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最後にABの面会になるのですが、今回の「富江」は前のときの記憶があって、仲良しだった女の子を忘れられないのです。だから仲良く縛ってかわいがるのです。サディスティックですよね。ゴキブリを食べさせようとするし。

それは人間の持っている嫌な一面なんです。そしてABもこのような人間の表と裏の関係にあったとかいうおちがつくんです。もう少し予算かけると豪華な物になったでしょう。しかしこれでも十分にいい映画だと思います。最近の日本映画はホラーも大きな特徴ですよね。

5/5

 

「三毛猫ホームズの黄昏ホテル」大林宣彦監督 1998年

早く洋画に戻らなければならないのですが、今回も邦画にしました。冒頭の根岸さんの「どこもかしこも不景気な話で、なにか、ぱぁーーと明るい話はないの」というのには笑いながら同感です。自分のうちだけ寝正月だなんてみっともない、という感覚はわからないですけど。

しかし話は殺人事件に急展開するのですが、とにかく、変な映像だと思うんですが、というよりセットというのが見え見えなんですが、慣れてしまうと心地よくなるという不思議な世界です。この監督の「HOUSE」もそんな映画でした。ここでも負けず劣らず、美人、美男子(これは意外とこの監督では少ないかも)が次から次と出てきます。そして途中で気がついたんですが、この映画を見たきっかけは「あぶさん」つながりの三毛猫ホームズだったんです。

10年前に殺人事件が起こったのですが、その現場のホテルにそのとき泊まっていたものが招待されます。余計なものもいるのですが、その辺は楽しくするためです。役者では宮沢さん竹内さんあたりがいいです。ところがまた今回も殺人事件が起こるのです。さてそこで陣内さんの活躍、かな?

まあ都合よく、登場人物がクロスして知り合いになったり、このパーティーに参加したりで面白くまとまっているのですが、最終的な原因はやはり愛でした。それもずっと昔の愛です。それが子供や他人を巻き込んで今に至るまで尾を引いてました。一番は死んだホテルの主人が自分の子供を自分の子供ではないと感じるところから始まります。しかし、自分も不倫をしているんですが、相手(妻)には不倫を許さないという男の勝手な考えで事件が大きくなり、殺人までに発展するのです。結局、大きな事件になると関係する人が増えて、その人たちも自己都合はあるのです。それらが密接に絡んで変なことというかドラマになるのです。ですから解決は猫がしなければなりません。ということはないのですが、人間関係のしがらみがないのは猫くらいです。

映画とすると、こういうの大嫌いという人がいるのはわかります。アングルとかセリフとか、大道具が作り物と一見してわかります。しかし、その作り物の上で見世物としての役者、見世物を作っている監督という観点で見ていると、役者も監督もがんばっているなあと思える作品だと思います。何気なく見ると最後まで見てしまう、そんな映画です。しかし南野陽子さん、美人ですね。歌は一曲も知らないのですけど。

5/6

 

「自殺サークル」 園 子温監督 2002年

この映画は小説と漫画があります。漫画のほうで興味を覚えました。この漫画自体はネットの中で誰かが評価していたのを興味本位で読んでみたのです。漫画は読むのに時間がかかるんですが、この漫画は1週間くらいで読めた気がします。どうも漫画の絵を何コマか見ると休憩という読み方しかできないので早く読めません。私とすると「富江」に続いて現代ホラーを見るということも今年の傾向です。ちょっと前というより昨年以前はほとんどホラーは見ませんでした。あとSFね、見ないですねえ。しかしこの脚本は映画版は評価低いみたいです。なぜかなあ。漫画は古屋兎丸とか言う人だったと思います。

かなり有名だと思うんですが、女子高校生の集団自殺(これは大迷惑だろうなあ)から始まって(実際見た人は一生忘れない景色でしょう)看護婦が次々と窓から飛び降りるシーンへ脈絡なくつながります。問題はfaxとスポーツバック。このバックの中には人間の皮膚が縫い合わせてありました。

事件の糸口が見える前に次から次に自殺者が増えます。ある高校生なんか、自殺しようなんて冗談の会話から本当に飛び降りてしまいました。そのときみんなでどんな死に方がいい、なんて冗談で言い合っていたのですが、覚せい剤中毒で死んで生きたいとか、乱交が先とか信じられない言葉がぽんぽん出てきます。本当ですかね?

ひとつ、面白いきっかけがあり、ある匿名の子が自殺サークルのサイトを見つけるのです。単に死んだ人の数が記載されるだけなのですが、逆に言うと、記載されたら、近いうちに自殺者が出るということです。漫画では学校の先生が見つけるんですが、ちょっと映画は社会問題として扱っているところがあります。そして犯罪なのです。この主犯者たちといわれる連中が出てくると急にこの映画の質が落ちます。漫画のようにしたほうがよかったのに。そしてあまりに自殺が多すぎます。見ていても自殺者ばかりじゃないか、というあきれた気持ちにもなるくらいに多いのです。そしてついに主人公の刑事の子供まで自殺して、その後かかってきた電話に刑事が出たら、実存についての問いかけがあり、自分自身に実存を認知できないから死んでも良いという論旨のことを子供に言われます。そこにヒントがあるのですが、簡単に実存を他者との関係性において電話の主も説明するのです。これで人間は社会的動物として十分だということに気がつかないのです。そして拳銃で頭ぶち抜き。ここもそうなんですが、他人の脳が割れる瞬間を見たものは一生覚えているんでしょうね。私は親戚以外では葬式のほかに死体は一度も見たことはありません。そこに死体があると知っていてカバーかぶせてある状況はシカゴで一度あります。

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