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まあ観ていてもつまらないから長いこと。途中ヘロイン中毒のリハビリ時に幻想を見るのですがこれがまたセンスないんです。

もうどうでもいい感じもしますね。

まあ更正した後はロンドンで働くのですが、営業なんて張ったりきかせればある程度成功するので、それなりに成功した生活を送るようになります。そして高校生のガールフレンドも離れずにお互いに暗黙に付き合っているような状態。

変な友達が押しかけてきて、仕事もオジャン。そんなこんなで別の友人は惨めな死に方をするし、やることないから、ヘロインかっぱらって、それを売りに行きます。

めちゃくちゃな人生もそれを選択したのは自分。ロンドンで着いた場所は笑ってしまいますが、泊ったことのあるホテルでした。中はずいぶんと違うみたいですが、周りの景色ですぐにわかりました。そこでとりあえず取引には成功します、濡れでの泡。

4人は有頂点になりますが、これから先がないことはみんなの性格からわかります。

一人主人公は金を持ち逃げして新たなまっとうな人生を送ろうと決心するのでした。

一度おちた人生は修正が難しいということです。最後がやけにいいですね。すごく救われた気がしました。

6/24

「レクイエム・フォー・ドリーム」ダーレン・アロノフスキー監督 2000年

この映画は怖い。精神がおかされる感覚に陥ります。ある種、この監督の才能を評価するべきだと思います。こういう映画をいい映画というのだと思います。そのくらいセンスがいい。

テレビで人に見られるということに過剰に反応する「孤独」な人たち。その孤独を蝕むような薬物。そして中毒。その果ては?

母と二人暮らしの息子(ABとします)がともにヘロイン中毒に陥る話なんですが、きっかけは極端。Aはテレビ出演のデマの電話から。太ってしまっているのでやせたいというダイエット願望から。Bは売買して儲けようという気持ちから、泥沼にはまっていきます。Bは彼女Cとブティックをやろうと金がほしいのです。安易なんですよ。そして夢はあるんですが我慢できない。それが短絡的な行動をよぶのです。

Aは禁断の藪医者に。そこでは麻薬を薬にいれ、食欲をなくさせるのです。

Bたちもまた、成功してどんどん金がたまっていきます。そしてAは躁鬱の繰り返しが激しくなります。そして幻覚、幻聴が出てきます。

Bは商売でつまずき、あせるのですが、それまで成功していたので、自分たちも商品に手を出してしまっていてもう中毒になってしまったので麻薬を切らすことができないのです。そしてその商品も入手が難しくなってしまい、だんだん危ない橋を渡るようになります。

もうこの辺の描写はたまらなくいいです。ここからはホラー映画そのものになってきます。

Bは彼女にいやな男に体を売って来いといい、彼女のほうも薬がほしいので応じます。

もうみんな薬漬け。彼女が体を張って稼いだ金もふいになってしまう。そんなに世間は甘くはない。

もうここから先は書けない。ABと彼女はおのおの廃人になって行きます。しかしテンポのあるいい映画だなあ。すごく怖いですけどね。

6/25

 

「河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)」山中貞夫監督 1936年

主人公の名前です。遊び場の主人(坊主)で、賭けに強く気風がいい。人の面倒もよくみるいい男です。イカサマ師に勝った後の豪勢な振る舞いなんか良いですね。こういう気前のいい人減ってしまいました。周りのものに「何でも買っちゃえ」とか「博打で負けただと、金やるよ、とっておけ」なんていえないですよ。うちの店でもたまに「おつり要らないよ」という人いるんですよ。いいねえこういう派手な人、楽しくなっちゃう。

映画はまずは江戸の市井を映し出します。いろいろな商売があるし(蝦蟇の油売り、居合、抜きなどもあるんです)商人の活気があります。しかし商人の元締めがいて寺銭出させるんです。その親分(Bとします)をもちょろまかすいい加減な集金人(C)。この監督の映画を観るたびに思うのですがこの映画のころはちょうど現在と江戸無血開城のど真ん中の時代なんですね。ということは私たちが山中貞夫という監督を思い浮かべるのと同じ感じで山中貞夫も江時代のことを思い浮かべることでしょう。そんな冒頭の町並みです。彼だったらおじいさんくらいから話は聞いていてもおかしくないでスモンね。私はおじいさんとかから大正時代から昭和にかけて聞いていました。特に戦前。これは父親からも聞いているので意外と忘れないで今でも覚えています。

ある武士の小柄が盗まれます。それを闇というか街角オークションで販売するやつがいるのです。また馬鹿な武士がこの入札価格を吊り上げて高い買い物になります。するとこの武士に出会うのですがこの金束をいかがでしょうかというと、買値の3倍で売れます。この辺のいい加減な、商人と武士の関係は面白いですよ。

もうひとつの流れが、弟(D)が遊んでばかりいると姉(F)が心配して弟の常連の場所に毎日のように迎えに行きますがそこの人は知らないというのです。この常連の場所はAの店です。それで毎日来るもんだからAと街中でFは出会うのです。Fは甘酒屋(のりを売りながら酒を出す)をやっていてそこで飲んでいると人の中傷を耳にすると信じて、Aの妻は嫉妬してFに冷たく当たります。弟も冷たくされて行き場所がなく、花魁と心中してしまうのですが。この弟はある武士の小柄も盗んでオークションに出品しているんです。しかし弟だけ生き残って家に帰ってくると姉は暖かく迎えてくれます。そこに花魁の親分(Aがいかさま賭け将棋博打で勝ったときのいかさま師の親分)が乗り込んできて弟はいるかと詮索します。まあ花魁を失うことは、いわば商品を失うことですから大問題です。とくに売れれ筋だったらしい。身請けは300両。Fに作れないなら俺に相談しな、といって帰ります。女郎になれということです。Fは原節子さんなのでこういうこと言われるんですよ。しかしこのDが帰ってきたときのFの態度、そして涙、そこに降り始める雪、有名なシーンです。Dが起きたときには姉はいません。そう身受けに行ったのです、その悲しみの心情に降り注ぐ雪なんですね。そのFが去った後の長屋の風景は単純な風景なんですが感動するものです。

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