1/18

「天国に一番近い島」大林宣彦監督 1984年

この年でこの映画をまた観るとは思いませんでした。しかし昔と違って素直な気持ちで見ることが出来ました。大林監督、原田知世路線は続いて見てますね。

父が言い残した「天国に一番近い島=ニューカレドニア」に旅行した少女の話。確かに日本人も南洋の海洋民族とも交流、結合しているのですが、父にお別れを言いに行った旅行で、父もなんとなく日本人のルーツから天国というイメージを持っていたのかもしれません。南の国で風景がきれいなところはいくらでもあるのです。しかしツアーのほかの観光客が意外と沖縄でも問題ないような旅行をしているのに対して、この主人公は父の御霊を探しているのです。有意義な旅行になりそうですよ。「自分の風景を自分で見つけること」が旅行と言う人も出てきますしね。この人は夕日を見せて「緑の光線(エリック・ロメールではないですよ)」の話をします。このガイドは少女の影響で純粋だった頃の恋愛を思い出します。ロマンティックにする影響が少女にはあるんですね。このガイドがカジノのディーラーに手を回してラッキーナンバーが当たるように事前に買収しているんです。そのためカジノのお金でほかの島に行くことがきるようになり、「信じていればね、夢は必ずかなうんだよ」なんてかっこいい言葉を言います。ニューカレドニアの風景もきれいですし、楽しい映画ですね。

次にめがねを壊した男の子を捜しに現地に市場に行って話をすると、ウベア島とのこと、一番早く夜が明ける島、らしい。夜が明けるといってもねえ、日付変更線の位置によって一番かどうかは変わるのですがねえ。その前に日本軍の慰霊碑にお参りしていることからもなにか父の魂が呼んでいるような気がしてきました、私までも。そしてこのとおり男の子とも出会えたし、条件は揃ってきましたね。しかしひとりになりがちです。そこで怪我をして寝込んでしまうのですがこれで地元の人々に溶け込んできました。しかし日本との関係は移民という関係もあったらしい。この移民が父とのつながりみたいです。そして現地で出会った男の子とのつながりも出来ます。この男の子は母に日本という国に小さいときから話しを刷り込まれていた、少女と対になる関係です。日本からニューカレドニアを父から聞かされていた少女、ニューカレドニアで母から日本のことを聞かされていた男の子。この移民と潜水艦の乗組員が少女の天国と関係あるのでしょうか。少なくても潜水艦に乗っていた兵隊の家族が慰問に来たときは場所は勘で(霊が呼んで)場所がわかりました。忘れない夫への愛について「愛って結局は自分のための物語」というのです。少女もだんだんわかってきました。そして、あのガイドのキューピッド役もこなしてしまい、あの男の子の紙芝居というか日本への思いは父のニューカレドニアへの思いと同じでした。結局は天国に一番近いので、自分のいるところとはちょっと違うところを例にしますが祖国だったのです。眼で見てわかるところは具体的にはつまらないですよね。最後に男の子はこの少女から日本というのを学んだというし、少女は眼にした紙芝居の島が天国に一番近い島だったのです。愛にはまだちょっと早いのかな。しかし深い友情がこの島で生まれました。この映画に感動してしまっていいのだろうか、とも思うのですが、きれいな島でした。きれいな映画でした。

 

「CURE」黒沢清監督 1997年

1997年といえばついこの間の感じですが、やはり数えてみると7年かなり前の映画の雰囲気があります。なんというか出ている俳優が違うというか今生き残っていても若いとか、かなり違います。さて昨日に引き続き売春婦ですが、あっけなく殺されます。前振りとして「青髭」の話を読ませるカウンセラーもどきの人と患者の女が出てくるのですが、何か意味があるのでしょうか。あとから出てきますが、この事件の担当の刑事の妻です。そして裸で隠れている男が捕まります。殺され方、かなり残虐で、日本の映画もかなりえぐいなあ、という印象。アメリカの映画はかなり世論がうるさくてここまで出来ないのですよ。韓国なんて恋愛物が多いし。日本は最近かなり特色のある映画が多いです。アニメとこの手の映画が海外では評価されているのですが。3ヶ月の間に首に十の字の切り刻む傷を負わせて殺した犯人が3人挙がります。CUREですよね。嫌な予感がしました。

次ページ