亡霊から逃げて家に帰ると、劇場で聞いてきた少女が家に侵入していて、昔サーカスにいたころの化粧をして待っているのです。(すごくかわいい子なんですがね、化粧するとピエロです) 当然二人は愛し合うのですが、母の邪魔が当然のごとくはいります。「腕を切れ」と。このときに近所の人が遊びに来て、死体とか見て尋常じゃないと警察を呼ぶのです。少年は少女を殺す一歩手前まで行くのですが、少女は無抵抗です。そしてやっとのことで母を刺したのです。
ここからがすごいんですが、母を刺したら、母の化身が「私は殺せない、なぜならば、おまえの中に私がいるからだ」と言って消えていくのです。そうなんです、私もまたまただまされました。少年が操っていたのは母の人形だったのです。少女は少年の境遇を知っているし、すべて昔の思い出となるようなものを焼き尽くすんですよ。すごいやさしい愛情ですよ。すると座員はすべて喜んで祝福してくれるんですが、こびとは去っていくんです。きっと友人が欲しいという夢から、存在させていた幻影だったんでしょう。少女の深い愛は、父の形見の刺青の束縛も「鷹」を飛ばすことで取り去ってくれることでも示されます。そして警察に罪の償いに行けと。たぶんいつまでも帰ってくるのを待っていてくれるんでしょう。すべてのトラウマから開放され警察に逮捕されるところで映画が、きれいな音楽と共に終わります。なんという、素晴らしい、映像と独自の世界を構築したのでしょうか、この監督はかなり面白い監督です。人には薦められませんが、印象に残る映画です。
「スリーピング・ディクショナリー」ガイ・ジェンキン監督 2002年
ダークエンジェルのアイドルらしいんですがこのテレビ番組自体知りません。
しかしまさに満州事変1936年のインドネシアでの英国人と現地人の交流です。すぐに日本が関係する時期ですね。
イヴァン族というのは英国人を受け入れるとき、言葉がしゃべれるように英国人に一人女の閨の女房役を置くとのこと、そうすれば男Aも女Bもお互いの言葉をすぐに覚えられるという付き合い方をしてきたらしい。ゆえにお互いが閨での辞書、すなわち映画のタイトルということです。Bがダークエンジェルの人でしょう。Aは拒絶するのですがそうすると現地の人に馬鹿にされますし、今度は変わりにホモの男を連れてきます。趣向が違うと思ったのでしょう。
そしてBの積極性と慣習に負けて受け入れます。このときにAは童貞。ですから女にはまっていきます。お見合いの相手を連れてきても愛は普遍だ、見たいな純なところがあるのです。このまま愛を貫いて終わりとかいうと久しぶりに見た洋画迫力なく簡単すぎてつまらない。
展開は川の上流から違う部族の遺体が流れてくる。そのため調査に行くと原住民には受け入れられるけどオランダ領から逃げて銀山の採掘をして一儲けしようとするやつらに出くわす。これらをこの近くの原住民に知らせて森を壊すやつらがいるというととりあえず退治してはくれるんですよ。この辺で一生の愛を誓ってどこかで生きていこうと思い始めるんですが、このように何かが起こっても愛の方向に進むだけで何も変化なし。さらに英国のベースの模様が映るんですが、ここもあいも変わらず、娘がどうしたとか、ここは住むところではないとか、そんなことばかりで行ったり来たりの内容です。そして障害は英国人も現地人もともにどちらも英国の女、現地の男から相手を探せというのです。
そしてお互いにあきらめて、英国の娘とロンドンで結婚します。「しきたり」ということですが、Bも日本が攻めていったとき生きていたのでしょうかね。この映画には戦争の影があまり反映されておりません。ここで映画的なのですが、結婚後もまた以前の仕事を完遂させたいとインドネシアに戻ります。本当に新しい生活を始めるのなら違うところに行くべきです。この辺はいらいらしました。予想通り、Bを探してばかりいて、子供抱いた姿を見つけると回りに僕の子供か?と聞いて歩きます。そして、また会いたいと。馬鹿か。
そのため、Bの今の夫が嫉妬で襲ってきます。そのためAを襲った罪で死刑にしなければなりません。ここでひとつの事実が明らかになるのですが、BはAの上司のやはり「スリーピング・ディクショナリー」との間の子供だったのです。ということはAの上司とAの子供は血がつながっているのです。そして死刑の判決は出しましたが、犯人を逃がします。そのときBと一緒に逃げようと。人生捨てました。
しかしAの英国の妻との間にも子供ができてますし、お互い約束の時間に間に合わないようなことが起こるのです。すれ違い。そして追っ手。一緒になったと思ったら、捕まりそうになる、そこを原住民が助けてくれる。多分そのあともずっと彼らと一緒の生活という終わりです。さすがに見え見えの話なんで退屈はします。しかし良い話ですよね。
「切腹」 小林正樹監督 1962年
「人間の条件」以来の小林監督です。あの映画は良かったからなあ。この映画も評価はすごく高いです。