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そこでまず「スリ」に会います。仕方なしに次の日にバイトを探します。まずはピアノ。ここで弾いているの、バッハですかね。曲調はそうです。あとは変な人ばかり絡んできて仕事にありつけません。結局ウェイトレスの仕事をするのですが、そこでお客に来ていたカメラマンに認められモデルにならないかとアプローチされます。しかし女優としてのBはこの映画はかなりブスなんですよ。もとは良いですけどね。結局モデルになるんですが、撮影場所にテロで崩壊した世界貿易センタービルがあります。それをバックにポーズをとるという観光客顔負けの構図です。実際できた写真も良いものがないんですよ。これは私の基準で判断してですが。映画では美しいだろ、という感じです。しかし衣装は洗練されてきました。(この辺の衣装はイヴサンローランが担当です、もしも田舎時代のもそうだったらどうしよう、馬鹿にしてしまいましたモンね)

次にまた急にパリのノートルダム寺院が映ります。舞台は再びパリに。撮影に来ているだけです。しかしそこで女の人(Xとしましょう)に見つめられていて、その女の人を写真にとっている男(Zとします)がいます。

またすぐにNyに戻って、ある絵画の展示会のパーティで男から美しいとBは声をかけられます。男はルドルフ・ヌレエフです(G)。一度だけ衰えたころ、まさにこの映画よりあとに日本公演で観たことがあります。彼は踊らないのですが、次のシーンでBが自分の部屋で踊ってます。笑い。ちょうど「フラッシュダンス」みたいな感じかな。この年ですよね、この映画。ちょうどこのころ毎年NYに遊びに行っていたモンで雰囲気はつかめてます。

この出会いのあと、GはBに影絵のように付きまといます。またBはGが気になるから付きまとわれても悲鳴をあげるでもないし、逃げるのでもないのです。正体を知りたいのです。「私はバレエダンサーだ」なんていわなかったですけどね。この映画で初めてこの二人のツーショットは決まった、と感じました。二人の距離感と関係の雰囲気がすごく良いです。ヌレエフはそれこそ美女の館にいるわけですし、慣れているんですよ。ヌレエフがBに付きまとう男(田舎での腐れ縁)を殴るシーンがあるんですが、もうまさに「ロメオとジュリエット」の一シーンみたいな映画離れした雰囲気が出てます。これはすごく良いです。はっきりいうとこの映画はこの二人のシーン観ているだけでいいのです。あとは何もないんです。BはなぜかGに惹かれる気持ちを意識してますし、Gももう積極的。すぐに部屋につれてきます。その部屋で一連のテロ組織の犯罪を聞かされます。パリで写真を撮られていた女もテロの一味でZがテロを追いかけているGの友人です。Zの父親はナチスにアウシュビッツで殺されたのです。そんなことはどうでもいいのですが、この二人の会話は聞いているだけでぞくぞくしてきます。私が二人とも好きなせいもあるのでしょうが

ヌレエフは良いですよね。彼を見ているだけでいろいろなバレエが頭に浮かびます。「海賊」とか「ドン・キホーテ」とかね。その点ミーシャは映画に出てもバレエシーンがある映画ですのでうまいですね。ヌレエフも「バレンチノ」があるんですが。

ここでバイオリンを出して(Gはバイオリニスト)演奏するのはバッハの「シャコンヌ」です。いい曲です。バッハ尽くしですね。そのあとの演奏はBの体の上で、となります。良いなあ。

すぐにパリに切り替わります。Gはリハーサルでパリに行ったということ。BGはともにこちらの町のほうが合います。Gなんか芸術監督してましたモンね。そこでGは告白します。「私が復讐魔だ」と。Bはおどろくとともにうそをつかれたことで怒ります。そして帰るのですが、今まで言われたことを思い出してBは一人でZに近づきます。この二人がおしゃべりするのがマクドナルド、これはがっかりしますよね。科学調味料の体臭が消えなくなりますよ。そしてGはBをアジトに連れて行きます。そこでは次なる爆破計画が計画されてました。協力しろというのですが、まあ今回は間に合わないので、次回もしやる気ならとテロ組織と別れます。ここでテロの犯行前に計画知っている人間を逃がすのはおかしいでしょう?当然追跡がついてます。Bの向かう先は?当然Gです。リハーサル中でした。チャイコフスキーのバイオリンコンチェルト、「北京バイオリン」でかかっていた曲ですね。

さあ、テロの親分と復讐魔の対決です。まずはGの仲間が殺されます。これは外で見張っていたテロ一味に面が割れているからです。そして逃げようとするところをBGに見つかり二人は追いかけます。そして同士討ち。生き残ったのはBだけという悲惨な終わり方をします。

いい映画だと思います。詰めの甘さはあると思いますが、モデルは当時の一流のモデルを使ってますよ。かなり一流尽くしの映画です。もっとゴージャスにすればよかったのに。もったいない。しかしこの映画世間では評価低いです。よく世間で評価低い映画を私は良い映画だというのですが、主題とかドラマツルギーよりも「場」の雰囲気とか役者、景色に惹かれたりするからだと思います。

5/25

 

「にっぽん昆虫記」今村昌平監督 1963年

まずは、妊娠のシーンから。家で出産してますね。人間だけ人の手を借りなければ出産できないというのも実はおかしいことですもん。大正7年のことです。

次は大正13年、すでに子供が2人います。みんな親が違うという話です。山の神様に献上するこけしを夫は作っていますが、妻はほかの男とまだ子供作りをしております。多分、この夫との子供は一人もいないと思います。しかし子供戸籍上で育ての親になついています。これって戸籍が入っていれば実の親なんでしょうかね。出生届も本人が出してますから。

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