ラトビアから金儲けに来たやくざとその女で、娼婦は関係ないところで金儲けの話が進んでいるのですが殺されます。なぜ一緒になったか、完全に腐れ縁です。男が哀れに思えてきた。だから一緒にいたのです。男と女は一緒の方が都合がいいですし。しかし殺されて、ちゃんと女は逃がすのです。一緒にいても殺されるだけですので、逃がして自分だけ死んでいくのです。そうして娼婦は一人になってしまいます。
総括なんですがこの映画のテーマは「孤独」です。孤独な男女がぎりぎりのところで出会い、一緒に生活し、男は酒で止まらなくなり死んでいくのです。その孤独はパートナーがいないことなんですね。男と女の関係をすごく強調してまとめてます。
娼婦をさせられたときの嫌なお客のことも思い出すと、女も普通の恋愛をしたくなります。たまたま、Aがお客として娼婦についたのですがただいてくれるだけで良いというリクエストにだんだん娼婦もAは性欲の捌け口のため、女を見下すためにではないと気づきます。
話もまともですし、「死にに来た」という言葉が緊張を解いたのでしょう。あと、一目ぼれですね。お互いに気に入ったのです。こんなことあるのか、と思うでしょうが、あるんですよ。ひとりになった女は一緒に住もうと誘います。Aの方が躊躇します。多分前の妻とも修羅場経験しているんでしょう。「酒はよせ」と絶対に言わないという約束で住み始めます。男は元映画プロデューサーだけあって、楽しいしセンスはあるんです。しかし神経がアルコールでおかしくなってますね。基本的に仕事中毒だったと思うんです、それでアルコールに嵌るようになり家庭も崩壊、体も崩壊していくんです。かなりの人格の崩壊過程を観ることが出来ます。途中、レストランでAがイヤリングを贈ったシーン、先に出て行こうとするAをほかの他人が引き止めるのです、なぜか?「彼女は真剣だから」というのです。最高のシーンですよ。私にも女の気持ちがぐっと入っていくの観ていてわかりました。この俳優、エリザベス・シューというのですがこの役ぴったりはまってます。ちなみにAはニコラス・ケイジでこの役でアカデミー賞とってます。この辺のふたりを見ていると、先がないでしょう、ですから悲しくなって見ていられなくなります。こういう経験あるひとは少ないかもしれませんが先がないと盛り上がるものなのです。
しかし女が仕事(娼婦)に出ていたときに娼婦を買って家で寝てしまったのです。その最中に女が帰ってきて、Aは「少し寝て出て行く」女は「出て行って」と、Aは終わりが近いことを察知していただけなんですがねえ。女もやけになって仕事していると、若者に捕まりレイプされているところをビデオに撮られます。今の若い子、デジタル製品使いこなすから複製可能な画像、データがすぐに作れてしまいますね。怖いですよね。そして、オタクなんでしょうが性欲は一応はあるから始末に終えない。みんなに輪姦されます。そしてまたAを探しに街を放浪します。見つかった彼はかなり衰弱して、女のレイプの傷も心配してくれるくらい余裕はありました。やはり女もAもお互いが好きだったんですね。最後のセックスのあとAは息絶えます。良い死に方できましたね。こういう愛は一生消えるものではありません。音楽が最高で私は当然、この映画のサントラCD買ってます。なんというかお勧めしにくいですが本当に好きな映画です。ふたりでリソートで観ていた映画は「第三の男」ですね。先日「黒い罠」見たばかりで似ている話なので懐かしいし、変な因果があるものだと思いました。最後にこういう恋愛の当事者は幸せが絶頂だけにあとはかなり辛い恋愛です。一生忘れない恋愛でしょう。
「ルパン3世カリオストロの城」宮崎駿監督
何回見ても良いですね。この映画はルパン3世の中でもレギュラーが協力し合うという珍しいパターンです。さらにルパンは何も盗んでいないんですよね。はじめから恩返しのためにがんばったのです。そして、不二子も銭形も悪いことしていない分だけあまり攻めることはできず、結果的にルパンに協力しているんです。
その協力のチームワークというか「あ・うん」の呼吸がこの映画の魅力でしょう。さらにお宝のすごさ、姫の純粋なところ、悪いやつは外国人で日本人が乗り込んでそれらを一網打尽にするという外国ではヒットしないような映画です。しかし見ていてすっきりしますね。個別にはいろいろと良いシーンとかあるのですが、最後の庭師の言葉「なんとすがすがしい人たちなんだろう」というような言葉にすべてが表されていると思います。見ていても本当にすがすがしい。不二子も裏切りはしないし、銭形も警察として、なかば友情を持ってルパンに接しているし、ルパンたちのチームワークは良いし、すばらしい作品です。
監督はこのテーマをいつか扱いたかったのでしょうが、ちょうどルパンというトリックスターがいたのでうまく脚本ができたと思います。あのお宝を披露するにはルパンは贋金を盗むという動機ではうまくないので、このような展開にしたのでしょう。最近このことに気づきました。いい作品ほど端的に、良い、というだけで済みますね。
「恋愛寫眞(れんあいしゃしん)」 堤幸彦監督 2003年