この地下鉄建設と霊能者?の戦いが並列的に描かれるのですが、加藤との戦いは加藤にゆきこ(将門の子孫)が子供として味方した時点で有利になってしまいます。地下鉄建設はこの将門の墓の近くをうまく掘れないのでロボットを使うということで関係するのです。そして加藤が将門の魂を呼び起こそうとするときに、ロボットは出発して、かつ、けいこも戦いに行くのです。ロボットのシーン、地面師(風水学者)と四天王との戦い、将門の墓のシーンがすごく動的なのに対して、加藤とけいこの戦いはやけに落ち着いてます。それだけ、静と動の対比で静的な部分の重要性が強調されます。この辺はすごくいいですよ。ギーガーの作品もたくさん出てくるし、金、かけているな、さすがバブル期と思う瞬間です。ロボットが犠牲になって「地脈」を断ち、かつDCが人柱になって将門の墓に入り込み静まります。瞬間、将門の顔が映るんですがいい感じです。そして加藤は死ぬ。「憎め、その憎しみが私を大きくする」という憎しみの代表者なんですね。
人柱になった3人は将門により助かる。子孫ですから殺しはしません。最後付近に風水学者が「この街は怨霊だけでなくもっと恐ろしいものが巣くっている」という言葉、資本主義の元凶の利己主義、自分だけ儲かればよい、などの考えでしょう。しかし儲かる可能性があるので人々は集まる。
大団円、玉三郎の占い札が「観音」だったのに風に飛ばされて拾ってみると「悪魔」に変わってました。その横を加藤のような軍服を着た男が通る。すなわち右翼化です。そして戦争へと突入していくのですね。その戦争の中で日本は「満州国」という独立国家を作っていくのです。まさに他人の領地を侵して利己主義に走るのです。まあすごい時代です。
この映画、話がちょっと見えにくいですが愛すべき映画です。最後にまた、「こうもり」のワルツがかかって終わるところがいいなあ。オリジナルの楽曲も管弦中心で良い曲が多いですよ。サントラ意外といいと思います。
「DEAD OR ALIVE 犯罪者」三池崇史監督 1999年
これは狙ってみているわけで、面白くないという人もいるでしょうが、私は好きですね。しかし冒頭で気がついたのですが最近、邦画ばかりというだけでなくやたらと大映作品ばかりです。しかし改めてみると、いいテンポですし、こんな描写は普通のまっとうな人生を歩んだ人ではできないだろうと思えるシーンの連続です。私も負け惜しみですが、このような世界と縁がないのでこういう映画が面白いのです。
途中「やくざはやくざですよ」というせりふがあるのですがやくざって何を持ってやくざというのでしょう?多分広域暴力団の指定を受けている団体と入所契約を交わした人たちみたいなものなんでしょうが、やっていることとすると、証券会社とかもやくざ的なところは十分にあります。最近はモラルハザードがひどいため誰がやくざかわからない面もあります。まじめそうな人が痴漢やってみたり、教師が教え子に手を出すとか訳がわからなすぎることが多すぎます。
まあ衝撃的なカットのつぎはぎですが、それなりにうまく編集しているのでなんとなく納得してみてしまうんですね。新興愚連隊と刑事の戦いです。前者が「三毛猫ホームズ」の竹内さん、後者が「黄泉がえり」の哀川さん。結局チャイナマフィアというのか?と歌舞伎町のやくざと刑事の三つ巴の話です。
横浜の中華街がロケで使われるんですが、知り合いの店の近くどんぴしゃで出てきました。びっくりした。うちから歩いて6分くらいのところです。
しかし刑事の娘が多分日本では非合法の生体移植が必要でそのために必要なお金が2000万円。やくざに借りにいくという矛盾が生じます。
あと関係ないのですが途中大学の経済学の講義の場面があるのですが、「自殺サークル」がハイデッガーの「存在と時間」をいい加減に引用したようなせりふがあるという批判にさらされているのは書きましたが、ここでもマルクスと共産主義について、大学の先生とは思えないユートピア発言をします。聞いてて馬鹿じゃないか、と思いましたもん。この講義アメリカでしたら笑われますよ。映画は変なアカデミズムは入れないほうが批判浴びなくていいと思うのですが。それより迫力ある銃撃戦のほうがいいなあ。容赦ないもん。殺すときに躊躇したら自分が殺されるという世界です。ここまで感情のない銃撃戦はこの監督の真骨頂だと思います。ほかの国も含めてこんな銃撃戦はないです。あの浣腸のシーンといい、ありそうでなさそうでやはりないだろう、という映像です。笑い。だから映画なんですけど。
刑事、チャイナマフィア(愚連隊)が、やられ、仕返ししつつ、最後の決闘に挑みます。あとは有名なシーンになるだけです。内容?そんなものはないです。何か音楽と映像に酔いしれて、暴力を楽しむ映画でしょう。あっという間の時間でした。こういう映画って映画館出たあと気分いいでしょう。
「天国と地獄」 黒澤明監督 1963年
今見ると、怪しい音楽でスタートするんですね。あと脇役に回る役者が豪華です。さすがという感じです。今なぜ見ようと思ったのかというと、市川監督の作品が続く予定ですので比較の意味とポルトガルのオリベイラ監督との比較したくて見ました。(なにか考え方が似ている感じがするんですが手法が違うと思うんです、その確認です)