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まあ、次の日親分は、300両の金を請求に子分(C)をやるのですがその子分はFによい感情を持っているので、親分にたてつくしFを探します。そのFは河内山の家の近くに身売りしたらしい。

河内山の近所の女衒に買われたF、この女衒は親分ともめます。まさか親分は身売りするとは思わなかったらしい。探すのです。結局高く売れるからほしいのです。「寒椿」もそうでしたが美しく生まれて不幸だと、売春させられますね。美しさというのは顔の微妙な配置なんですけどね。笑い。

しかし河内山はいち早く察知して自分の店にかくまいます。このときの河内山の奥さんの気持ちは複雑でしょう。実際、演技でそのことが出ております。このようにFをめぐって3方の男たちが入り乱れるし、小柄を盗まれた武士も絡みます。

この武士は、やはり、あるところでオークションで同じ小柄を手にしたものから、本物かどうかの確認の意味で現物を出せといわれます。それほど大事なものだったのです。それをFの弟は何気なく盗ったので複雑な絡み方をするのですよ。この小柄が偽物と来るのは実は河内山の大芝居なんです。この藩の殿様や家老をだまして300両奪うつもりなんですね。一世一代の大博打。すぐに江戸から出るつもりなんです。まあ妻が許すわけないですよね。女のためですから。妻のためではないんです。人に任せたつもりということで、Fを連れ出してもらいます。

しかし身内同士言い争いしていても仕方ない、やくざの連中は襲い掛かってきます。まずは妻が犠牲に、死に際にFの居場所を教えるのです。次は河内山の相棒が防波堤になって河内山とFの弟を逃がします。

「人間潮時が肝心、ここいらあたりが俺の潮時だ」と死に向かっていくのです。つぎは河内山、弟は金を持ってFの元へ。この兄弟幸せになると良いですね。

6/26

「張込み」 野村芳太郎監督 昭和33年

昭和33年の夜行列車は、まだ蒸気機関車なんですね。東京発鹿児島行き。これ急行「薩摩」って言いましたか。このような急行が走っていたんですね。急行なので寝台ではないのです。きついですよ。

とにかく警視庁の刑事2人がわざわざ佐賀県まである主婦を張りこみにやってきます。その家庭がドラマになるのです。ですから地味ですよ。

この主婦が東京での質屋での殺人事件の鍵を握っていると踏んでいるのです。しかし地味な生活なのです。

刑事はなぜこのい女を張り込んでいるのか?東京を探してもいないと踏んだので、昔別れた女で、今は人妻になっている女のところに来るのではないかという推測からです。またこの犯人は山口出身でそちらの方にも刑事は行っているのですが映画はこちらの女のほうがメイン。

しかし一週間何もない規則正しい生活です。まあ予定も終わって帰る準備をして地元の警察署に行っている間に女は動き出します。残った一人の若手刑事がつけていきますが、祭りにまぎれて見失ってしまいます。

しかしようやく見つけると、一週間見続けた女の表情とはまったく違う表情が垣間見れるのです。一緒の男はこの女にも嘘をついているようですけど、実際に犯人なのかわからないし、追跡している刑事の自分の考えを独白していくところはまったく予断を許さない展開です。

そして、この女と男の関係が明らかになるのです。当然、警察も元恋人同士と知っていて張り込みをしていたのですが、元恋人というには似合わないもえたぎる情熱がお互いの中にあったのです。そしてお互いの幸せのため、などという名分で昔別れてしまったことを後悔していて、久しぶりに会うなり愛情は爆発的に燃え上がります。この様子を見ていた若い刑事は自分の境遇を考えて、自分も後悔のないように気持ちに忠実に生きようと思うのです。

この映画では犯人はいるのですが、その犯人たちに人生の機微と愛情の大切さを、教えてもらう刑事がいるという面白い構成になっていると思います。

この犯人たちの愛情の会話だけでも聞いてみるといいと思いますよ。

6/27

 

「張り込み」篠原哲雄監督 2000年

続けて同じ題名の映画です。そしてちょっとアフレコがひどい映画です。役者の力量なんでしょうか。こちらは「はつ恋」の監督です。まずは舞台となっている団地よく知ってます。すごく余計な情報なんでしょうがどうしても現実と比較してみてしまいます。

まあ少女の投身自殺。そして女のうちに刑事と称して男が張り込みにきます。まあ普通じゃないですね。爆破犯人が向かいの棟にいるとのことでよく見えるこの棟とのことですが、この刑事変なことばかりしゃべる。実際にどういう犯人を追っているのかなんて絶対に言う訳ないでしょう。昨日の映画では刑事はまるっきり何も言いませんでした。

この刑事も胡散臭ければ、この女も胡散臭いのいです。刑事はなにか痴漢的な男ですし、すごく強引に人の私生活に踏み込んできます。女は前に若い男をつまみ食いしたのですがその男がなぜかこの団地で自殺をしているんです。

この事件を深く知っている男だったのです。それはこの死体の鑑識係。そして現場でこの女に一目ぼれをしたので、今回このような形で強引に近づこうとしたのです。まあ変態です。気持ち悪いの何の。

しかし女は縛られて、何されるかわからない状態になったとき一発逆転がありました。男が油断してしまった隙に、縛られている縄が解けて、男が脅していた凶器を手にすることができたのです。男はそれで脅しているだけだったのですが、女のほうは即座に思いっきりひっぱたきます。そして死ぬまで何回も。ここは恐怖映画のテイストです。

そして、死んだ後、その男のタバコをゆっくりと吸う女。もう投身自殺では通らないでしょう。どうするんでしょうかね。しかし自首するような女ではないことは確か。

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