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丹波さんといえば、おじいちゃん役なんですが、カラスを、薪の木を投げて打ち落とすのが得意な才能を持っております。2回だと思いましたが、この薪木投げのシーンは素晴らしい。あんな素朴なシーンですが、こんなに楽しい気分になるなんて、監督の才能ですし、役者のセンスでもあると思います。

話は脱サラしてペンションを始めたけど、お客様は来ないし、子供たちも中途半端だし、とどこにでもある話です。本当にどこにでもありますよ。

このペンション、本当にたまに来るお客様は変なのばかりで、なぜか、みんなこの家族が悪いのではないですが死にます。ここで「地獄モーテル」だったっけなあ、こんな題名の映画思い出しました。これは確信犯で殺しては死体を穴に埋めるんです。そんな悪いことはしていないのに、死人が出たという評判が立つとお客様が来なくなると心配して、すべての死体を穴に埋めて処理してました。そんな中、娘が詐欺師に引っかかったり、犯罪者が来て、めちゃくちゃになったところに近くの火山が爆発して、家が流されるのですがみんな一致団結して家を守ったら周りの景色もきれいになって、最高のロケーションにペンションは生まれ変わった、というような話です。

途中、この映画はミュージカルコメディで、歌あり、ダンスありで最高に楽しいですし、歌もロックから演歌まで、踊りもまともなミュージカルから丹波さんが参加する冗談ダンスまで、レパートリーが広くて飽きないです。

また人形アニメがはじめと途中に入るのですが、これも効果的ですし、途中なんて忌野さんと丹波さんの戦いのシーンは二人ともアニメに変化します。

 

何を書いてもこの映画の魅力は語れないと思いますし、観ていない方はぜひご覧ください。きっと楽しいと思います。こんな映画を邦画で作れるなんて考えてもいませんでした。本当にすばらしい。

5/29

 

「カンゾー先生」 今村昌平監督 1998年

最近は今村監督の映画が多いです。多分この後すぐに「神々の」を観ようと思います。

「復習するは」はあまり好きではないのですが昔の映画はいいのが多いですよ。

しかしまたこの映画は時代が戦争中です。主人公は医者(A)ですが、やはり現代の俳優を使っているので、戦争の兵隊の雰囲気は1950年代の戦争映画と比較して格段の差があります。実に兵隊らしくないのです。これは、日本人といってももう今の人と戦時中の人は人種が違うといっても良いくらい違います。

日比の紫雲閣も出てきます。いい名前ですね。ナチスの無条件降伏の後ですから45年6月くらいです。このころは日本の攻撃もめちゃくちゃでした。特攻隊だけでしたね。沖縄は当然陥落してます。原作は坂口安吾「白痴」以来です。

医者が主人公ですので「静かなる決闘」とほぼ同時期の医者です。それにしてはまじめさが違うし雰囲気が違うのは監督の違いもあるでしょうが、作品のとられた時代によるものです。もう今の日本で戦争中の景色人物を撮ろうとしてもできません。70年くらいまでではないでしょうか、それが可能だったのは。この景色は今の景色でしょうが、瀬戸内海の静かな波と町並みはいい感じで映ってますよ。

淫売の女が、医者の看護婦になって正しさを感じていく流れがあるのですが、それでもおおらかな性生活というのはすごく感じます。日本はそういう区にうだったんですけど、今の都会的個人主義のなかでは消えてしまいましたね。昔の日本は子供が多かったですもんね。なにが変わったのか、母性がなくなったのか、脂ぎる男が減ったのかわかりません。笑い

そして、学会ではやはり肝臓病がはやっているというコンセンサスを受けた次の日、故郷に帰ってみると捕虜が逃げておりました。その捕虜を、淫売出身の看護婦は、こともなげに入院させます。先生は仕方なく往診するのですが、体中傷だらけ。この捕虜はカメラ技師で顕微鏡のセッティングをしてくれます。そして死にそうな患者がいると、遺言ですぐに埋めて腹を冷やしておいてくれ、と書いてくれるように懇願するのです。そして土葬の後すぐに掘り出して肝臓を取り出し、顕微鏡で研究します。肝臓を取り出すとき、満州で日本軍がやっている細菌研究の話を友人がするので変な想像と罪の意識で少しおかしくなります。しかし肝臓をすりつぶして顕微鏡で見ると、まあ映画ですね。ここに軍隊が押し寄せて、この捕虜を連れ去るとともに、医者やこの件にかかわるものをすべて連れ去ります。観ていて寂しくなりましたよ。この瞬間。

まあ日本人はすぐに釈放されますが、捕虜は虐待されます。このころから終戦を象徴するようにめちゃくちゃな行動をとる人間が増えます。役場の会計係は使い込みして出家、モルヒネ中毒の外科医はモルヒネを盗みに軍の施設に乱入、軍医部長は権威で料亭の女将を抱く、など、など。人間がやけになっています。

しかし主人公の医者は開業医で研究医ではないことを思い出します。そして

治療に専念する。と島への往診の帰りに鯨に出会います。瀬戸内海に迷い込むことがあるのでしょうか?エノラゲイという鯨みたいです。8月6日のことでした。淫売女は鯨を捕獲に向かいます。逃がしてしまったところに鯨と原爆が重なります。そのきのこ雲は肝臓のようだと、。二人は結ばれ、戦後を平和に生きていくのでしょう。

5/30

「ケンパーク」ラリー・クラーク監督  2002年

この手の映画は弱いです。アメリカの日常ほど絵にならない景色もないと思うほど、いやな景色です。「アメリカンビューティー」もそうでした。この映画もそうです。さらに現代の嫌な部分も描かれており、モラルハザード、冷蔵庫にビンやかんなどの一人分の飲み物が入ってます。よく映画では出てくるのですが、そんなに冷蔵庫

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