子を生かすか殺すかというところでAは生かしてほしいといいます。今の少子化とはまったく違う世界です。昭和18年生まれ。子供をBとします。この子がお乳を飲まないので乳が張って痛くなるので父親が代わりに乳を飲みます。すごいですね。まったく羞恥心がないというか自然なんですよ。

そして昭和20年8月。アメリカの主導の「農地改革」地主の没落。Aは工場で知り合った上司とできてしまいます。

しかし労働組合運動を激しくまじめにこの上司とやっている姿を見て上司は引いてしまいます。Aはまじめに尽くしているんです8が、その情熱が強すぎるのです。そして別れ話。昭和24年のことです。

その後も男と転々として幸せになりきれません。Aは男好きのする顔なので、かつ情熱的ですので男がいつもできるのですが、その激しさで離れてもしまうのです。その挙句、新興宗教の門をたたきます。なんか仏教系。昭和26年のことです。赤線で働いているんです。そんなこんなで昭和30年になってしまいました。新興宗教にはまだ入ってます。そして旦那を見つけたら売春宿の女将を警察に売ります。そして顧客名簿を持って独立しようとします。この時点で最後にAは殺されそうな予感。前に見たんですが内容は忘れてました。

そして現天皇の結婚式パレード。観てみたいですね。そして裏切った売春宿は売りに出てます。旦那は買おうというのですがAが少し躊躇します。「賭けに勝った、お前の勝ち」といわれたのが気になったのでしょうか?とにかくAの人生はいろいろな勝ち負けの人間を見てきた人生です。しかし大事な取引に体を提供する女の役をAに押し付けられ、賄賂も立て替えさせられます。実際にここに愛情があるのか、疑問に思い始めます。

そして整形までさせてかわいい顔にして商売させます。でもね、因果応報。自分がしたことは自分もやられます。若い子に裏切られて裏で商売をされます。それがわかったとき、顔を壊してやるというときの迫力はすごい。確かに整形手術をする金をだしたのはAです。

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