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カラーとモノトーンをうまく使い分けて、ちょっといやらしいつくり(後味がよくない)の映画です。

6/28

「八甲田山(はっこうださん)」森谷四朗監督 1977年

この映画観た事がありません。たぶん洋画ばかりのときに封切られたのでしょう。

明治の日露戦争前夜の弘前。この戦争はかなりいい戦争というか戦術も素晴らしい。ここで例の連合艦隊が名乗りを上げ、大艦巨砲主義が定着したのは不幸ですけど。でもこれは陸軍の話ですし、遼東半島での決戦の寒冷地対策としての予備訓練のことです。

青森と弘前、青森と八戸が遮断されたときに通路を作るとしたら八甲田山しかないからその寒さを体感して来いとのことです。

まあこの映画のころがこの時代の映像を作りうる最後の俳優が揃っている感じですね。今では明治時代を表現できる俳優はいません。何が違う?顔が眼光が違うのです。

弘前出発と青森出発で八甲田山ですれ違うという計画が無理があるみたいなんです。それは弘前の小隊の計画ルートでも明らかです。弘前から十和田湖系由で八甲田山というのは車で考えても遠いですよね。

とにかく出発の日。弘前隊から青森隊に手紙が「途中困難極めたときは、武士の情けで救助を」このことは、厳しい行軍になると暗に言っているのです。

失敗するときはすべてそうなんでしょうが、後から思うと、あそこでこうしておけば、と思うことの連続です。青森隊は編成を大きくして、かつ地元のガイドまで断ってしまいます。どうしようもない状態に追い込んでしまうのです。当然、めちゃくちゃな状態に陥ります。指揮系統が複数できてしまうのと、現場と指揮権限の不一致がこのような状態を招きます。その前に、予備訓練が安易に終わったことも油断させる原因となるのです。

青森隊は自分で精一杯になりますね。弘前隊は案内人の元、順調なのですが、外でビバークするなど一応訓練とはいえ無理をします。

青森隊を見て興味を覚えるのは「指揮命令系統が不安定になると、それまで我慢してついてきた部下が倒れていく」ということです。これはよい研究材料なのですが、実際生きて帰らなければなりませんよね。実際に目にしたものしか事実は見ていないのですから、戦場を体験するのと同じことですね。

そして終盤、弘前隊の隊長の幼少のころの心象風景が映るのですが、その美しい、夏とは対照的な冬の残酷さを描き出します。これはまったく自然の驚異です。

最後、青森隊の隊長の遺体は、消えぬ友情で結ばれた弘前隊の隊長を待っていたのです。その無念と約束を持って。しかし山で見たあの遺体は魂だったんでしょうか?

ラストにかけて、たまらない感情の高ぶりを感じる映画です。

その後の彼らの消息を含めて。ちょっと涙が止まらなくなりましたね。

6/29

「必殺仕掛人(ひっさつしかけにん)春雪仕掛針 貞永方久監督 1974年

「近頃じゃ盗人も荒っぽくなってきた、昔の盗人はあんなことはしなかった」

この映画の当時でも今からすると甘いし、時代設定江戸時代。それからすると今は狂ってますね。「人間誰を殺したって、後で重たいものを背負うんですからねえ」まるっきり「四谷怪談」の精神状態ですね。さらにおかしいのは「魔性の夏」と同じ場所が写ったこと。ロケで使いやすい場所なんでしょう。

今度は梅安が狙われる番です。相手は昔仕掛けた相手の夫で今回の仕掛の相手でもある武士。今回はやばそうなんですよ。相手が強い。梅安の弱音も出ます。針で刀に向かうのではじめで勝負が決まります。それに失敗。おびえる梅安。そこに援軍が。後に仕掛人に加わる人です。テレビのシリーズでかなあ。

さらに悪党の頭は女なんですが、その女が梅安の昔の女だった、と梅安尽くしです。そういえば映画の中でふぐの薄作りが出てくるんですが梅安が考えたものらしい。冗談はこれくらいで、とにかく梅安ばかり出てくる映画です。あと題名からは意外と感じられませんが、多分当時は有名だったんでしょうが、エロのシーンがサービスカットでかなり入っている映画でした。特にこの映画はそうです。監督がその畑の人なのかなあ。

また梅安は女にだまされて捕まるし、今回の梅安は情けないったらありゃしない。しかし仕掛を頼んだ本人が命がけで梅安を助けてくれます。

そして頭は今回は気乗りがしないから辞めておくというと、子分であり愛人が殺そうとします。しかしそこで頭「お前に頭は務まらないよ、殺したいなら殺してくれ、もう飽きたよ」というのです。そうなると殺せないものです。そしてこの子分が独断で強盗を開始。しかし胡散臭い鍵屋に捕まります。もう仕掛けは始まっているのです。

うまく金蔵の中に閉じ込めて仕掛、そして頭は元の愛人だった梅安が殺す。

そのとき梅安はちょっと足を洗いたい心境になりますが、もう一人の侍のほうは「生きていく以上恨みを買うのは仕方がない、また許せぬやつも多い」と仕掛人になっていくのです。

この映画は最高にいいです。仕掛人シリーズでもトップクラスにいい。なんていったって仕掛人自身が悩んでいる姿が出ているし、それを乗り越えていく人間らしさがとってもいいです。

6/30

 

「クィーン、ライブAT WEMBLEY」1986年

この年のライブです。当然フレディー・マーキュリーも参加しているのです。

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