前ページ

懐かしいです。これ映画館に観にいきました。当時、スティーブ・マックィーンが落ち目というか年をとり始めていて、最後の良作の部類でしょう。

すごく良い映画です。何で良いのか、それは監督の人生の一本だからです。誰でも人生ひとつは物語があるものですが、この監督はこの映画がそれにあたるのだと思うのです。また脚本も現実のパピヨンな訳で、真実味と男らしい部分がうまくミックスされてます。

さらにそれを引き立てる、映像のよさ、どの部分をとっても写真にしたいくらいです。最高の映画音楽。サントラ買いました。LPで出てすぐでしたね。何回聞いたことか。。

アンディウィリアムスの歌も良かったです(これはサントラに入っていないのですが)。俳優も演技というより絶対的な存在感があり、ダスティン・ホフマンなんか俳優というのを感じさせないドキュメンタリーみたいな雰囲気さえ漂わせる名演技です。そう、この映画はドキュメンタリーな雰囲気が漂う、素晴らしい映画です。内容はシビアですが音楽がロマンティック。はっきり言ってこの時代の映画はかなり観ておりますが、今から思うとかなりいい映画が多いと思います。中間期の変な時代ですがね。SWくらいから現代の映画なんでしょう。

はじめの脱走というか友人をかばっての逃亡と独房。さらには次の本格的な脱走。次に捕まったら独房5年の刑です。

ホンジュラスかどこかに流れ着いてすぐに警備隊に呼び止められ、ダスティン・ホフマン(A)を置いてけぼりにして仲間は撃ち殺されて、現地の犯罪者と一緒に逃げるあたりどうなることかと思いました。さらにAはどうなるのだろうかと心配したモンです。2回目からはそんなこともなく観てますが。しかしそこにたどり着くまでの船旅が二人の友情を永遠のものにしたのでしょう。実にいいシーンの連続です。

そして逃げているうちにパピヨンは吹き矢で撃たれて川に落ちますがそのまま、ある原住民に拾われます。今思うとここのところは話に説得性がないですね。

その原住民たちとの日々も楽園のような日々です。ここでも思うのですが監督はこの地域を知っていると思います。本当に監督のすべてをこの映画に出して、役者も本当に最高の演技をしているのですね。

しかし警察に密告したシスターは初めて映画館で見たときは唖然としましたよ。それはないだろう、とね。今観てもちょっとねえ。

そして5年の独房。

友との再会と永遠の別れ。この最後にかけてがまた良いのです。何回も言いますがこの二人の役者の最高の演技ですね。こんな演技を引き出す魅力が作品にも、監督にもあるのでしょう。とにかくこれだけ素晴らしい映画なら、一本しか代表作がなくてもいい監督といえると思います。音楽のジェリーゴールドスミス、この人の名前も永遠に忘れないでしょう。映画にのめりこむはじめの頃に観たいわゆる贅沢(ロードショー)の一本です。一人で観にいったんだよなあ。いまだに覚えてます。30年前になったらしいですね。年月のたつのは早い。

「張込み」 野村芳太郎監督 昭和33年

昭和33年の夜行列車は、まだ蒸気機関車なんですね。東京発鹿児島行き。これ急行「薩摩」って言いましたか。このような急行が走っていたんですね。急行なので寝台ではないのです。きついですよ。

とにかく警視庁の刑事2人がわざわざ佐賀県まである主婦を張りこみにやってきます。その家庭がドラマになるのです。ですから地味ですよ。

この主婦が東京での質屋での殺人事件の鍵を握っていると踏んでいるのです。しかし地味な生活なのです。

刑事はなぜこのい女を張り込んでいるのか?東京を探してもいないと踏んだので、昔別れた女で、今は人妻になっている女のところに来るのではないかという推測からです。またこの犯人は山口出身でそちらの方にも刑事は行っているのですが映画はこちらの女のほうがメイン。

しかし一週間何もない規則正しい生活です。まあ予定も終わって帰る準備をして地元の警察署に行っている間に女は動き出します。残った一人の若手刑事がつけていきますが、祭りにまぎれて見失ってしまいます。

しかしようやく見つけると、一週間見続けた女の表情とはまったく違う表情が垣間見れるのです。一緒の男はこの女にも嘘をついているようですけど、実際に犯人なのかわからないし、追跡している刑事の自分の考えを独白していくところはまったく予断を許さない展開です。

そして、この女と男の関係が明らかになるのです。当然、警察も元恋人同士と知っていて張り込みをしていたのですが、元恋人というには似合わないもえたぎる情熱がお互いの中にあったのです。そしてお互いの幸せのため、などという名分で昔別れてしまったことを後悔していて、久しぶりに会うなり愛情は爆発的に燃え上がります。この様子を見ていた若い刑事は自分の境遇を考えて、自分も後悔のないように気持ちに忠実に生きようと思うのです。

この映画では犯人はいるのですが、その犯人たちに人生の機微と愛情の大切さを、教えてもらう刑事がいるという面白い構成になっていると思います。

この犯人たちの愛情の会話だけでも聞いてみるといいと思いますよ。

 

 

「張り込み」篠原哲雄監督 2000年

続けて同じ題名の映画です。そしてちょっとアフレコがひどい映画です。役者の力量なんでしょうか。こちらは「はつ恋」の監督です。まずは舞台となっている団地よく知ってます。すごく余計な情報なんでしょうがどうしても現実と比較してみてしまいます。

次ページ