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そして冒頭のレストランですが黒人のおびえ方はすごいですね。さらにFBIに話し掛けられた黒人はあとで被害を受けます。この事件全体は結果としてエリートの正義感で解決のきっかけをこうして作り始めるのですが、解決したんでしょうかねえ。しかし被害を受けた黒人達はかかわりを持ちたくないんですね。すごいのは、証言に立ってくれた黒人少年がいたにもかかわらず(かなりの勇気のある少年です)裁判は負けたのです。FBIが負けたのですね。この映画の中に関して言えば、この裁判で黒人達もかなり切れましたし、KKKのメンバーも焦りからか迫害を増します。FBIもかなり決意を固くします。転機ですね。次にKKKの幹部の妻が裏切ったときにこの3者の緊張は高まり頂点を迎えます。FBIが実力行使です。どうするのか?たたきあげの手法が使われますが、おとり捜査です、それが違法かどうかの議論は別としてここから畳み掛けて面白くなることは事実です。本当にいいですよ。黒人の知り合いに黒人の仕返しと思えるような演技をさせ、KKKの幹部を脅します。すると当然、誰かが裏切ったと思いますね。先ほどのようにKKKは緊張が頂点ですのでお互いを疑い始め、たたきあげのFBIがわざとほかのメンバーがいるところに落としやすい犯罪に加わったメンバーの一人に約束したかのように訪ねればOKでした。さらにはこの訪ねた男(自分でも周りから疑われたと思っているので)にKKKの裏切りの儀式と思わせればすみます。すぐに自供しました。あとは芋づる式で逮捕できたのです。しかし最後のほうで「見てみぬふりをしたものすべては罪」という言葉が出てくるんですが事実だと思います。感想としては、黒人の迫害場面で黒人聖歌がかぶるシーンは秀逸です。次はアングロサクソンアメリカから流れでマイケル・ムーアを見てしまいそう。

「三毛猫ホームズの黄昏ホテル」大林宣彦監督 1998年

早く洋画に戻らなければならないのですが、今回も邦画にしました。冒頭の根岸さんの「どこもかしこも不景気な話で、なにか、ぱぁーーと明るい話はないの」というのには笑いながら同感です。自分のうちだけ寝正月だなんてみっともない、という感覚はわからないですけど。

しかし話は殺人事件に急展開するのですが、とにかく、変な映像だと思うんですが、というよりセットというのが見え見えなんですが、慣れてしまうと心地よくなるという不思議な世界です。この監督の「HOUSE」もそんな映画でした。ここでも負けず劣らず、美人、美男子(これは意外とこの監督では少ないかも)が次から次と出てきます。そして途中で気がついたんですが、この映画を見たきっかけは「あぶさん」つながりの三毛猫ホームズだったんです。

10年前に殺人事件が起こったのですが、その現場のホテルにそのとき泊まっていたものが招待されます。余計なものもいるのですが、その辺は楽しくするためです。役者では宮沢さん竹内さんあたりがいいです。ところがまた今回も殺人事件が起こるのです。さてそこで陣内さんの活躍、かな?

まあ都合よく、登場人物がクロスして知り合いになったり、このパーティーに参加したりで面白くまとまっているのですが、最終的な原因はやはり愛でした。それもずっと昔の愛です。それが子供や他人を巻き込んで今に至るまで尾を引いてました。一番は死んだホテルの主人が自分の子供を自分の子供ではないと感じるところから始まります。しかし、自分も不倫をしているんですが、相手(妻)には不倫を許さないという男の勝手な考えで事件が大きくなり、殺人までに発展するのです。結局、大きな事件になると関係する人が増えて、その人たちも自己都合はあるのです。それらが密接に絡んで変なことというかドラマになるのです。ですから解決は猫がしなければなりません。ということはないのですが、人間関係のしがらみがないのは猫くらいです。

映画とすると、こういうの大嫌いという人がいるのはわかります。アングルとかセリフとか、大道具が作り物と一見してわかります。しかし、その作り物の上で見世物としての役者、見世物を作っている監督という観点で見ていると、役者も監督もがんばっているなあと思える作品だと思います。何気なく見ると最後まで見てしまう、そんな映画です。しかし南野陽子さん、美人ですね。歌は一曲も知らないのですけど。

 

「水の女」 杉森秀則監督 2002年

はじめのシーンの舞台どこでしょうか?やけに海が瀬戸内海ぽいのですがよくわかりません。そして父親、恋人をなくしてひとりになった女(A)が富士山の近く「天下茶屋」に向かいます。ここも知らないのですが、富士山の見え方からすると富士川沿いでしょうか?しかし樹海が映るんで本栖湖のあたりかな。まあ樹海ってアイルランドの森に似ていますね。今回はじめて気付きました。そこで変な女と知り合いになり、気持ちが落ち着いて帰ってくるのですが、改めて銭湯の大きさに気が付きます。そこに見知らない男がいます(Bとします)。このBは火が好きな男でAは水の女、ですからABで銭湯が再開できるという安易な流れです。「はじめてあった人と仲良くしたいなら何も聞かないこと」と富士山で会った女に言われたのですがAはBに何も聞きません。富士山というのは銭湯の背景画というつながりがあったのです。AがBに好意を持っているのは歴然としてますよね。

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