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そしてこのFは不祥事の資料を自分の立候補者ではなく相手方に返します。Fはからす、になってます。どっちでもいいように、そして自分は裏の世界で長く生きていけるように策略してます。そして息子にDなんて田舎娘じゃ、大きくなると邪魔になる(その通りです)と指導すると自分のところに来ないでGが連れて行ったとはいえ夜逃げした女だし、と捨てる気持ちになります。そうなるとライバルのほうも要らない、女の売り方を失った形です。そうしてAのところにきて愛を告白するのですがAは常識を持って良き道を検討します。そうして議員になった息子のところへ引かされるんですがFが策略してそのまま満州の女郎にDを売り飛ばします。このころ満州が建国ラッシュで女郎を売るといい商売になったらしい。これは逆に言うと戦争映画で満州が出てきて女郎がいることでもわかります。それを国内のこんな小さな幸せも知らない女の子を中心に描くとこういう話になるのです。ということで結構好きな映画です。満州にDが売り飛ばされると知ったAはどうにか女郎の仲買人のつてで途中で引き渡してもらいます。「価格破壊」でも出てきましたが商人同士の絆は意外と固いものです。便宜図ってもらえますからね。お客様はお金の関係でしょうが取引はお金では買えないものがあります。連れ戻して、多分、いろいろと犯されひどい目にあったんでしょう、Dの変わった姿を見たAは(高倉健さん並みに殴りこみでしょうか?と思ったんですが本当にそうなります)殴りこんで、警察までぐるなのを暴くのですが殺しはしない。これ後で致命的になると思うんですがね。

ここで都合よくGは出所して、Fのお金をすべて持ってDのところにいきます。当然Fの追っ手は来るわけで(まったくGはトリックスターですよ、出てくると話がこんがらがるような存在)、ここでGの一世一代の大勝負になるんでしょう。Aの残ります。しかしそれを観てDも逃げるのやめるんですよ。観ていていらいらします。何のために戦ってんだよ、と。しかしGに刺さりそうな刀を手で止めてしまうのです。Dの手は当然切れて落ちてしまう。そのまま逃げても最後にFが追いかけてきます。(いままでの追っ手はどうしたんだよ、とも思えるんですが)Fの撃つ拳銃にあたってAの息子は危篤に。当然、逃げるよりとめて勝負したほうがいいです。刺し違えるんですが、Aは一応生きてます。後はごたごた話しが続くんですがどうでもいいでしょう。

しかしこの話の中でも、ことあるごとに、ここには住めない、大阪、東京に逃げようという話が出るんです。ここなんですよ、田舎で生活するには「筋」の通った生活しかできないのです。都会はいろいろな人がいるから、ごまかしが利くけど。田舎の風景というのはそのような節度はあると思います。そういう景色が出てくる映画が好きですね。いまでも田舎で変な事件が起こると、変な人間が入り込める場所かどうか確認するくらい、日本の田舎は生活は(慣習的にも)硬いと思います。役者が悪いとか、あまり有名な人が出ていないとかあるかもしれませんが、みんないい演技でいい映画でした。こういうのいいなあ。

ロケで近江八幡とあったんですが、なるほどわかる気がしました。

5/21

 

「県警対組織暴力(けんけいたいそしきぼうりょく)」深作欣二監督 昭和50年

昭和38年倉島市とあるんですが、冒頭に事実を下のフィクションとあるので、倉敷市でしょう。なぜか「バージンブルース」についですぐですね。何か不思議な縁だなあ。

警官がチンピラを捕まえたら殴りこみの前ということで、殴りこみに行かせる。そのほうが処分が早いという論理です。しかし無銭飲食だけは許さない、というところはいいですね。うちでさえ一度やられてます。携帯がいけない。携帯で電話出ている振りして出て行かれてしまった。

とりあえずこの映画おかしい。どうおかしいのか?それは警察と暴力団が仲良すぎる。たまに喧嘩するけど、警察に暴力団が出入り自由というのはどうみてもおかしい。常に警察にたてつくシーンがあります。それは警察官が金銭的便宜を受けているの知っているからです。あと刑事部長が以前、暴力団の抗争を報告しなかったのでそのことがばれるといけないので現場主義で刑事と暴力団が話をつけてます。だからやりとりがギクシャクしておかしささえあります。このおかしさは面白さですけど、これ事実に近いんでしょうかね?

地元系の暴力団が警察に、大阪から流れてきた外様が大きな態度で市会議員も寝返ってこいつらの仲間になっているので調べてほしいと依頼するのです。すると警察は外様のところに行って一人捕まえて、一切面会謝絶、暴力団から何の差し入れもないというウソの状況を作り、孤独に追い込み、自分の組織に疑心を持たせすべてを白状させるんです。それを捜査に使うのでなく、地元の暴力団に持っていくのです。それは競売物件の落札を無効にするべく、警察が新興の暴力団のほうを検挙して、入札無効にして競売無効の申し立てを競売物件所有者にさせて、その仲介を地元暴力団が買って出るというわけです。これじゃ、地元びいきの警察です。しかしねえ、男と男の情というのはひしひしとにじみ出ているんです。新興の連中はそれがないのです。現代的といえば現代的。しかし警察のほうが浪花節なんでそれが胡散臭くてたまらないし、地元のやつに花を持たせたいのです。

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