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当然、彼氏の知るところとなり、「すべてのことを言葉で説明することは有益ではない」「神との対話のみが真実だ」「言葉で語ることを許されたと思うのは利己的な考え方だ」「言葉はその人そのものだ、慎重に選べ」みたいなことをいわれるんです。これじゃ好かれないですよ。しかし女教師のほうはどうしようもない、気づかなかった感情があふれ出てくるのです。最後に犬を埋めて自分もそのまま雪の中で寝てしまうが、パラグライダーの人たちに発見されてサーカスの女に連絡が入り二人は体をあわせて温めあった。すると救急車よりも早く意識を取り戻して二人の関係は完成され、女教師もサーカスについていくようになる。いわゆる氷に閉ざされた世界を破って外に出たのだ。この辺の展開は何か物足りないですが、そういう人生なんでしょう。まあ教師で神学教えているよりかはいい人生かもしれない。いや、客観的に良いというのではない、主観的に本人の気持ちのままに行動していることが良いのです。本当に見やすい、気軽な映画でした。ぜんぜん疲れません。サーカスのシーンも遊び感覚で気楽です。

12/12

「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」トーマス・ヤーン監督 1997年 ドイツ

 

キャバレー(実は売春宿)のオーディションからスタート。ハレの場と日常の閉店後の片付けの対比がおかしい。そしてジョークをいう。医者が変わった睾丸だ、木と金属でできている、というと患者は困る。医者がついでに子供は?と聞くと二人いると。ピノキオとターミネ―ターだと。こんなつまらないジョークに笑えというのも酷だ。

さて本題に、ギャングとある患者の話が平行で描写されます。ギャングは部下に車と鍵をあるところへ運んでほしいと命令。(実はトランクに金が隠してある)この部下は1人が白人、もう一人はアラブ人。へんてこなコンビです。途中、子供をはねて病院に寄る。

次の本当の主役は二人の患者。たまたま病院に向かう途中から病院の病室まで同室になるかなり正反対の男2人。Aは脳腫瘍であと数日の命。Bは骨肉腫でやはり先は長くない。お互いの病気の話で急に親しくなり、この際遊ぼうと、酒を飲みに行く。酔いながら「臓腑で自由を海の中で感じたい」「壮大な美しさ」「海の大きさを感じること」など詩人のように海のことを語り、色々と海の話ばかりするとBは海に行ったことがないという。では行こうか。となる。このノリが良いです。そしてギャングの車を盗む。そのあと、ガソリンスタンドで強盗するんですが、「狼たちの午後」みたいに強盗にいたっても二人で喧嘩してやめようとか言い合う。すると警官が来て疑うが、ありのまま本当のことを言うと、面白いギャグだと疑いも晴れる。本当のことを言うと顔が嘘でないという顔になるんですね。わかる気がします。そのあと、洋服を買いに高級ブテッィクに行くが金が足りなくて銀行強盗を。ここも段取りが悪いけど、成功。手伝った行員にギャラをあげる。全編通じて、この2人はお金の社会配分を金持ちから貧しい人にしていくんですね。憎めないやつらです。この銀行にあとからギャングたちも強盗に入るんですが、遅いし、彼らが去ったあと警察呼んでいるので警察とすごい銃撃戦です。そして逃げるギャング、追う警察。2人はのんびり歩いているんです。本当に間の悪いギャングですね。

また盗んだ車でドライブ再開。この辺から二人は精神的に開放感が味わえるようになります。「本当に、雲に乗って海の話をするのかなあ」というせりふいいですねえ。しかしAは発作の回数が増えます。たまたまトランクをあけると大金がはいっているので驚くが死を前にしているので怖くない。使っちゃうんですよ。派手に遊んで。ボーイの少年にはチップに札束。(多分少年はこれで仕事やめたので、店開くと思います。夢のある店をね)しかし警察はAの自宅やホテルまで追ってきた。Aというのは銀行強盗を一人でやったからです。ホテルでは絶体絶命ですが、Bを人質にして警官の洋服を奪い、逃げます。警官の格好をしているときにギャングたちに会うのですが、ギャングたちは自分たちが盗まれた車を指してこれは私たちの車です、とかれらに言うのです。すると鍵を渡して気をつけろよ、と去っていくのですが、この辺の展開は最高です。制服を奪った警官たちを男と女ほぼ裸にして重ねるようにしておくのですが決して交わらないように締め付けて縛るのですよ。しかし同僚の裸見て欲情する距離で。大笑い。このいうギャグは面白い。さて警官の格好でパトカーで逃走すると車が故障。仕方ないので、一般人の車とめて、尋問し、秘密任務を依頼する。そして自分たちはこの人の車で逃げていくのですが、展開のスピードさえまくってますね。死ぬ前なら何でもできるし、楽しいですよ彼ら。街でばれそうなので、また洋服を買いますが、そこでまた発作しますがもう薬はないんです。薬局に行くけど処方箋はないし、仕方なくBは薬局強盗します。またまた警官が集まってくるんですね。ここでもAはBを人質ということでトルコカフェに隠れます。(「明日に向かって撃て」みたいに警官に囲まれます)しかしトルコ人に飲食のお金をたくさん払うと、人質のまま一台の車に乗って逃げます。警官は人命尊重ということで踏み出せません。ヘルシンキ・シンドローム(人質が長く監禁されているうちに犯人に同情的になる)の状態と警察は判断しているんです。当然、ギャングもテレビで彼らを見ているので、増員して追います。警官とギャングに追われるのですが、たまたま警官とギャングに挟み撃ちにあいます。当然ギャングと警官が仲良いわけないのでお互いに打ち合いになり、その間に真ん中をとうもろこし畑のほうに逃げていきます。この撃ち合いギャングのほうが勝つんです。笑い。

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