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Aもまたボスのやり方を真似て、恐怖の暴力を行います。それは悪いやつらや自分たちの主義にあわないやつらを殺して死体を大衆の見せしめに大きく掲げるのです。そしてお互いがにらみ合うことになります。ではなぜ、ボスは生かしたのでしょう。戦うにふさわしい相手だからでしょうか?ここはよくわからない。多分、自分がAの父親に助けられたからでしょう。そのときのAの素性をボスに教えたやつはその後Aに誤りに行っても相手にされないですし(本当は死が妥当)ボスのところに戻っても、伸してきたアイルランド系への見せしめに瀕死の状態で掲げられます。そして「信仰」の名の元に力を結集させようとします。同じ英語圏でカトリックなのはアイルランドだけです。そしてアメリカの公用語は英語です。フランス語はカナダです。スペイン語はメキシコですし(これも問題はあるんですが)この同じ英語圏であるということが争いの激化の元なんです。

さて、選挙。WASPとほかの団体と対決です。選挙自体は金持ち層と貧乏人層に二分するんですが、主人公には父親の復讐という使命があります。そして相手もそれを待っているのです。いわゆる西部劇そのもの。

そして当日は朝から不満分子が荒れに荒れて暴徒と化します。そして主人公たちはその合間に対決へ。戦いには勝つのですが、途中で暴徒を鎮圧するための政府の軍隊が市民を無差別に殺していくのを見ます。実は敵はもっと大きいものだったのです。復讐というのは実は街での小競り合いに過ぎないものでした。それを現実に知らされながら戦い合うのも滑稽なんですが、復讐ですから仕方ない。受けてたつ方も逃げません。というより殺される感じさえします。

それはNYがまだ整備されていないときの話です。それから中心都市になっていったのです。すごく面白いいい映画ですよ。

でもなぜか黒人の描写はあってもユダヤ人の描写はなかったですね。

6/19

 

「日本黒社会(にほんくろしゃかい)LEY LINES」三池崇史監督 1999年

帰国者センターの若者で保護観察中のかなり、根っからの悪党を北村君が演じてます。いい味出てます。またこいつらがバイク盗んできては売るところもあったりして社会の裏の面がかなり出てます。そういえば先日の「豚と軍艦」に似ている。当然でしょうが、師弟関係はこんなところにも現れるのでしょうか。

まあ悪い連中同士で、田舎から東京に出て一旗あげようとするんですが、出かける直前に辞めるやつらが出てきて、拍子抜け。二人になってしまいます。まあ見送ってくれるところに救いがあるのでしょうが、先が読めてしまう寂しさがありますよ。みんなどこか突っ走ることができない、中途半端な気持ちなんです。踏ん切りがついている北村君とは違う。

また友人が田口君。トモロウくんですよ。北村君の弟は勉強家で中国から日本に来た家族、すなわち両親を背負って立っていくのでしょう。結局出てきて兄貴と一緒に生活してしまうんですけどね。

そして新宿で、シンナーのようなものを作って売る仕事を始めます。まあ闇の商売ですね。

そしてたまたま食事していた中華料理店は売春宿も兼ねていて、食事中に娼婦と知り合います。縁とは不思議なものです。それがスリだったのです。部屋に閉じ込めて追いかけられないようにしてその前に財布なんかを抜き取っていたのです。北村君(A)田口君(B)は田舎から出てきたので都会の厳しさがこれで身に染みる事でしょう。

その後も暴力的なシーンや犯罪シーンが出てくるくらい、底辺の生活の荒海の中の描写が続きます。具体的に書けないようなシーンばかりです。しかしそんなに画面から目をそむけなく観ることができるのは、ABが飛び込んだこんな混沌とした無秩序な世界でどう生きていくのかが興味あるからです。

この世界の中で、チャイナ系と日本人のチンピラの間をどうでもいいような軽い乗りで行ったりきたりしています。そして外国に逃げたいと思って、チャイナの扱っている裏金融の金勘定の場所に乗り込んで、金を奪って逃げます。これ、ってもうばればれの犯罪ですよ。逃げられるわけがない。だけどやってしまう安易さ。

日本のチンピラもそれに乗じて奪おうとするのですが墓穴を掘ります。その前にBは撃たれてしまい、途中「俺の取り分は母親に送りたい」と言って死んでいくのです。はじめはAも故郷につれて戻るだけで、取り分を渡すつもりはなかったのですが、弟が反対するのといままでAの心の支えになったのを思い出し、弟に渡しに行かせるのです。しかし殺し屋が待っていて殺されるし、女と海外に逃亡しようとするとチャイナの親分が待っているし踏んだりけったりですが、最後まで突っ張った人生です。

海に飛び込んだときお札が浮かび上がってくるなんざ、「地下室のメロディー」みたいです。そして最後のシーンなんかまるで「パピヨン」。あの突っ張りが最後まであるのです。そしてかぶさる音楽がバンドネオン。

 

なかなかいい映画です。このシリーズはいいですよ。「カタクリ家の幸福」の方が好きですけどね。

6/20

 

「必殺仕掛人(ひっさつしかけにん)梅安蟻地獄 渡邊祐介監督 1973年

まずは気に入った言葉、梅安の言葉で「食い物には心を込めろ」事実です。ケーキなど作っていて、当然いつも心を込めているのですが、その分出来上がったときにうれしい反面、ぐっと疲れが出ます。どんなに疲れていてもケーキを作るときは真剣になるから不思議です。

まあこの映画では冒頭、梅安が人違いで侍に狙われます。たまたま行きつけの料亭でその相手を知るので、問題ないのですが、逆に深く事情を知るきっかけができてしまったわけで、すごいいいスタートを切ります。今回は緒方拳さん。また同じくせりふで「人とタバコの良し悪しは煙にならなければわからない、昔の人はいいこと言ったもんだ」というのがあるんですが、私もいい言葉だと思います。知識として利用させてもらいます。

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