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展開はわかりやすく、あの料亭で間違えられた男と話している男の方を仕掛けてくれという依頼が梅安の元に増し金で舞い込みます。なんとわかりやすい展開なのだろうか。本当に娯楽とはこういうものです。

相手は元侍で今は街の名士の商人。何で商人になったかというと、侍のときにある殺しを引き受けているのです。そして商人になって大もうけする野心があったのです。それには侍のときに作った貸しでコネを利用して旗本などのよい顧客を作る必要があるのでしょう。

実際、大口つかむと商売は意外と順調なものです。その影で甘い汁を吸う連中もいるのは言うまでもありません。

その仕掛けとほかの仇討ちが絡まって共同戦線を組むのですが、ここで出てくる仕掛け人は梅安だけです。この仕返しをする侍は仇討ちのためという名目しかないのです。何の仇討ちかというとやはりこのなり上がろうとする商人になった元侍の弟に手篭めにされた女の仕返しです。

まあアクション的な見せ場は余りありませんが、なにか梅安のひょうきんな性格が全編に渡ってでて、楽しい必殺仕掛人です。

6/21

 

「しなの川」野村芳太郎監督 1973年

これは昔ポスターが有名だったのと、監督で外れていないだろうと思い見てみました。

大正時代に訳ありで生まれた女の子が大きく成長した昭和4年ころの話です。旧家の家柄ですがそこに奉公に若い男がやってきます。Bとしますが沖雅美さんです。人気ありましたよね。この人の歌結構好きでした。多分いまだにシングルは持っていると思います。お嬢様をAとします。由美かおるさんです。この人は興味ない女優です。でも人気あるんですよね。当然、この旧家はしなのがわのほとりです。

BはAに身分が違うのですが「はつ恋」をするのです。もう初々しいのなんの。私ももう一度初恋なんかしてみたいですね。そしてAも当然Bに好意あるんです。わざと連れ出して川のほとりで裸になって水浴びをBに見せるようにするのです。このシーンが有名だったんですね。私はこのころは邦画はまったく見ないで洋画専門でした。

ひょんなことからAは自分の母親が生きていることを知ります。そしてそれを隠していた父親に対して軽蔑のまなざしを持って口もきかなくなるのです。そのために父親は長岡の寄宿舎に転向させることにします。なぜ母親は駆け落ちしたのか?それはこの父親(夫)が男色だったからです。

寄宿舎の生活ですぐに憧れの人ができます。国語の教師です。しかし学校にばれることとなり退学、教師はそのままAを引き取りたいと父親を説得しますが反対され、母親同様「駆け落ち」をします。東京に出るのですが世間の風は冷たくジリ貧の生活となるのです。

そしてこの教師は赤狩りにあって警察に捕まるし、実家からの捜索願により刑事がAを引き取りに来るしでAは実家に戻る、すなわち2番目の恋人とも別れなければならなくなるのです。

そして恋人の男が簡単に警察の前で女を裏切ったことを知るのです。さらにもうひとつ、母の居場所がわかりました。そしてここが若さだと思うのですが、電車から飛び降りて向かうは母の場所ではなく、男の場所なのです。男は未練がましく、抱きますが、本気ではないのでしょう。しかしAは恋愛を信じています。そして身をささげるのですが、ここで何か感じ取るものがあったのでしょう。別れる決心をします。この思い立つ気持ちというのは大事にするべきですし、後悔がなくて良いと思います。次に向かうところは、実家でした。実家は事業が傾きつつあり、あの初恋の男はやめさせられていて、周りの視線もどこか冷ややかなものとなってます。

しかしたまたま見つけた昔の男と焼けぼっくりに火がついちゃって、心中するのです。これじゃドラマが終わるので、Aは生き返る。男も大丈夫でしょう。

その男の母に、「お前は母親にそっくりだ」と言われたことから、母に会ってみたくなります。この母は佐渡にいます。佐渡の映像はまさに「砂の器」の映像のような景色で人間の運命を表現しているかのようなものですね。

この母親役、岩崎加根子さんでした。あの「人間の条件」に出てきた美人の人。もうちょっと面影しかないんですが。

ここで逆転ホームランのように母を理解し、父を理解し、自分を理解して何をすべきかがAにとってわかってくるのです。これはみんなが正直になったおかげです。そして縁談。金持ちとの縁談ですが、とってもいい話なんですよ。それを薦める人間が嫌いだからといって避けてばかりいては前に進めません。いまはそのような障害もなくなってめでたく結婚式。

6/22

 

「トレインスポッティング」 ダニー・ボイル監督 1996年

人生みんな選択することばかり、ヘロインを選択するのも理由がある。

そんな若者の話で、モノローグで話が進行します。あとは映像ですが、あまり気持ちのいいものではありません。汚いトイレのシーンなんか見ていて気持ち悪くなりました。

というよりこの映画途中で何回止めたか、そのくらい見るのがつらい。映画館で見ていたら途中退場でしょう。むかつく若者の身勝手な話ばかりでイライラのし通しでした。

 

このモノローグ形式、つまらない挿話、まったく下手な構図、馬鹿みたいな映画です。

またやたら、ほかの映画の批判や意見を述べるのですが、そういう映画に対するオマージュと批判は映画の中では見たくもないのです。私は「アメリカの夜」でさえ嫌いです。トリュフォーの名作という評判が高いのですが嫌いですね。ほかの映画を超えたところにオリジナリティを作れるような映画を評価したいです。この監督は「28日後」でも中途半端な作風だったのでまだ若造なんでしょう。少なくても「ファイトクラブ」のフィンチャー監督のほうに才気を感じます。

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