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そして夫に脅迫したと見せて、バックアップ体制の方の妹を脅します。警察はここはノーケアでした。しかし「今、家にある金すべてもってこい」といわれて「はいそうですか」といえる身分になりたいです。というより誘拐とか強盗には縁がなさそうな自分が少し寂しい感じもします。お金ないところにはこういう事件おきませんもんね。というよりこれはAの狂言なんですがAはBに手付金も払って誘拐を演じてもらうのです。何かお金が飛び交ってます。出てくる人がみんな若いので何でこんなにもっているんだろうと、不思議でなりません。この映画観ている人でこんなこと悩んでいる人はいないでしょう。若い人はすんなり見ていると思います。Bの女優は中谷美紀というのでしょうか、ずっと見ていてどこにでもいる普通の女の子だけに気味が悪い感じがします。本当に、ファンの方には失礼ですが、平凡な女の子でこの映画がどこででも起きるという感じを醸し出します。友人の部屋に隠れるのですが「ここにいたという存在証明を残さないこと」とBに言われますが、友人に頼まれた金魚にえさをあげていれば、すなわち、金魚が生きていればBの存在は友人にはばれますよね。これも禁止されます。そして手首を縛る練習。解放されたときに縛り傷がなければ疑われますよね。この練習をしているうちにAはだんだん恍惚的になっていきます。Bはここぞとばかりに犯します。なにかこのシーン、お互いに心の底で合意しているような変な関係ですよ。しかし戻ってみるとAは殺されてます。手足縛って殺されているんじゃ、いくらBが依頼受けたといっても信用されないでしょう。そこに電話、Bも動揺しているのでしょう、電話に出てしまいます。相手は殺したらしき人、なんとなく夫が関与してそうなんですがね。もうBは言われたままに死体の処理をさせられます。しかし子供を送る途中に街でAを見かけます。死体の確認はしたなら、違う人のはず。死体の確認が中途半端ならありえます。しかし狂言誘拐として警察は捜しているはずなので自由に街を歩くことはできないはずですが。当然、Bは掘り返しに行って死体の確認をします。腐乱してきてますけどね。何回も私なら行かない。どんな辺鄙なところでも電気は目立ちます。車も目立ちます。Bはそれを犯しているのです。

まあ、結局は「恋のもつれ」なんですが、後は詳しく書いても仕方ないでしょう。

まあBがだまされたことに気がつき、警察ぬきで金銭の要求をします。そこで夫とBの間に立つA(愛人)がどちらに転ぶかですね。BはAに指示する関係です。夫はAが立てた計画を忠実に守るタイプです。Aの愛情は本当にあるのか?そこがポイントですよ。

最後にゲームの終わり方のABの考え方の違いが鮮明になります。

ぜんぜん怖くない映画なんですね。カオス、考えてみれば怖いわけないですよね。しかしもっと混沌としたテーマでも良かったと思います。出てくる人間がほとんど私利私欲の行動なんですよ。ひとり愛のためというのがいますが「人間の条件」の途中に見るには「お前ら、しょうがないなあ」と思ってしまいます。中谷さん有名な女優みたいですね。知りませんでした。

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「必殺仕掛人」渡邊祐介監督 1973年

はじめてみます。必殺シリーズは好きなのですが、この監督の名前も知りませんでした。凄い恥ずかしいことのような気がします。

梅安さん(A、田宮二郎、役者の名前を書くときは印象に残った場合の時のみです、大体がその俳優でなければだめというのが少ないから記号で済ませるのです。私くらい役者より脚本、監督をかっている人間も少ないでしょう)。が標的が女ということで担当。始まり方が良いですね。この音楽は普遍みたいです。かっこいいですね。

「仕掛人が自分の仕掛を普請するのは墓石の下だけですよ」というせりふ、「大霊界」のあと見るとおかしくなりますよね。しかしセットでの撮影とわかっていながらぐいぐい見せる力のある映画です。そして今回は左内とともにふたりとも「仕掛人」は続けたくはないと思っているところがあるのです。町方同心に佐内が口利き料30両でのるかどうか迷います。凄いですよ、お金あれば、町方同心になれるんですかね?この時代に行ってなってみたいですよ、一度は。そういえばこの映画で知ったんですが梅安さんは藤枝の出身なんですね。また藤枝に行く時期です。あそこは楽しいですよ。帰りに鞠子で自然薯食べて帰ってくるんです。その小さいときに生き別れた妹がいるという話です。

ここでまったく話が変わりますが、ある仕掛を頼んだといって弟分と長男だけに言って死んでいく主人がいます。その弟分は音羽屋に確認に行く際に弟分が思うもっと悪いやつまで仕掛けてほしいというのです。これは今の映画ではなかなかないシーンです。あの人のため、恩のために自分の目で見た悪いやつを故人のために恩義とは言え、身銭切って仕掛を依頼するということはもうなくなりました。とりあえず不景気の性になってますが、何か違う、自分だけを慮る精神が日本人の中に急速に広がっているように思うのです。なんてことはこの映画でもないのです。笑い。この弟分も裏切るのです。江戸から変わらない体質なんですね。あとで裏切るシーンを見たときなんだ現代と同じジャン、と思いました。ともあれ、これの仕掛の対象は実は梅安の友人を殺したやつなんですね。この辺はうまく完結するように話ができてます。それ以上に考えていなかったことが設定されてます。この仕掛の相手とつるんでいる女、すなわち仕掛を頼んで死んでいった主人の奥さんが梅安のあの妹なんです。そして相当な悪。その相方を今まさに狙っているのが梅安という構図。良いですねえ。あとこの映画が何で良いのか気がつきました。ギターの音色で現代的な雰囲気が出てますが、基本は三味線などが流れる歌舞伎みたいな映画なのです。せりふまわしも梅安は意外と歌舞伎調ですよ。歌舞伎では中村勘九郎さんがうまいんですよ。

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