それは置いておいて銭湯のシーンはすさまじいですよ。さらに次の日の朝の掃除。大変そう。人間の垢は脂ですから、排水溝とかも掃除怠ったらいけませんよね。しかしなんというかAB二人の動きが仕事をしているように見えないんです。役者なんだから仕方ないとおもいますがどう見ても力仕事や銭湯を経営しているようには見えない。まあどうでもいいことですけどね。雰囲気とかでできる仕事ではないことは事実です。
Aの母という浮浪者が出てきますがBが勝手に阪神大震災の被害者ということにします。その映像が小川真由美さんが演じるのですが、ちょうど先日見た「復讐するは我にあり」の彼女からすると痛ましい感じで変わってしまったなあというのが実感で、女の辛さ、が出てしまいます。女性は老けるなあと。しかし「復讐するは我にあり」の浜松のシーンと同じような展開になるとはねえ。偶然ですかね。こちらは男のほうが自殺して終わります。
どちらにしても指名手配で逃げているというのは尋常ではない気持ちがあるんでしょう。逃げるほうは動けるけど、女は動けないケースが多いのでどちらの映画も良い関係になってしまうみたい。まさにどちらの映画も少年時代にトラウマがあるわけで、子供の育て方に問題があるかもしれないし、そうならざるを得ない環境も問題でしょう。しかしこの映画ではあの浮浪者が助けてくれると共に、Aの恋愛も終わりました。現実に戻ったほうが良い、という感じの終わり方ですかね。あまり面白くない映画のような気がします。
「ミッドナイト・エキスプレス」 アラン・パーカー監督
この監督との出会いの映画だったと思います。映画は一期一会という言葉は本当に当てはまると思うのですが、一番初めの印象で何か残らなければ、二度三度と観ないでしょう。
もちろん、内容を知ってますし、忘れられないシーンも数多いので、今見ても再確認程度ですが、また久しぶりに見ました。内容が重いので、何回も観たいと思わないので、好きな割りに回数は観ていない映画です。しかし今回もまた、この映画を見直してしまいました。素晴らしい。
1970年のニクソンがトルコをを嫌っているときのイスタンブールが舞台です。空港でハッシッシの密輸をやろうとしている若者のシーンが心臓の鼓動のようなリズムとともに映し出されます。もうすでに、かなりあせっているのでやめれば良いのに、と思ってみているんですが、あせっている割に最後の度胸で行ってしまいます。たぶん厄年とか厄日なんでしょう。恋人と一緒のときに黙ってやるのは無謀です。それも素人なんで、かなりあせってます。つかまるまでの描写はこちらがあせるくらい、もっとしっかりしろよ、と思うほどです。そして売人の洗い出しに協力するために街に連れて行かれるのですが、ここでおとなしくしていたらどうなっていたでしょう?普通はここでおとなしくしているものです。犯罪捜査の協力ですので、悪い印象はなくなりますよね。しかしこの若者(Aとする)は逃げてしまうんですよ。いくらなんでもパスポートのなく何もない状態でのイスタンブールは危険です。つかまってしまいます。この間「まずいよ」と心の中で叫んでみているのは私だけでしょうか。何で逃げたんでしょう。甘いのです、考え方が。そして裁判になるにつれて父親がやってきます。結果は4年2ヶ月。密輸となるらしいので(本人にはその意思はなくても国外に持ち出すということは密輸)仕方なく、父は帰っていきますがこの別れのシーンと最後の再会のシーンは対になって感動を呼びます。
ミッドナイトエキスプレスとは脱獄という意味です。脱獄さえ出来ればトルコなら(ヨーロッパなんですが)すぐに偽造パスポート作ってギリシャに逃げることが出来るらしいのです。まあ父の言いつけどおりに黙って刑に服します。その間、人種的偏見や、ホモ、精神的にだめになっていくものなどを見ていろいろと考えさせられます。その中で回教寺院からローソク台を盗んだ男が何回も刑務所の警官のお世話になり、脱獄も試みますが失敗して睾丸をなくします。つかまったときにひどくぶたれてヘルニアをおこしてだめになったのです。憎しみを糧としてまじめにほかの人と生きていきますが、その人が少しホモっぱくて(仕方ないかも)それは拒否しながらも前向きに僧侶みたいに生きていきます。この相棒は先に釈放になり、睾丸をなくした奴は病院から戻ってきます。そこでこの監獄の建物の青写真をもらったらしい。脱獄を薦めますがAは拒否して、残り53日。このときに最高裁の判決が下り(判事が控訴していた)刑は30年と決定します。ここでぶちぎれて、脱獄計画に参加するようになり、どうにかトンネルを進めるのですが、出口にふたはしてあり、どうしようもないときにトルコ人の囚人なんですが見張り役みたいなお茶配り役の奴に(Zとする)見つかり、睾丸なくした奴が罪をひとりで3人分かぶっていきます。
残りのふたりは、このZに仕返しをしたく、お金を盗み(Zはお金が命のようなずるい奴)で燃やしますが、Zは地元の人間なので、仕返しをします(「眼には眼を」もすごい仕返しの映画でした)。マックスというもうひとりの監獄に長くいる奴を、ハッシッシの密売で摘発します。無実の罪です。そして警官に連れて行かれるのですが、そのときにAの怒りは爆発(身代わりになってくれた睾丸をなくした奴の気持ち、今までいじめられた怒り、そしてマックスを無実の罪で陥れた怒り)すべてが爆発して、Zを殴り殺します。最後は舌を噛み切ります。そしてAも特別収容所に収監されます。時計は7ヶ月進んでいます。本当ならもうとっくに出られた時ですね。しかしそこは半分精神病院のようなところでマックスがいるのですがお互いにもう気力なく呆然として、かつ、かかわりは避けたいのでしょうが気づきません。Aはいつしかお祈りの輪に加わり呆然としてます。