8/25
いろいろと映画は観ていたのですが、猛暑で更新怠っておりました。
「羅生門(らしょうもん)」黒澤明監督 1959年
なんというか日本の宝的な映画ですね。今回はたいしたことはないのだろう、と思いながら観るのですがまた深い感銘を覚えてしまいました。何が良いというと、すべていいとしか言いようがない。音楽が少し特典インタビューでも述べていたように今回は、あっこれやばいかも、という感じではずかしい思いで聴きながら映画を観ていたのですが、まあ少しは影響を受けたのかもしれません。ラヴェルの「ボレロ」というかスペインのボレロのリズムです。
森と現世との境目で流れる音楽です。
そして感じるのは、原作の良さ。さすが芥川龍之介。「藪の中」です。古典再構築の作家ですが狂言で「蝸牛」もあるように日本古来の言い伝えでもあるのでしょう。
山は狩猟民族としては聖なる場所でしたし、農耕民族になっても境界線のある、境目(道祖神などを祭っていたりする)です。
その中で起きる出来事がどれが本当か?答えは客観的な見方が答えですが、ここでは志村喬の役柄が見た光景が本物です。しかし彼にも後ろめたい気持ちがあって、最後に信頼をなくすが、人間捨てたものではないという終わり方をする。すごく人間ドラマとして、人間を多角的に描いているものです。ここまで深い映画はあまりないですし、タルコフスキーをして1972年当時世界の映画ベスト10に入れただけの事はある人間ドラマです。
原作の勝利、映画化の勝利、役者の勝利の映画です。京マチ子さんの存在感たるや、これぞ映画という感じです。
あとは何も言いたくなくなるような堂々とした映画です。
8/26
「鬼一法眼(きいちほうがん)」勝新太郎ほか監督 1973年
テレビのドラマですが、今は差別用語が出てくるので放映が難しいみたいです。長いので少しずつ書いていきます。今回は1,2話。
まず主人公の名前がドラマの題名ですが、彼は異人(オランダ人でしょう)に長崎で江戸時代に、両親を殺され、いいなずけは辱めにあい、自分はのどを切られて言葉がしゃべれなくなったという背景があります。その異人に仕返しをするためにも諸国を放浪するという話。
第一話はその辺と、「卍」という男との初対面などが描かれていて、とりあえず基本を抑えている話です。まあ主人公の職業は賞金稼ぎ。卍も悪党なんですが憎めない奴で勝新太郎自身が演じてます。この二人が強いの何の、格好良いし、殺陣もすごく迫力あります。結局リアリズムではないのです、かっこよければいい。魅せるものには欠かすことの出来ない要素が詰まってますね。
第二話
これは卍と主人公のかけあいが見事。異人を退治するのですが、話が実にいい。奉行と異人が密貿易で儲けているのを抜け出したい下っ端がいて、殺されるときに主人公に子供を預けていってしまいます。ここで縁が出来て最後まで付き合うのですが、途中、卍がもしかしてそんなに悪いやつではないかも、と知るのです。この話は見ておくべき内容がかなりあると思います。