ひょんなことから観た映画の感想を書くことにしました。

4/26

「魚影の群れ」相米慎二監督 1983年

この映画は、なんといっても見るきっかけが2つありました。ひとつは女優が美しいとかではなく、この監督を最近注目していること(仏門に入られてしまいましたが)。もうひとつは青森でまぐろが捕れることを先日真っ向から否定してしまったことです。すなわちまぐろをとる作業を見たかったのです。恥ずかしい話、まぐろは黒潮系の魚だと思っておりました。しかし実はこの辺で取れるマグロは最高級のものと聞かされて否定してしまったのです。そして今一番行きたいところが下北半島なのです。

さらに主人公の男Aは喫茶店を引き継いでいたのに、漁師になりたいという設定。私のつぼにはまってしまいました。公開されたときはつまらない印象しかなかったのですが、当時はタルコフスキーだとか言ってましたからね。

それで漁師の娘Bと結婚したがってもいるので、Bの親に漁師の教育をしてください、というのですが普通はだめですよね。きついからね。しかし結局喫茶店をやめて猟師町に引っ越してきて、挨拶に行くのですが、そのときBがAのお尻をたたいて挨拶させるんです。なんというか男を立たせる女の愛情みたいなものを感じていいですね。

しかし漁につれて出た時の事故はAの自業自得です。あれは確かに邪魔。職人って言うのは後ろにも目があったりするんですよ。空間の感覚が鋭敏なので、邪魔でしょう。そしてけが人の処置も間違っていないし、マグロがまだかかっていたので漁を続けるのも仕方ないことだと思います。

北海道の「いぶ」と青森の「おおま」の漁港同士は提携がなくて喧嘩しあっているんですが、おいしい時期のマグロということで「いぶ」のほうに隠れて入港して卸します。マージンはかなりとられたんですが。ということは「夏祭り」の時期のこの辺のマグロはおいしいということみたい、でも高いから仕方なく「いぶ」も寄港を許可して業者の言うことを聞いたので、私が食べられる値段ではなさそうなことも事実です。今回はこの視点があるので、やたらこの映画が面白くて仕方ないです。

話が分かれます。

ここからはこの北海道でたまたまBの母親に再会するのです。そして向こうは場末のバーをやっているんですが、ちょっと焼けぼっくりに火がつく感じ。両親の話になります。

青森に戻ってくるとBが籍を入れて店を売って船買ってます。やはり漁師するんですかね。

ちょうどBの父親は力がなくなって引退しようというときです。

最初に釣ったマグロが最後になってしまうとはねえ。こんなシーンまったく覚えてませんでした。これ二本立てだったんでしょうか、記憶がないのです。最後にAは死んでしまうとは、なんというか寂しいですねえ。Bの父親がしっかりしているだけにねえ。

大間(おおま)はほとんど目の前は函館のほうなんですね。仏が浦の北海道側の先端みたいです。

 

4/27

「仁義の墓場」深作欣二監督 昭和50年 東映

水戸からやくざ志願で新宿に。深作監督も水戸の方ですしねえ。ちょうど戦争中です。ここで深作監督について、たしか開成中学かなで同級生だった人が知り合いでいたのですが、本当にどうやって人を楽しませるか、ということばかり考えていた若者だったみたいです。

しかしタイトルバックの戦後の闇市は実写ですかね。はい、違いますけど、勢いのある映像です。最近戦争関係の映画よく見ますがこの風景を見ると日本が戦後すぐに変わったことがわかりますし、戦争の強さがまるっきりなくなっていますね。それでいいのだと思います。三国人の描写もそうです。あえて、この言葉が何を意味するのかは明言しませんが、わかる人にはわかります。横浜という場所もわかりやすい場所かもしれません。いまだにわかりやすいかも。笑い。おっと笑っちゃいけません。しかし久しぶりにこの監督のコアな映画見ると三池監督に似てますね。それがおかしくて笑ってみてました。

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