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しかし新宿で無理をするから空回りします。ところがある日、娼婦に「見つかった」という知らせを聞くのです。行ってみると個室的ストリップショーみたいな店。

まあ「パリ・テキサス」を浮かべていただければあの、ナスターシャ・キンスキがいたようなところです。そこで同じように電話で話をするのですがそこには、もう夫には未練のない妻がいたのです。ここではみんながこの女を見てくれているという世界。そんな屈折した世界で満足してしまうほどに孤独だったのです。

 

意外と面白かったですよ。題名から借りたり、人に薦められないのが欠点。つくりは、安っぽいビデオ作品だと思います。しかし何かポイントに人の情が描かれている気がしました。

6/14

 

「ピンポン」曽根文彦監督 2002年

普通はテーマになるスポーツではないと思います。水泳でさえテーマにはならない。ですから最近はこういうものにスポットライトを当てた映画があるのでしょう。

とにかく、普段なら冷めた目でこういう高校生を見るのですが、この映画ではやけに共感できます。結局は冷めていないハートを持っていることがわかるからです。

しかし中国からの助っ人が来たと知ると「道場破り」に行くところなんか熱いハート持ってますね。いいなあ。そしてやわなやつをみんな強豪がマークしているんです。実は強いんじゃないかな。しかし「相手の心中を考慮して球を打つ性格なんです」だから勝たない。この辺でこの映画「ドカベン」の卓球版漫画みたいなものだと思いましたよ。すごく気が楽になります。だから人気が出たのかもしれない。

まずはこの控えめな男とチャイナの戦い。面白いですよ。しかし途中で「なんにために中国から来たんだ」という声を聞いて、またまた相手の立場を考えて負けてしまうのです。

そのチャイナも大会のエースには負けます。

主人公は圧倒的に今まで勝ってきた幼馴染にも負けます。主人公とこの気の弱い友人はともに負けてしまうのです。

そして気の弱いやつは真剣なトレーニングをさせられます。試合に負けたら魂をコーチに売ると約束していたのです。

そして主人公はそのままドロップアウト。しかし友人が浪花節を語ってくれて「ロッキー」のごとくカムバック。そのコーチは街の卓球場の女主人です。また気の弱いやつもコーチもまた気の弱いことがあったと聞かされて、何か納得できてくるんです。2人が燃えてきたところでこっちまで燃えてきます。そして最高の舞台を用意します。それは主人公がひざの怪我をしてカムバックして準決勝で大会のエースとあたるという時に辞退しろという忠告を無視して友人との決勝をかけて試合に臨みます。足はもうだめでしょう。しかし友情を大切に戦いに行きます。エースに勝ちます。これは一定のレベルの人間しか味わえない楽しい試合になりました。ということは決勝は友人同士です。

そして卓球を気の弱い友人に教えてあげた主人公が勝ちます。そして世界に羽ばたく。

この映画で疲れぶっ飛びましたし、肩に感じていた疲れ、重さ5キロくらいのだるさが一挙に1キロくらいになりました。こういう映画はいい。

素晴らしい映画と楽しい映画が続いて気持ちはハッピーです。

6/15

 

「十三人の刺客」 工藤栄一監督 昭和38年

老中の屋敷前にて播州の明石藩江戸家老が切腹をして自害します。明石藩の松平家はこのときの将軍の弟だったので重大問題に発展します。冷静に見ると播州は西の要衝でもあるので弟に任せていたのです。また次期の老中も決定しているのです。それなのに、播州国の中で百姓一揆やら参勤交代の際中仙道木曾の上松での婦女暴行事件やらで評判がよくないのです。現老中がこんな人間を老中にできないと判断暗黙に処理したく作戦を練ります。しかし相手は将軍の弟。

しかしお咎めなし。お殿様は当然というくらいのぼんぼん、ですが家老はおかしすぎると思うのです。その通り、裏で動き始めました。狙いはこの馬鹿殿暗殺。

しかし家老もスパイを送ると、大物が動いていることがわかります。スパイも殺されます。これで家老もどんな動きをしているのかわかります、よって準備万端整えます。

しかしこの老中方の追っ手の中の助太刀を買って出る、西村「黄門」晃さんかっこいいですよ。この人は役者ですねえ。以前「髑髏船」で見たときのあの狂ったような演技もできるんですから。

さあ、殿様は参勤交代から国許に帰るときがきました。帰るまでに奇襲が成功しなければ、相手の懐に入り込むのは容易ではありません。

その前に暗殺者の中心人物は(片岡千恵蔵さま)は三味線で仲間を増やします。この三味線の乱弾き良いですよう。

さてと次の日、馬鹿殿は出発。しかし家老がしっかりしております(ここで家老と書いたのですが今まで家老と書いていた人はもしかしてもう少し身分が低いかもしれません、ご勘弁を)、この家老は隙をまったく作りません。追っ手も手を焼きます。

最終的に博打で木曾の上松の近く落合宿です。2つの街道しか選択肢がないので来ると踏んだのです。待つといっても12人。大丈夫なんでしょうか?とにかく前に上松でもめたときにわりを食った尾張藩の協力を仰ぎ通行止めにさせて、尾張藩を通らないルートを探させるというのです。もう博打の世界。そして落合宿の家をとりあえず買い取ります。幕府が裏でやることなのでお金はあるのです。馬鹿殿退治も大変です。この馬鹿殿も「挨拶」の礼儀は欠かないのです。そこに博打があったのです。挨拶の礼儀を欠いて笑いものになるか、それを避けるかで博打を張ったのです。そして殿は博打のほうすなわち待ち構える方向に進み始めます。しかし敵も然るもの、伊那で姿が消えます。そこでどうするのか?動かないのです。初志貫徹。素晴らしい戦術哲学です。

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