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そして映画の最後も田沼意次の一人がち、というか勝手に滅んでくれたというか、平和な時代の汚職は崩れにくいという感じの終わり方です。

 

「蘇る金狼」 村川透監督 1979年

これは原作を読んだことある記憶がある程度でほとんど覚えてません。

でもはじめ見たら雰囲気は思い出しました。松田優作は少しミスキャスト感が否めません。

冒頭の1億円事件、あれはありえない。それとその後の会社での会話。「経理部長は融通手形振り出してそれを元に貸付暴利貪る」「専務たちは下請けから半分不良品納入させて私服肥やす」これらはどういう意味でしょう。融通手形はいつかばれます。ここで「社長もぐるときているから」という会話がありますが、手形の裏付けの現金がなければ監査とおりません。不良品で単価安く原価コントロールしているなら会社の製品が安定しないし、めちゃくちゃな会社と言いたいのでしょうか?社会がめちゃくちゃといいたいのでしょうか?良くあるのですが映画監督は所詮は映画監督でサラリーマン経験ない人が多いのでサラリーマンの世界の映画化は難しいと思います。

その強奪した紙幣の番号が控えてあった(まあこれもないでしょう)ため、使えないのでヘロインに形を変えて、そのヘロインを使って中毒させてある人間を操る。という感じですね。しかし確実に見たものは殺していくので犯人とするといい形です。この麻薬のボスが市議会議員でそれは豪邸に住んでます。なにかこの映画に出てくる景色はおかしいんです。映画といってはそれまでですが、設定がおかしい。市議ですかね。その家が暴力団まがいの見張り番雇っていたら問題ですよ。またヘロインと現金の交換のときあんなに銃持っているわけない、というほど持ってます。またほとんど殺されてしまうのですが、そのとき一発も撃たないものでしょうか。

そしてこの油脂会社、重役の椅子を用意するということで殺人を会社の従業員に依頼するもんですかね。まあこれも主人公が仕組んでいるんですがね。用意された銃はまずい感じがします。抜け目なくすべて燃やしましたね。まあ特別背任、資本充実違反(うーんみんな商法違反だ)殺人教唆と脅して200万株手にしようとします。

実際手にして従業員兼大株主の誕生です。そして社長令嬢まで婚約してものにします。

そこにのっとり屋の登場。この会社のっとりたいとのこと。200万株を時価の3倍で買うとの打診。実際特定株200万株ですのでこののっとり成功でしょう。(役員の中から200万株調達してます)。売ってドルに変更の要求。そして有頂天になっているときに風吹ジュンが再登場。いやな予感です。いままでに成功を駆け上っているやつが女で何回失敗していることか。そんな映画は見たくないのです。飽きました。成功する映画が見たいのです。まあうまくいくなと、そしてヘロインも高く売れたし、多分この男は昔からの風吹の方を選ぶだろうと思ってみてましたが、なんだよ、この映画。また同じことの繰り返し。彼女に刺されます。ここで最高につまらなくなります。こんなものか。ダサい。

 

「黄泉がえり」塩田明彦監督 2003年

はじめから監督の実力、役者の実力がちょっと足りないのではないか、と思ってしまう。しかし大ヒットした事実は紛れもないので、今はそんな時代だと思うことにしよう。

「思いが人をよみがえらせるのか」という問いに、信じなかった女(A)は自分の彼氏もよみがえったかどうか、確認に同棲していた家に戻ります。当然、蘇っていない。なにか、きっかけや理由があるはずです。厚生労働省の役人(B)でAの幼馴染が調査にやってきます。場所は阿蘇。とりあえず「高砂」の木がある神社がありますね。

しかし面白いサンプルが出てきます。特別、表面的には「誰も生きていてほしい、戻ってきてほしい」と思わなかった人までも蘇ってきました。これでAの願いもまんざら嘘ではないということがわかります。

もうひとつは「夫が死んだ後、その未亡人を好きになって未亡人の経営しているラーメン屋で一生懸命働いている男」の場合。必死さから子供もこの男の人になつくのですが、夫が蘇ってから、この男の人のひそかな恋心は壊されます。さらに夫もいなかった間の子供とこの男の人の関係が良い感じなのを、ビデオで見て知るのです。上の戻ってきてもらいたくないと思っているというケースは、この男の兄貴のケースです。確かにうれしいのでしょうが、あまり願っていたことではなかったのですし、この男は兄貴が戻ってきたことと、好きな人の旦那が戻ってきたことを一緒に考えています。すごく短絡的。馬鹿だなあ、と思ってみているんですが、この辺、言葉がなく音楽、それも管弦中心で映像で語れば、雰囲気は当然一気に盛り上がります。

あとはいじめられて自殺した高校生や子供を自分の命と引き換えに死んでいった母のケースなど、あとから死んだ人が戻りその人たちの存在理由が再確認されるケースが出てきます。

しかしAの彼氏が戻ってこないように、クレーターと重力異常が蘇りに関係するみたいです。さらにお墓の位置があるエリア内の限定されています。Aの彼氏のお墓は海の中。しかしこの彼氏を好きだった女のこのところに戻ってきているのではないかとAは疑ってしまいます。BもAが彼氏のことをそんなに思っていたのか、初めて知ります。これは本当に思っていたのか、思い出を美化しているのか、微妙なんですよ。実はBの方が合うんですけどね。

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