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そんなときに鳶のエースが帰ってきます。健さんです。(Aとしますなんていえないですよね)すぐに頭になってくれと周りの願いがきます。しかし「無理と断りますが」無理やりに頭の羽織を着せられると「受けます」。この受けるということは周りの懇願を(信頼を)受けるというすごく重いことなんです。それを承知でなるというのはなかなかできない。今は逆に周りから頼まれなくても自分が、俺がなりたいというやつのほうが多すぎます。

そこに良さんが来て「俺がいる限り俺の一家とお前のところを敵味方にはさせないつもりだ」とかっこよすぎる。良さんの妹が純子さん。健さんの家で待っているとのこと。結ばれます

そして入札。新興は白紙。結局、一番安い値段を読み上げてできレースにしようとするのです。それがばれて、鳶の連中に落ちます。しかし良さんは疑われるし、土建の仕事に口を出してはならないといわれます。絶対に「渡世の仁義」は守る男なのにもったいない。

そんな時新興の親分が良さんの妹を嫁にといいます。

しかし新興の親分の嫁に、と言われてた女がいます。当然断りますが、話はややこしい方向に。借金のかたなので、金を作らなければなりません。鳶の一人(B)が火消しの纏を質入して金を作ります。しかしそれが敵の手にいってしまいます。みんなでお金をかき集めます。小頭の母親も気風が良いですよ。また金を返すときの気風のよさ。集まったお金すべて、多い分は利息でつけてやれ、と。たった一日ですよ。この辺の一言一言がすごく勉強になります。しかし金を持っていくとそのBは殺されます。そして警察沙汰にされ、Bの一人芝居ということになります。纏は当然帰ってきません。しかしBの好きな女が新興のボスのところに行けば問題は解決です。行く決心をして、纏を火事現場に持ってきて「堪忍してください」という女、それを受け取る健さん。しかし女は自殺をします。その死体を持っていってお礼を言う姿は泣かせます。しかしこれにもめげずにどんどん業者を引き抜き、脅し、仕事ができないようにします。そこで良さんも新興土建や博徒を破門になります。これで良さん健さんが二人で殴り込みをかける準備はできました。その前の藤純子さんのせりふは女の気持ちそのままです。

最後に警察の捕まるとき、警察は個性喪失した役人で、中央に男と女。女が自分の作った着物の着崩れを直してあげて、いつまでも待つと無言の返事。良いですよというより最高の映画です。

5/27

「妹(いもうと)」 藤田敏八監督  

バージンブルースが思いのほかよかったんで期待してますが、見た記憶あるんですよ。覚えていないということはつまらないということなんですが、今見るとどうでしょうか?

兄役の林隆三さんはいいのですが、妹役の秋吉久美子さんはいまいちの感じです。しかし、出てくる俳優はすべて今と違う感じがするのです。なにが違うのか、服装だけなのか、よくわからないのですが、観ていてそう思うのです。これは何なんでしょう。まあはじめに早稲田の近くで懐かしいですし、「かぐや姫」の「妹」が流れてくると「懐かしいなあ」という気持ちでいっぱいになります。途中で気がつくんですが、この歌詞どおりに映画のシーンが進むところもあるんですよ。当時なら当然、そのつもりで見たんでしょうが、今となって「かぐや姫」とか忘れているとすごく懐かしいです。しかし良い曲ばかりありますよね。そういえば最近、「なごり雪」という映画もありました。

まあ妹の結婚相手?も妹がいて、兄と嫁が同時にいなくなったのでお姉さんの実家に来て見ると妹と兄しかいないんです。それで今度は早稲田のほうで兄と妹と妹(妹の嫁ぎ先の妹)の変な関係が出来上がります。こう書くと難しそうですが、単純なものです。

実家では行方不明の夫というか弟たちを探しているのですが見つかりません。なぜ別れたかが焦点ですね。

しかし実は別れたのか、夫が蒸発したのかわからないのです。とにかく鎌倉にブティックを持っているのですが、その店をほっぽらかしていなくなってしまった。その夫の兄弟はみんな秋吉のせいだというのです。このブティックは鎌倉の御成通りにあります。これ実際にある店だと思うけど、景色はまだ活気のあるときの鎌倉です。いま御成通りは死んでますよ。

ここで兄のほうは鎌倉の店に行って、妹を引き取って手伝わせてくれ、といいます。妹が中途半端になることを避けたいのと、相手方の妹にも興味があったんでしょう。 しかし行動の動機がみんな若くて、いまの私ではついていけないというか、若いなあ、と思ってしまいます。

心中は出てくるし、なにか登場人物は、不安定なんですよ。結局不安定なまま、年をとって小さくまとまっていくんでしょうけど。

妹は、夫を殺していたみたいで、兄が鎌倉に帰れといったときにその殺した崖の上の寺に入って尼になり、そこの若い寺の住職と駆け落ちしてしまいました。いつか兄とも再会できることでしょう。ほんのつかの間の兄弟水いらずでした。

よい映画とはいえないと思いますが、心に何かは引っかかります。

5/28

 

「カタクリ家の幸福」 三池崇史監督 2000年

観てからかなり経ってから書いていますのであいまいな点があるかもしれません。まず、総論はすごく楽しい元気の出る映画だということです。これも人それぞれなんでしょうが、私は、すごく落ち込んでいるときに観たのですが、途中から晴れ晴れしい気分になりましたよ。

多分、出ている俳優がすべて好きなのと、嫌いな俳優が助演に回っていることあたりがまたまた良いです。「女はバス停で服を着替えた」ではないですが、遠藤さんあたりはこういう変な助演が似合うのであって主役をやるべきではないです。これは竹中さんにもいえます。ジュリーとか松坂慶子さんが主役には向いてます。ですから映画の骨格がこの監督の映画にしてはしっかりとしているんです。丹波さんまで出てますしね。

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