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「謎の戦艦陸奥」 小森白監督 1960年

邦画を続けることは避けようと思うんですが続いてしまいました。

昭和18年6月8日瀬戸内海、柱島沖で謎の大爆発をした、ということは事実とのことです。この映画も魂の鎮魂を含んでいるとのこと。そういえば松本監督のほかの作品も見ないといけないですね。「十六歳の戦争」はよかったけど「薔薇の葬列」がいまいちでしたので先に進めません。多分私が幼いのだとは思います。それはこの映画でも痛烈に感じます。というのは、兵隊の言葉がわからない。これ一回見ただけではたぶん理解できないでしょう。まともな軍事用語をしゃべられるとわかりません。ミッドウェイでの戦略の変更を山本長官が言って来たということ。この連合艦隊司令長官も4月11日ガダルカナルの近くで戦死。なんとうちの開店記念日ですね。

このミッドウェイで空母を失っても陸奥は引き返せと指示を受けていたのです。何ででしょう?陸奥が日本海軍の象徴的存在だからです。この陸奥と大和は結局は時代遅れになってしまったのですが。それはアメリカ軍が空母を撃沈させたことでもわかります。

その陸奥を沈没させて戦意喪失を狙うスパイたちがいます。とりあえずこのスパイは東洋系です。乗組員の国に対する憤りを利用して爆破させようとするのですが、それ以前に、国への忠誠のほうが上で失敗します。次なる手は、今アメリカで警戒している、靴に爆弾を仕込む方法です。結局スパイはドイツ人で爆薬庫に爆薬と一緒に積み込まれた爆弾が1つだけ見つからずに爆発してしまい大爆発になってしまいました。こうしてみるともったいないですね。先日の大和といい、意味のない沈没の仕方をしております。うちのお客様で60歳以上くらいの方に何気なく聞いてますが、戦艦陸奥は男女問わず、大体の方知っていました。私は存在自体も知りませんでした。

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「富江(とみえ)」 及川中監督 1998年

邦画が続きますが、これはホラーとはいえ気楽です。漫画が原作なんで、少しいい加減なところは感じるのですが、すごく傲慢な女が出てきてその女Aが思った相手のすべてを取ってしまうという設定です。この人物は漫画の原作者の特典映像にあるのですが「昔女性恐怖症だった」ことから作り上げられた人物像らしい。その人物の名前がこの映画の題名です。しかしほとんど顔は出てこないで、嫌がらせをされる女のほうが中心で進行します。ですからこの女性Bが主役でしょう。中村麻美です。まずはこのBの近くに男の子Cが引っ越してきます。そしてCは何かを育てているのです。なにかこの泣き声が気持ち悪いのですが、「憎悪」とも呼べるような抽象的なものでしょう。映画では生き物ですけど。

Bは楽しそうな外見ですが、友人関係もギクシャクしているし精神科の睡眠療法にかかるくらい気の小さな女の子です。専門学校(写真だと思う、関西から一人上京、彼氏と同棲)くらいなのでしょうか。3年前の事故で記憶障害にはかかっております。何の事故かということですが。

ともあれ、このころから嫌がらせが多くなります。自転車壊されたり、真夜中の泣き声や無言電話など。

そして刑事が来て、事の真相というか事実関係がわかってきます。3年前Aがある学校に転校してきてクラスが崩壊したとのこと。そして逃げるようにAが失踪した。その先がBのいるクラスで仲良しになったんですが、Bの彼氏に殺されたらしい。しかし遺体がない。この理由を求めてはこの映画はだめなんです。Bが彼氏をAに奪われそうになり、最後まで理由を探していましたが、理由がないところがホラーだということ。ただ、何回も生まれ変わったり、寄生虫のように乗り移ったりするのか、Aは何回も殺されている記録があるのです。今回は冒頭に出てきた変な生き物を男が飼っていましたがそれがいつの間に大きくなって「富江」になったのです。菅野さんかなり、気持ち悪いです。でもかわいい子らしいですね。まわりで好きだという人結構います。初め「えっ」と思いましたけど、かわいいのでしょう、と思うことにしました。そして、かなりの驚きはあるんですが、この男はABと同級生だったんです。そして精神病院から脱走したらしい。彼自身も自虐の性格があるんですが(それが「富江」の命令かもしれませんが)。彼が言うのは学校のみんなでAを殺してばらばらにしたんですが、Aの首が土の中で生きていたとのこと。これは実写で見たかったです。今モラルの問題があるのか、ばらばらにするシーンとか少ないですよね。昔ホラー映画を見ていなかったので、昔規制される前の映像というのは見てみたい気もします。ホラーはここ最近見るようになってしまいました、だって怖くないからね。怖いのは怪談系。特にうらみとかで死んだ霊の話。確かに生首とか出てくるんですが、作り物とすぐにわかるし、結局、怖さというのは不条理の中にも存在しますが、自分の罪悪感と対になっていると思います。悪いことをしていないので、怖くないんじゃないかと思います。人をだましたり、早い話、殺したりしているとこういう映像でも怖いんでしょうが、私はまったく怖くないですね。しかしかなりいいつくりの映画だと思うんです。そして監督のセンスもいいと思うんですけど、なにかホラーオタクではないでしょうかね。

そして映画はだんだん、この場所でもABの周りの人がいなくなっていきます。死んでいくのです。中でレストランの従業員が惨殺されるケースがあるのですが、このレストラン自体がはじめから胡散臭くて、なんというか店の大きさにしては従業員が多すぎるし、店長が遊んでいるし、プロが誰もいないという店なんです。でも厨房にたかなし、ショーケースがあったので神奈川近郊でしょうか。町の遠景も映るんですが町田っぽい(小金井の近くみたい)。どうでもいいことです。飲食店なので気になったことでした。

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