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とにかくここで出てくるデモンズはみんな弱いのです。人間に怪我生えた程度ですので何かしぐさ自体も笑えるような内容です。最終的にはみんなやっつけて終わるのですが、始まり方も強引ならば、終わり方も強引です。これくらい出なければこんな映画できないのかもしれない。私の評価は最低ランクです。

7/2

「ナチュラルウーマン」佐々木浩久監督 1994年

この映画実は気に入っているんです。原作も読まなくてはいけないんでしょうが、とにかく映画が先でした。

ABという二人の女の子が同居しているんですが、主人公のAはあるとき夢でほかの女の子のことを想像して燃えてしまいます。この夢の女の子をCとします。

ABは漫画家志望。Aは夕べの夢を漫画にしてみるとBは意外と興味を示します。ここで思うんですがABの関係が本当に女の子の間柄でくっつかず離れず楽しいみたいな感覚ですごく観ていてほつとするのです。さらにACの女の同姓への憧れというのはよく聞きます。

私自身が男の同姓に憧れを持ったことがないのでよくわからないのですが、女性の場合はいろいろと打ち明け話は聞いてます。私が異性だから話してくれるのでしょうけど。

ACの出会い。それはCの才能がうらやましくて、AもCの所属する漫画研究会のようなサークルに応募したことです。そのとき才能があるはずのCがAを気に留めてしまったのです。Cだって普通の感情はあります。好きになって何がいけない?何もいけないことはないという具合。ACの出会いは大学時代。ABの同居の時点ではACの関係は終わっているのです。それを過去形ですが、今起こっているかのように描いていくのです。どういうことかというとCもAの才能を見抜いていて友情を超えた愛情を築きたいと思ってAを旅行に誘ったりしてCだけのものに囲い込もうとするのです。まあ女同士の相思相愛です。これがこの映画ではわかる気がするので、俳優が意外と適材適所なのでしょう。Cいわく「男とならいろいろと我慢しなければならない」というのです。ですからCの方が積極的でAはCに対する憧れの部分が大きいのです。

実際にACの作品に出版の話が持ち上がります。Cは一貫して拒否。しかしAの漫画が出版されてからCの態度が急に冷たく変わります。サイン会の話とかでも切れてしまいます。それはCはAを好きで所有したいからなんです。所有というよりもずっと一緒にいるということを優先したいからなのです。しかしAは出版とかサイン会とかでCから離れていってしまう。これを敏感に感じているのはC.でAは普通の生活と思っているのです。結局Cは甘えん坊で依存性が強いのです。そしてCの方から「キスしてくれないの」と強引に奪うあたりからAの気持ちも冷めていきます。深入りしすぎた感じ。Aは基本的に普通の生活を普通の男とできるタイプです。Cはできないタイプなのです。

「私たちって腐った果物みたい」とCが言うのが印象的。食べたくても食べられない、つかみたくてもつかめない、みたいな感覚でしょうか。そしてAが無言のままCを無視したときCはAに戻ってくるような合図を出して戻ってくるときに飛び降り自殺をします。実にAに見せているのです。Aは拒否した自分のせいかもしれない、と思うことでしょうし、実際にそう思わせるのがCの目的。Cは死んでAの頭に一生残るのです。呪縛。

並行するABの後日談ですが、BがAにAがCに抱いたような同じような気持ちになるのですが、Aは拒否します。Cとの関係が尾を引いてます。Bは健康すぎて相手にはならないと思うのでしょう。Cはその点不健康そのまま、異常性ありでしたから。

ABは最後にCの自殺した場所に向かいます。ここでCの霊と出会いAの本当の気持ちを伝えました。「好きだ」ということ。Cは「私が死んだのはあなたが別れようと言ったからじゃないの、それはあなたが考えて」といって消えます。最後にすべての思い出を焼こうとするAに対して「これはとっておいたら、つらい思いでも思い出だから」といって捨てるのをやめさせます。そうですよ、思い出は大事だモンね。

7/3

 

「ニーナ、または恋狂い」チェザーレ・リエヴィ演出 2002年

チューリッヒ歌劇場合唱団、管弦楽団、アダム・フィッシャー指揮、チェチーリア・バルトリ。

古い時代のオペラなので、よくある結婚の話です。まあ家柄が違うとかの話ですけど、メゾとテノールの見せ場は十分にありますよ。そして人物描写をアリアでうまく表現している作曲家です。パイジェッロです。またモーツァルトのアリアも劇中に出てくるのです。そういう意味では楽しい気楽で簡単なオペラです。こういう素朴で楽しいオペラが良いですよね。ワーグナーみたいに重厚長大でもいいのですが普通に楽しめるほうが楽で良いです。

伯爵の父とちょっともめている娘のニーナ。その彼女が彼氏を待ち焦がれて歌うアリアは魅力いっぱいの曲です。こういういい曲が何気なく使われるとうれしくなっちゃいますね。

この後の村の娘たちとのやり取りはハイライトに近いくらいに素晴らしい時間です。本当に素晴らしい。

そこに彼とは違う男がが帰ってくるのですが、そのテノールもいい。Bがこの男の歌を心で感じていると言って返す歌もいい。返し歌ですよね。すごい対の構造です。確かこの曲がモーツァルトの曲、「フィガロの結婚」だったと思いますが四重奏くらいの歌だったと思います(度忘れしております)

さらに女(メゾ、B)の「愛の気持ちを歌う」アリアのときオーケストラからクラリネットが舞台に上がって一緒に愛を奏でます。そしてこれらの歌からは伯爵が憎いらしいのです。

何か彼を盗ってしまったと思っているらしい。男も同情をします。そしてBの愛の不安を歌い上げた四重奏(B、お手伝い、男、伯爵)はきれいに決まって、Bは退場します。

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