そんな日本側を尻目にレバノン人は秘密事項を隠して商社の金だけを取るつもりになります。まさに主人公は嵌められました。
あのピアニストも精神的に参ってしまい、アメリカという国が二人を蝕んでいく様子が描かれます。それどころか、企業全体に影響をします。さらに第四次中東戦争で原油価格は7割上昇します。
しかしアメリカ、カナダは国内物価の安定のため、石油価格の調整に入ります。アメリカは国内備蓄の供給。カナダは国内価格の安定。
しかしこの商社が絡むカナダでの石油取引はもとの原油をBP(北海原油ですね)からカナダのガソリン国内価格以上の価格で国際商品市場の高騰のため仕入れていたのです。そのため売れば売るほど損が出るのです。カナダ政府はこの事態になる前に手を引いてます。それは国内政策の絡みでしょう。
そして主人公はこのカナダでの製油事業のパートナーが一発勝負屋の出自が貧しい男で、かつ地元にまったく溶け込んでいないという事実に気がつくのです。この時点で融資銀行もこの商社も現地をほとんど見ていないのです。現地主義からの逸脱の激しいことこの上ない。この時点でこの主人公は所属する商社の中で暴走してしまったといわざるをえない。
最終回 「日本の中の異邦人」
ここまで、描かれているのは、すべての人間が、小さな存在に過ぎず、大きな時代の流れ、政府の意向などからは遠い存在であること。さらにその小さな存在でも、みんな平等に愛する気持ち、楽しい気持ち、悲しい気持ちなどを持ち合わせその一時に気分が左右されてしまうという生き物であることには変わりないことが描かれております。さらに、自分の中で一番大切だと思ったことも、瞬間に消えてしまうという事実、しかしそのような悪夢の中でも変わらない感情を持ち合わせる人間、という両面をも描いていると思います。
この最終回ではそのようなことが、「負の連鎖」として悪循環した結果が描かれます。
しかし、日本政府は逆に一致団結の気配を見せます。それは債務移動の会社を作り、商社自体の簿外に持っていくということ。そして商社の決算では実情が表面化しないというような段取りを作るのです。しかしマスコミが動きます。そこでは安宅コレクションが槍玉にあげられます。今考えると笑えるのですが、安宅産業がつぶれると経済界に大打撃という環境として描かれてます。いまの若い世代は、大手銀行が次々に弱体化しているさまを見ているので不思議に思うでしょうし、商社自体ももっと悲惨な状態に現状あるのです。このときの安宅産業が足元にも及ばない商社がアップアップの状態でスモンね。
「ショウほど素敵な商売はない」ウォルター・ラング監督 1954年
まずはボードビルのドナヒュー一家のショー。子供が増えていくのが楽しいです。1919から1923年頃。
この映画は本当に楽しいです。マリリン・モンローは脇役ですけどね。
ミュージカルに変更後のドナヒュー一家のショーは楽しいですよ。「アレキサンダー・ラグタイム・バンド」です。
その打ち上げみたいのバーでマリリンと出会うのです。この映画のマリリンはそんなにきれいではないのです、しかしかわいいところは相変わらずですね。プロモーターが来てそこで売り出そうとして歌うシーンがまあこの映画では一番いいです。なんというかミッチィ・ゲイナーにいいところもって行かれている映画なのです。そのくらい周りも素晴らしいので、どちらかというと引き立て役に回っているような映画ですね。そしてフロリダでドナヒュー一家と同じ曲をやるということで、譲ってもらったやったショーが大当たり。このシーンもいいですよ。
そしてブロードウェイ、ここでドナヒューの子供たちと競演する舞台は最高です。この映画はここまでもいいシーンの連続ですがここから最後にかけてもノンストップのいいシーンばかりです。このブロードウェイのあたりからマリリンもすごくきれいになってきます。
ここではマリリンの引き立て役にドナヒュー一家がなっていくのですが、なんと言うか映画のリズムドナヒュー一家のリズムですので、そのアクセント付けにマリリンというのは間違いないと思います。転調という感じですね。しかし、「ショウほど素敵な商売はない」の歌に至っては家族みんな集まりますし、その間のごたごたも忘れて舞台に立つ母親(これがまた名演です。エセル・マーマン)の気持ちが歌詞になっていてうまく舞台と現実と混ざり合います。そしてエンディング。カラフルな色。舞台中、絵のような色です。
本当に素晴らしい。こういう映画を見たことない人もいると思うのですが、やはり馬鹿にしないで古くてもいい物はいいと思ってください。
「死国(しこく)」長崎俊二監督 2000年
最初見たときは面白かったのですが、今回は意外と平凡な映画のような気がしました。
まあ高知県が舞台なのですが、そこでシャーマン系の家系に育った娘があるときに死んでしまいます。しかしその霊を生き返らせようとする親たち。それは閉じ込めた悪の霊を呼び起こすみたいな目的を持っていると考えて問題ないでしょう。もっと複雑なんですが、簡単にはこんな感じです。
その娘の幼馴染の女友達と男友達が絡み合うドラマです。この男友達を死んだ娘は好きで、かつ男のほうも好きな相思相愛の関係なのですが、娘は死んでしまいった今となっては、女はこの女友達のほうになります。またこの女友達も美しく成長して、土地の相続の関係で離れていた故郷に帰ってくるのです。