このあとがあり、実は妄想で完全に狂って終わるというオチがつきます。
こうなるとメルヘンチックな終わり方と現実の社会の脱落者としての風刺が数秒の間に転換してしまうんです。いや、参りました。しかし昔観たときにはなんとも思わなかったのですが今回はすごく面白かったのは年齢のせいでしょうか。「ブラジル」とは全編に流れる音楽の名前で、頭の中がサンバのようにめちゃくちゃになった感じというふうに捉えるとわかりやすいタイトルだと思います。お勧めの映画ですよ。この分ですと「バロン」も、もう一度見たほうがいいかもですね。あれもつまらなかった印象があります。
「ムルデカ 17805」藤由紀夫監督 2001年
まあ前に見た映画が「スリーピング・ディクショナリー」なので流れからして当然ですよね。ほんの数年後の同じような地域のことです。出てくる人物像がまったく違ったりしてね。1942年3月1日のオランダ領ジャワ島。きわどいですね。オランダ領でした。ABCDのうちの2カ国ですね。英国とオランダ。し8かしね。「東から黄色い人がやってきて、島を幸福にしてくれる」という伝説があるといって日本兵に近づいてお辞儀する様子はさすがに宣伝映画っぽい。単独でこの映画見ればよかったかもしれない。確かにこの映画は少し偏っていると聞いてはいましたがねえ。あと、最近戦争映画ばかり見ているので、しゃべり方やらしぐさすべてがおかしい映画です。「これ、ちょっと」という気持ちが出てしまいます。たとえば、オランダ軍司令部に単独で中尉Aが乗り込んでいくのですが「お前が軍人だとなぜわかる?」と聞かれ、「この軍刀にかけて信じてもらう」というような趣旨言うのですが、「戦艦大和」とか「人間の条件」とかにこんな兵隊は出てきませんでした。これらの映画の監督は実際に戦争へ行っているんですがこの監督はどうなんでしょうね?それより「東宝」のマークがはじめに出たのですが、東宝はご存知のように労使問題で映画が作れないときに、黒澤監督とか大映や松竹で映画作ったり、新東宝という会社で労使問題に関係のない人たちが映画を積極的に作っていたはずです。ですから新東宝は少しナショナリズムがある映画つくり、東宝は左翼系だと思うのですが、まあ時が変えたのでしょうか。それはおいておいて、オランダが無条件降伏をするのですが、そのときは今村均中将なんですね。彼はかなりの人物と聞いております。ちょっと調べてみたくなりました。あと(映画から離れてばかりいますが)一連の戦争映画で、今回初めて中将なんてすごく位の人が出てきました。それだけ大上段に構えた映画なのです。
まあやわらかい話題をひとつ、それはこの映画にもジェシカ・アンバに似た女の子が出てくるのです。「スリーピング・ディクショナリー」なんでしょうか?笑い。この子がAに現地の言葉で話しかけてしまったのですが理解できなかったでしょうと謝るのですが、Aは「理解できる、君の目がすべてを物語っている」というのです。閨での講義はなかったみたいです。大爆笑。それくらいこの映画冗談な変なテンションの高い変な映画です。まったく人には勧めません。
これも置いておいて、「大東和共栄圏と大東和戦争貫徹」の矛盾がこの一兵卒に襲い掛かります。まじめに大東和共栄圏、欧米支配からの脱却を考えていたんですね。ここでのAの上官に対する反抗的な態度、普通じゃないですよ。ほかの戦争映画ならかなりの刑罰が待ってます。と、そんなことしているうちにミッドウェイで空母失って山本長官の戦死(このあたりは字幕でのみの解説です)でこんなところの日本軍は追い込まれてます。
そしてジャワ防衛義勇軍が組織されました。ちょうど戦艦陸奥が爆破されて数ヶ月のころです。そして行進するのですが、その次のシーンで玉音放送、ちょっとねえ監督、ジャワの日本軍がどういう戦いをしたのか、連合軍がどう攻めてきたのか飛ばしすぎですよ。
しかし戦後9月に英国、オランダ軍が侵攻してきたことは事細かに描いてます。ジャワは無傷だったんですかね?絶対にそんなことはないと思うのですが。すくなくてもこの映画は信用できないから機会あったら調べたほうがいいでしょう。
そして、あくまで現地の人に慕われていたAは隊長としてインドネシア独立のために戦います。その部下たちもついてきました。さらに現地の女と恋にも落ちました。なにがそうさせるのか?あえて第二次大戦と書きますが、理念モデルは植民地解放ですので、その理念を信じきった男がいてもおかしくはない、ということでしょう。そして昭和24年になり、下手すると朝鮮戦争の前夜ですね、首都ジャカルタを攻略を挑戦します。まあ成功するんですが、それで終わり。国家が安定してから家族のものが慰霊に来て終わり。
やはり監督は戦後生まれ。せめて戦前で空襲経験あるとかだとまた違うのでしょう。それくらい変なつくりです。
しかし忘れてはならないのは、この映画に出てくる日本人は実際にいたということです。このことは以前から知って感動しておりました。この映画はその感動を深めてくれるものではありませんでしたが。まったく知らない人は見てもいいのかもしれません。
「めぐり逢う大地」 マイケル・ウィンターボトム監督 2000年
久しぶりのこの監督の映画観ます。
アメリカに英国からの移民が流れてきます。カリフォルニアのシエラ・ネバタ山脈のキングダムカムです。1867年。ほとんど明治維新のころです。ゴールドラッシュでスコットランド、ポーランド、アイルランドなどからも来ていますね。それで西部はいろいろなコミュニティーができるのでしょう。