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この警察と暴力団の関係は男の友情と賭けです。ある一介の刑事があるチンピラに花を持たせて大きくさせるという気持ちで殺人(敵対暴力団組長殺人)を見逃してやり、男もそれに応えて組を大きくするというものです。ですから刑事も積極的に新興の敵対する暴力団の探りを入れるわけです。ですから警察みんなが悪いのではなく、一介の刑事の話なんですよ。それもあくも方便というところもあるのです。悪はなくならないとしたらその悪は掌握できたほうがいいという考えもできるわけです。さてとこの二つが火花散るときがきました。警察がチンピラを護送していたときにダンプ(新興やくざのチンピラ運転)が突っ込んできて衝突しそうになりました。このがわざとかどうかは定かではありません。どうでもいいことです。しかし警察に反抗していたとき護送されていたチンピラが手助けをして殺してしまうのです。まあ新興やくざにはいいきっかけができました。殴りこみです。会えば殴り合い、殺し合い、一般市民にも影響が出ます。そこで県警が乗り込んできます。その長は理想主義者で倉敷の警察署とはまったく違います。就任演説が法に忠実たれ、組織に忠実たれ、暴力団との私的交際は絶てですから。そして見逃したやくざのことを聞いてきます。そんな時に組長が出所してきます。しかし完全に骨抜きになり、おかまのダチを連れてくるし、毎日、読経を一時間は欠かせない人間になっています。そんなときに県警の刑事部長が組に来ます。根掘り葉掘り聞きに来たのでしょう。この組長から落とします。組長に部下が裏切り行為をしていると吹聴するのです。そして今度の刑事部長は警察と暴力団の癒着を暴くためでもあるのですから昔ながらの暴力団のほうに厳しい制裁を加えていきます。組長が組を解散します。そして組員は新興の暴力団の組長に進退を預けるべきとまでいうのです。ここまでいくと今度は警察は新興暴力団とグルと思いますね。そんなことしそうもない刑事部長ですけど。

しかし癒着刑事は捜査からはずされるしやくざは最後の抵抗に出ます。その前に逮捕状が出ているので散り際を飾るのです。篭城して街中でもぼんぼん、発砲します。この篭城をとく説得役にあの捜査からはずされた刑事が選ばれます。そして警察に暴力団の幹部を引き渡すから、刑を10年以下にしろ、新興暴力団の解散、これからも自分流儀の操作の継続を認めることを条件で出します。もし飲めないなら、今までの不正の事実すべてをマスコミに公表する、かつ暴力団の幹部をこのまま篭城作戦に戻れるようにするというカードも用意します。まあ刑事も人生を賭けました。

しかし最後に目をかけたやくざはこの条件でも裏切ります。それを見てすぐさま撃ち殺したのは癒着刑事。

そのあと、まじめな刑事部長は新興暴力団が絡んだ用地買収の跡にできた石油会社で役職もちで転職、ほかの癒着刑事や元の警察署の刑事たちは閑職や左遷。そして例の癒着刑事は多分、敵を討つというチンピラの手にかかって死んでいくのです。

最後が寂しいですが、意外と作りこみが良い面白い映画です。

5/22

 

「オーディション」三池崇史監督 1999年

この映画は面白いです。一生の伴侶をオーディションで決めようというのです。

まあ連れ添ってきた妻に先立たれ、男の子(高校生くらい)と二人暮しが始まりますが、自分の子供に最近いけてない、といわれて、「結婚でもしたら」といわれるのです。それで、そうか、とその気になるほうもすごいですが、その件を友人に話すと「オーディション」で選んでみたらというのです。この映画の前提として、家庭が悪くない連中ばかりが出てくるということです。ですから、この男(A)にも生活力があるし、今度は手に技術がある女がいいというのです。それは「いざというときに、何にもできない女は頼ってばかりになる、手に職があるとそれが自信になるから女がりんとしていていいというのです」。この辺がキーワードなんですね。女は優しければ、子供と家庭のことを第一に考えてくれるようならいいと思うのですが、少しAは欲張って変な価値観を持ってます。

またAの友人が映画制作とかに関係していてしょっちゅう「オーディション」をやっているからこんな話になる。普通は映画制作している友人なんていないですよ。私はいません。

事前に履歴書であたりをつけておきます。そして面接に立ち合わせてくれるのです。履歴書ではわからないですもんね。しかしAの信念は変わりませんでした。

その人が(Bとします)面接に来ると、それまで黙っていたAが突然話し始めます。面接も並行して行っているのですが、Aは少し舞い上がり気味でBとコンタクトとろうとします。簡単なんですよ、連絡先もわかるし「製作のものですが」といえば会ってくれます。しかし友人の勘のほうが正しかったのです。「才色兼備でおしとやか、おまけにバレエまでやっている、独り者の女」なんていまどきいないよ、と止めるのです。実際に勤め先とかバレエ教室などを問い合わせてもすべて今は閉鎖されております。ということは連絡先は履歴書の電話番号だけなんです。そこにAは電話してアポイントとってデートに誘います。ここで、も一歩Aのミスがあるのですが、Bが積極的に個人的な付き合いでもいいから相談相手になってくれ、というのです。まあAは舞い上がる。しかしCはますます止めるのです。おかしいですよね。順調すぎる。裏があると。そして相手から連絡があるのを待て、と忠告するのです。実際Bも待っていて、こういう待っているときに連絡のある男しか相手にしないのです。この女はこうして連絡ある男を殺すというか半殺しにしていく趣味があるのです。なぜか?幼児期にうけた虐待が性格をゆがめて男に対する仕返しを精神的に植え付けられたのです。

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