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その後は刑務所のシーンですが、「ミッドナイトエキスプレス」みたいなものです。Dがたまたま差し入れてくれた毒薬を戦友とBは二人して飲んで死のうとします。アラブ上流階級の司令部の人間の方がしっかりしてます。同じ日に英国人捕虜が死んだと聞いたらすぐに死体置き場に行きました。タッチの差でDが救出に成功します。この薬は「ゾンビ伝説」にも出てきた薬かもですね。あの映画もお勧めです。

しかし追っ手が来ます。そこで二手に分かれますが、玉が一発しかないのでどうしても不利。最後の命の叫びを思いっきりぶつけてどうにか追っ手を殺します。この叫びは生存本能なのでしょう。愛も失ってますから。そうしてDと別れて友人を連れて英国に戻ります。Aに会うのですが、Aは「白い羽根」を返してといいます。「これはずっと僕を守ってくれた」という言葉でわかりました、Dもほかの上級原住民もこの羽根の意味を知っているか、現地ではいい意味なのでしょう。

最後に助けたAの夫となりそうな親友の演説。「両隣にいる友人のために戦う、彼らとともに過ごしたよき思い出のために」という締めくくり。結局ABは一緒になるでしょう。神の思し召しです。笑い

まあ、とてもいい映画です。

 

「事件(じけん)」野村芳太郎監督 1978年

法廷劇なんでしょうが、はじめからすべて事件が解決する方向でスムーズに進みます。

事件は彼女の姉を殺害。何とならば、姉に妹との間に出来た子供をおろせといわれていたからです。主人公は19歳の青年Aです。未成年だから裁判官も早く片をつけなければならないと言うのです。未成年の保護を考えた判断です。最近ではこういうことも通用しない事件が増えてますけど。そして裁判検事も弁護士もみんな冒頭陳述がどうもおかしいと思っているのです。映像ではフラッシュバック的にどうも姉をかばっているのではないか、という映像が挿入されます。

とにかく舞台の初めのところはうちの近くばかり出てくるので、すごく親しみがあります。地裁や中華街が出てきます。事件も厚木ですし。

「金にならなくてもマスコミが集まる事件をやれ」これが弁護士商法の第一条だとのこと。弁護士がやたらがんばります。ほとんど動いていないんですが、それであてずっぽ言って本当ならそこから新しい糸口が見えてくるという戦術です。もともとAは殺意を認めているのです。ですから刑は軽くなれば成功ならなくて当たり前の事件です。

しかし証人の後ろめたい事実ばかりが裁判で浮かび上がってきます。そして決定的なことは殺された姉が家を飛び出していったのは、母の愛人が手を出してきたことによるという事実がわかってきたのです。母のいい加減な夫婦関係が娘まで変えてしまったのです。そしてホステスに身を落としてそこでチンピラと出会っていくのです。このチンピラがまた人生を狂わせていく。その中で妹とAは埒外の人間だったんですがいつの間にかこの人間関係に巻き込まれていくのです。さらにAは姉と関係していたのを妹に見られてしまったのです。そして姉の妹に対する言葉は「力で奪ってみろ」でした。それから妹は積極的になりAに接近していくのです。

さらに姉はチンピラと縁を切るために逆に手切れ金を払っていたのです。殺された姉はこのようにぼろぼろになっていったのです。そして妹が幸せそうにしているのをうらやましく思ったのでしょう。殺人の瞬間、この姉の顔は「般若」みたいになります。自分だけがいつも不幸、こんな人生は生きられない、そう思ったのでしょう。そして姉が居なくなって周りはうまくまとまったのです。この殺意の証明、出来ないのですよ。

地味だなあ。難しいテーマですよ。しかし神奈川の厚木、平塚あたりですが本当に田舎の風景の感じがしましたね。うーーん、田舎なんだなあ。

 

「ザ・商社」和田勉演出 1980年

とにかくあまり期待していなかったのですが、かなり面白いです。

第一回 愛する時と死する時

なんてったって、片岡仁左衛門さん、山崎努さん、夏目雅子さんがいいですね。

安宅産業のなんというか小さな商店経営的な部分なところが強調されていてすごくわかりやすい。そして、変な油田計画に乗り気になってしまうところが、今思うとすごくおかしいのですが、結果論です。さらに海外での日本人の人間関係も面白く描かれてますね。

 

第二回 江坂ファミリー

ここで思うのは、財閥がまだ直系の場合は(創業者が見えている場合)はなにか甘さが抜けていないということ。

そして夏目雅子役のピアニスト(A)が社主の人事の思惑を聞いてしまうことでドラマが生まれます。これは事実かどうかわかりませんがドラマツルギーそのままです。このAが慕うアメリカ子会社の社長を追い出そうとする話を聞いてしまうのです。

さらに取引先のレバノン系のアメリカ人に追加の無担保融資を条件につけられてしまう。

このことを稟議で承認を得ることがなかなか困難な直系の支配力が強い商社なのです。敵は身内にあり。しかしこの取引相手も然るもの。中東情勢を見越してオイルショックの可能性から条件を引き上げているのです。

次の回が楽しみになりました。

 

「ザ・商社」2 和田勉演出 1980年

第三回 「セント・ジョーンズの神話」

いやー参りました。せっかく石油代理店契約を、トリックを使ってうまく軌道に乗せようとするときに本国日本に帰れとの辞令。おいしいところは子飼いの新任の部下にやらせようとするのです。しかし相手はこの主人公を信じている部分があるので、ほかに急遽変わったら解約ははじめからやり直しでしょう。

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