そこでこの女と近づいていく男を霊界から牽制するがごとく、シャーマンの娘は登場します。この愛情の三角関係と、四国のお遍路の呪縛との関係があるひとつの家系を通じて、ひとつの地域で、石鎚山の近くで起こり、その霊も鎮魂され、無事解決するといった話なんです。
しかし男はこのシャーマンと心中する形で犠牲になることで解決するといった意外とロマンティックな解決方法が用意されております。この辺はあの世でもうまく行くのかなあ、と思えるようなきれいな終わり方ですし、役者の存在感は女優二人には特にあると思います。このことがこの映画のイメージを良くしているような気がいたします。夏川さんと栗山さん。特に栗山さんは、多分何も演技していないと思いますが、気持ち悪い雰囲気を持った女優さんでした。
「シー・オブ・ラブ」ハロルド・ベッカー監督 1989年
実に意外なことにはじめてみる作品です。
アルパチーノ、エレンバーキンなら観ていそうですが観ておりません。
刑事役です。しかし題名は映画の中で流れる「愛の海」というナツメロのタイトルですね。
シーは彼女ではなく「海」でした。
プレイボーイが連続して、事の最中に殺されます。彼らは共通して新聞の出会いの欄に甘い詩を掲載して女の気持ちを惹きつけるのです。しかし3人連続して殺されます。犯人は女らしいということで、おとり捜査に走ります。それはこのプレイボーイ役を刑事が行うということ。ちょっとおいしい仕事でもあるので上司の許可はなかなか下りないのですが、まあやるしかない。
しかしそこで出会う被疑者の女性の囮としてアルパチーノが近づいていくのですが、なにか魅力を感じるのです。しかし半分疑っているのです。その疑いも晴れて結婚しようとするときに最後に彼女の家で徹底的な証拠らしいものを見てしまうのです。そのため躊躇しますが、それは実は彼女のもと旦那が彼女をストーカーして元妻が寝た男を殺して歩いていたというおち。
この結末は意外とたいしたことはないのですが、何がいいのかって、二人のラブシーンがいいのです。これはなんというか恋愛している二人の距離感ってこういうものだよな、と一目でわかるような感じで、エレンバーキンの演技の勝利でしょう。
それだけでも最高ですが、内容も枝葉の部分が面白かったり、今は主役級が脇役で出ていたりで面白い映画でした。こういう風に期待しないで観て面白い映画に出会うとうれしいですね。
「沈みゆく女」リン・ストップケウィッチ監督 2000年
「キスト」が意外と好きな映画です。テーマは異常なんですが意外と見ていて気が楽な映画でした。同じモリーパーカー(A)主演です。
ここではモーテルの受付のバイトをしている、欲求不満の主婦を演じております。旦那がナルシストで自分の美しさなどを捨てることが出来ない男で性的関係も淡白です。これがこのAには満足できなくて、体を売ることをはじめます。すると口コミでそのうわさが広がり、お客は次から次に集まってきます。その中にやけにやさしい男がいるのですが、だんだんその男と深みにはまっていきます。ここが盲点で、この男はそれがテクニックでAを駆け落ち、すなわち熱愛と思わせてその気にさせて家を飛び出させて、娼婦にさせるのです。
そのことを知ったAはぎりぎりのところで逃げ出すのですが、帰るところはもうない。しかし、まあ女友達が今までの行為を知っていながら友情を示してくれるというやさしい終わり方をする映画ですね。
確かこの監督、カナダの女流監督だと思ったのですが、女の欲求不満とやさしい女同士にしかわからない友情、思いやりをうまく描いた話だと思います。しかし平凡なストーリーであることは間違いないですけど。
「しなの川」野村芳太郎監督 1973年
これは昔ポスターが有名だったのと、監督で外れていないだろうと思い見てみました。
大正時代に訳ありで生まれた女の子が大きく成長した昭和4年ころの話です。旧家の家柄ですがそこに奉公に若い男がやってきます。Bとしますが沖雅美さんです。人気ありましたよね。この人の歌結構好きでした。多分いまだにシングルは持っていると思います。お嬢様をAとします。由美かおるさんです。この人は興味ない女優です。でも人気あるんですよね。当然、この旧家はしなのがわのほとりです。
BはAに身分が違うのですが「はつ恋」をするのです。もう初々しいのなんの。私ももう一度初恋なんかしてみたいですね。そしてAも当然Bに好意あるんです。わざと連れ出して川のほとりで裸になって水浴びをBに見せるようにするのです。このシーンが有名だったんですね。私はこのころは邦画はまったく見ないで洋画専門でした。
ひょんなことからAは自分の母親が生きていることを知ります。そしてそれを隠していた父親に対して軽蔑のまなざしを持って口もきかなくなるのです。そのために父親は長岡の寄宿舎に転向させることにします。なぜ母親は駆け落ちしたのか?それはこの父親(夫)が男色だったからです。
寄宿舎の生活ですぐに憧れの人ができます。国語の教師です。しかし学校にばれることとなり退学、教師はそのままAを引き取りたいと父親を説得しますが反対され、母親同様「駆け落ち」をします。東京に出るのですが世間の風は冷たくジリ貧の生活となるのです。
そしてこの教師は赤狩りにあって警察に捕まるし、実家からの捜索願により刑事がAを引き取りに来るしでAは実家に戻る、すなわち2番目の恋人とも別れなければならなくなるのです。