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大人のパブロワ役はカリーナ・ペリャ−エワですが美人です。本当に美しい。セルゲイ・ディアギレフと出会います。プティバと当然対立しますね。振り付けが違いますもん。ディアギレフが正しいとフォーキンとパブロワは思います。しかしパブロワはマリインスキーに残ります。新しいのは自分で作りたいのでしょう。そして「ジゼル」でデビューするんです。プティバの振り付けです。カメラワーク最高です。舞台後ろからも撮ってます。(ジゼルの)墓場でのシーンは照明、衣装すべて秀逸です。

ディアギレフは黒いバラをマリウス・イワノビッチ(プティバ)に捧げます。(プティバの演出に感動したからです。)ここで(夫になる)ダンドレに連れられてネバ川に来ます。この川は先日も「フリークスも人間も」に出てきた川ですね。

次にメイクしているシーンから映る演目はわかりませんがクレオパトラの役みたいです。すごくきれいですよ。そして生活の充実と特訓の生活がうまく日常生活の楽しさの中で表現されます。たとえば、雪の上でのパーティー。そこでかかる歌はいい歌ですよ。ロシアの民謡ですが名前はわかりません。

そのあと名声が出たあとで、あえて猛特訓やるシーンがあるのですが、この教師は誰でしょう?この段階で練習すると名声は確実になりますね。教師は「死んでもいい、踊り続けるんだ」とよく言えますね。厳しいですよ。チュケッティとかいう講師です。この講師も一生忘れないきづなが出来るんです

ロシア革命を迎える前、公演がなくなり、くつろいでいるのですが、そこでサモワールで紅茶を飲みながらサンサーンスの「白鳥」をピアノで弾いてもらうのです。フォーキンが少しずつ振りを作っていくのですが、この映画の核となるシーンです。音楽、俳優、照明すべて込みでこれより美しいシーンはそんなに簡単にはないです。

そして舞台のこの曲のシーンになります。最高に美しい。トップレベルの美しさとはこのことです。

ディアギレフのパリ進出、ニジンスキー、フォーキンなどを連れてのシャトレ座の公演です。一度は見たかったですね。しかしあの練習風景からすると、伝説は本当にすごいものだったのかもしれません。ミハイル・モードキンも出てきます。ボリショイも参加していたのです。いや、それでパブロワがパリに行ったときに紹介されて、ストラヴィンスキーの「火の鳥」に出ます。モードキンではなくニジンスキーと踊りたいという。ニジンスキーが「レ・シルフィード」「イーゴリ公」「眠れる森の美女」の「青い鳥」などで成功して、モードキンとパブロワがペアを組むこととなるのです。そんなシーンは出てこないですが。そして舞台で一人練習するとピアノを弾いてくれる人がいます、これは出来すぎな話なんですが。カミーユ・サンサーンスが引いてくれているのを知らないで楽譜にけちつけるという話です。

映画では、すぐに「ジャラシー」のタンゴを踊るシーン。パブロワとフォーキンのダンス。本物を見てみたいですね。音楽、風景、俳優と揃ってますね。ここでディアギレフと縁が切れます。冷静に見ていくとこの映画はストーリーがおもしろい逸話だけで構成されている感じもします。

そしてディアギレフと離れて一座をやろうとしても、邪魔が入るし、名声を利用しようとするものはいます。パリのミュージックホールのシーンはそれだけでもいいシーンですがここではオッフェンバックの「天国と地獄」が強調され馬鹿馬鹿しいシーンになってしまいます。確かに下町のモーツァルトですから仕方ないですかね。

夫がロシア革命の関係でしょうが、監獄に入れられるのですが、パブロワは家財すべてを売って夫をロンドンに呼び寄せます。そこでまたドストエフスキーが「美は世の救済」と言う言葉を引用します。本当に最近見た映画はドストエフスキーばかりですね。そして庭師にあそこにチューリップを8100本植えてと言うのです。そういう性格なのでしょう。

良いですよねこういう性格。

次のニューヨークのシーンもいいんですよね。「リゴレット」の「女心の歌」がかかるなかオペラが好きな劇場主にオペラのあと演じることを命じられるのです。最高のシーンですね。「白鳥の湖」。本当にきれいです。これ以上の映画があるでしょうか?パブロワの象徴は「チューリップと孤独」ですよね。イギリスでのチューリップの話が効いてます。本当に思うんですが、ソビエトとかロシアはいい映画できちゃうときがあるんですね。これも良い映画です。ここで書くのもなんですが、マイケル・パウエルが監修で参加してます。その独特の色調が随所に出てきてます。あの「ホフマン物語」の共同監督ですね。

祖国に帰って、外国で踊りたいという(今で言う亡命)意思を伝え公演旅行に出かけますが、ここで大きなミスをします。これはストラヴンスキーも何回も言っていることなのですが、バレエの振り付けをする過程で音楽が変えられてしまうのです。それをパブロワはやり始めました。しかし映画ではこの振り付けについて旺盛な創作活動と描かれてました。

そして第一次世界大戦が始まります。逃避生活に入りますが、メキシコでの逸話は本当でしょうかねえ。知りませんでしたが、軍隊が動いたのです。バレリーナのために。

そしてパブロワはどこでも自然を感じながら自由にバレエをします。精神的に自由にと言う意味ですが。それは屋外での薪バレエ(薪能にちなんで)にもあらわれます。ここでも素晴らしいシーンがあります。この映画は本当に私の宝物です。この逃避生活の時の顔がまた美しい。これは映画のスタッフが狙っているので、作品の評価にもつながります。

今度はロシア革命ですね。当然ロシアに戻ります。かなり郷愁も強くなってます。ここで何があったかは映画では描かれませんがこのあとツアーで世界中を回るようになります。横浜にも来たと映画の中で都市の名前が出るのは良いですね。

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