そして衣食住という甘いえさを目の前にちらつかせて、罠にはまります。Aは逃げようというのですがねえ。
そして女は手りゅう弾をおなかに突っ込まれて死んでます。やるもやられるも紙一重。そしてどちらも本当は戦いたくないのです。最高の舞台を作ってます。それは戦争ではない、しかし殺しあわなければならないという状況です。
そして火であぶり出しされます。「ここで投降か」しかしあぶり出しの場合は殺すということです。参ったね。2人一組。
しかし中国では共産党の戦いが始まっていて、日本人、満州人関係なくやられていきます。とにかく「負けた国の女ほど惨めなものはない」という言葉に表現されております。「十六歳の戦争」にも出てくるテーマです。Aたちの理想の国家を作るはずの連中の暴力ということでかなりの衝撃を受けますが、道中は続き途中に日本人の女たちを拾ってまた一緒に行動します。ここで負った精神的傷もすごく大きいものです。実はこの映画民間から軍隊に入り戦争終結そして愛情の元への帰国への道中を精神修行になぞらえて作られているのです。修行というよりもうできた優秀な純粋な人格の変容と破壊の過程とも言えるものなのです。
敗残兵の部落があるのですが彼らは情報がないのです。負けたことも知らない。そして話題は満州がどうなるか。ソビエトは取らないで中国に帰すだろうとかいろいろな議論がなされます。実際にどうなるのかわからない人のほうが多かったでしょう。しかし同じ日本人同士で女と弟しかいない兄弟でお姉さんがロシア人に犯されるのを見ていて自閉症になった女を送っていくといって犯します。兵隊がです。女は希望がなくなるでしょう。
その兵隊が犯してすぐにAたちに合流したので問い詰めてみてわかった事実です。ここでこの章は、ばさっと終わります。希望はないんですよ。正義をどこまで保てるかです。きつい映画になってきました。しかし良い映画です。見ていてまったく飽きません。
「人間の條件」小林正樹監督 1961年
第六部 荒野の彷徨
題名自体が入力できません。すみません変換の仕方わかりません。
満州の問題で日本軍の兵隊との議論でソビエトは満州を中国に返すと思っているらしい。
蒋介石はほしがっているけど、八路が取るでしょう、という意見です。何も言わなくてもこの辺の事情お分かりですよね。わからない方はちょっと調べてください。私はこの辺までは日本人の常識だと思ってます。蒋介石にソビエトが返さないというのはアメリカの関係ですね。それが台湾と中国にもなってます。
さまよっている間に小山に篭城している連中に出会います。そこでは軍の規律がそのまま生きていて、一緒に逃げたいというものも脱走の罪で処罰されます。本当に無意味な殺し合いです。そしてよく考えてみればわかるのですが、ソビエトが下手に通すわけないですし、要所はすべて押さえられているでしょう。そのなかで可能性にかけているのです。主人公の場合は愛情にかけているのです。
ソ連兵とぶつかっても戦います。そしてソ連の兵器は捨てる。これは兵器略奪の罪の言い逃れができるからです。そしてポイントとなる一般人との接触の場面。開拓村へ乗り込みます。この人たちはもともと中国の人でしょうし、どう待遇されるか、まったく予測がつかないし、村によっても人によっても違いがあるのでしょう。この村は女ばかりでした。その長を笠智衆が演じてます。女たちははじめは怖かったけど日本兵より物をくれるだけまし、と売春をしてます。日本兵はただ乗り、食い物ねだるだけと厳しい評価。しかしこの人たちに頼まれたとはいえ、近くの畑に行って食べ物を盗んできます。そのときに見張り番も殺します。一体何人殺したでしょう。
高峰秀子にすごいこと言われます。「女はね一緒に逃げてくれる兵隊さんを待っているんです」「亭主もちは舌を噛み切ってしななければならないのですか」この言葉は梶の気持ちを揺さぶります。妻も同じだろうか?
一晩明けると女と残って避難民になろうというやつらが出てきます。これが普通ですよ。女と男が一緒。一番です。しかし梶は向かうべき女がいるのです。そこで各自の生きるべき道と思うように生きろ、となるのですが、そこにソビエト兵が来ます。ここで高峰秀子が飛び出します。なぜなら、後が怖いからです。ソビエト兵にばれてしまったので、仕方なく降伏いたします。このとき見ていてつらい。もうやるせない気持ちです。誰がわるいとは言いません、しかしこの胸のつかえは何なんだ、ということです。
ゴミ箱あらしを人に見つからないようにつけて配給食に混ぜて死なないようにぎりぎりの栄養を確保するのですが、その役をしている兵隊は「水洗いが冷たくて大変ですが、これで明日もみんな大丈夫だと思うと張り合いが出ます」というのです。生に意義を見出せる人、間は人間はまだ大丈夫ですね。しかしまた、日本人をいためるのは日本人でした。あの日本人を犯したやつは早く捕虜になった分、優位な立場になりました。そして主人公たちに復讐をするのです。将校たちも将校待遇をいいことに梶を押さえようとするのです。何故日本人同士でいじめあうのか?ソビエト兵もいじめに対して「やめないか」といい見ているやつを「お前らよく見ていられるな、とめないのか」とまで言います。
しかしまたまた日本人の通訳が言ってもいないソビエト兵の悪口を通訳します。もう心が苦しくなってきますよ。何で日本人はこうもお互いにいじめあうのか?外人にはへつらうのに。