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「はつ恋」 篠原哲雄監督 2000年

本当に恋ってタイミングなんです。主人公の女の子が勝手に失恋と思い込んで出せなかったラブレターを破るシーンから始まります。この映画は何の予備知識なしで観たほうが良いんですよ。はじめてみたとき、どうしようもない映画館だったんですが、どんな作品かも知らないで見ていたんですが、どんどん引き込まれました。自分がこの手の作品を好きなんだと思い直した一作です。主人公の高校生の女の子Aとその母B父Cとします。Bの入院中にちょっとAがBの秘密を知ります。昔のラブレターを見つけるのです。それは父に出したものではなかったのです。何でとってあるのでしょう、私ももらったものでは何通かすごく記憶に残っているものはあります(実は持っていたり)。出したのは記憶にないですね。何かいていたんでしょう?

「C以外に付き合ったのいないの?」と聞かれると痛いですね。「バウンスKOギャル」ではどちらもだめだね、といわれてましたが、確かに母を見ると結果を知っているだけに娘のほうが強いこと言えそうですね。実際に伊那に行ってみることにします。「高遠」は伊那なんですね。この地名確か武田勝頼の居城の地名、この名前はとことん嫌いなやつです。黒澤監督もうますぎたのでしょうが「影武者」であの馬鹿ぶり、本当に頭にきますね。今は伊那食品かな、元気な企業として有名ですね。これも関係ないですが諏訪湖から流れる天竜川沿いは本当にいいところですよ。諏訪湖に関しては今年「御柱祭り」です7年目に一回、さるとらの年に行われます。すごい脱線しますがこの天竜川に沿って三河に向かいますと、海の手前に織田と武田の戦った馬鹿な戦の跡があります。まさに家康の地元です。

この映画に戻って、Bの昔の恋人Dの居場所をAは見つけました。多分大森海岸あたりでパチンコは蒲田あたりでしょう。落ちぶれてます。Aは桜の下で再会させたがっているのですぐに会いに行くというDをとめます。「今はだめなの、夢が壊れる」。縁というのはそんなものじゃないんです。どんな状態でも結ばれるものは結ばれるんです。強引に結ばれたのがCとBです。Cの情熱があればDもうまくいったのにね。若すぎたということは縁がなかったということです。

Aのすごいところは理想を求めてDを変身させます。たとえばスポーツジムに通ったり、スーツを買ったりして、そして途中喫茶店に行きますが、そこでビールの注文を断りトマトジュースに変更。両方ともうちにないメニューですどうしよう、作ろうかな。しかしこんなカップルまずいなくなりました。ちょっと前まではいたのですがね。ここで最高の田中による「シェー」のポーズです。こういうかわいらしいシーンは良いですねえ。このAとDのコンビは最高です。田中の作品で一番良いんじゃないかなこの作品が。このコンビはお互いに成長する次の一歩のための必然でした。ふたりとも幸せになれたのはこのコンビがあったからです。Aはこの行動力でコンビを作ったのですから幸せになれる権利があるでしょう。

そしてAも洋服買うのですがこの洋服決まっているな、萌黄色と青がかったグリーンです。

しかしDと楽しくって時間が過ぎていくの忘れて帰りが遅くなり、Cに怒られて喧嘩します。ここがすべてこの映画のテーマになるんですが、Aが病院に喧嘩して逃げている間にCは壊れたオルゴールを直しているのです。BとDはうまくいかなかったんですが、BとCはうまくいったというところがこういうところにあるのです。Cの一途な愛なのでしょうが最終的にはそれがBにも安定をもたらせた、そしてAが生まれたということでしょう。実際の生活とはそんなものでしょう。死ぬときにそばにいる人が伴侶なのです。そう簡単に築きあげたものは壊れないのです。家庭もそうですよ。

Aが作る舞台は終わった二人には必要ないもので、続いている二人に、いや三人に必用なものです。その前の日にDの部屋掃除してくれるんですが、女が男の部屋掃除するということは心許してますね。母への信頼が厚いので母の愛した人は大丈夫ということです。そこから入り込んでDを信頼できる人だと思ったんですね。この信頼されたことがDを大きく変えます。また自分たちの信頼を取り戻そうとするのです。自らの行動に出ます、自分たちの家庭の再構築に。AはDを通じて愛するということを知ります。愛する人と一緒にいることの楽しさですよ。これはそのあとの恋愛に大きく関係します。

「あの手紙なぜBは出さなかったんだと思うy」「おれはもらいたかった」とDがいいながら「何故いまさら俺たちをあわせようと思うのか」と質問します。答えは簡単、Bが出さなかったのは時が違うから、縁がないからです。思い切りが二人になかったことです。そしてAの行動は「愛するということ」をBとDを通じて結果的にCも通じて知るためです。

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