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毎日良い男を見つけ歩いているようで、Aは生活を根付かせ始めます。そして、この家の交通事故にあった女の子の日記を読んでしまい、同じく悩んでいることに気づきます(「二十歳の原点」のような日記)。実際に、まったく関係ないのですがお見舞いに行ったりしてます。大家なんですからねえ。意識不明なので相手がわからないのですよ。Bは逆に同じようですが、ふわふわして万引きをするところを警備員に見つかり、さらに、ちょっと知っていたカフェのマネージャーにも見られ、警察に連れて行かれるところを、このマネージャー(Cとする)が代わりに支払ってくれました。CがBにどんどん親しくしてくるので、はじめは受け付けなかったのですが(万引きを見られた恥ずかしさもあるのでしょう)だんだんCのペースに嵌っていきます。当然Cは遊びのつもり、Bはもしかして、と夢見るのです。すぐに裏切られますが、体は許し続けます。というより、はじめのうちはCがプレイボーイだと気づかないのです。実際に、Bの女優は小奇麗な女優です。アルバイトに精を出してお金を稼ぐAとCに振り回されるB,さらに仕事先で友人が出来て世界が広がるAとあくまでCに固執してAにも相手にされなくなるB。その差はだんだん大きいものになります。ここで「青空」とかぶるというのは、このようなBの行動の理由となんとなく「青空」で最後に殺される女の子とが似ているような気がするのです。Bはお金持ちである程度カッコいい人と相手したい、「青空」の子はもっと刹那的で家庭から逃げ出したい、というものでした。もしかしたら世界の果てまで行ってみたい、くらいの気持ちもあったかもしれません。覚せい剤の売人の仲間を警察に売ったのはそんな理由で、そんな連中から、彼を引き離したいのかもしれませんしねえ。まあ深くない動機だと思います。日本もフランスも似ている気はします。

しかしBが忘れようとすると、Cが近づいてきます。そして、Bは寝てしまいます。ほのかな夢をまだ見たいのです。そのときAは再三忠告するのですが言うことを聞かないばかりか、Cと一緒になったときのような見下したしゃべり方になります。

さらにはバイク乗りの男友達(Bはこの男とも寝てしまっているよ)にも好きな人が出来たと別れ話を言います。実はバイク乗りのほうが誠実なんです。ぴったりの男なんですよ。いい言葉を言います。「会うと胸がときめくか?そういう恋なら絶対に逃すなよ」といい男ですよ。私には言えないなあ。Aの助言もいいんですよ。「Cがすべてなの?ほかにもやることあるでしょう?プライドはないの?」などです。しかしBは昔から惨めだったと告白します。かなり投げやりになってます。もう向かうところはひとつですね。何回も惨めな思いしながらも最後にかけるその気持ち、多分、本当に恋したんだと思います。それも初めての恋でしょう。Aはこの恋が実らないことを知っていたと思うんです。多分、このときはもうBは打算だけではないと思います。しかしCは別れの言葉も直接にBにいえないんです。Aに言ってくれと頼みます。AはCを当然ひっぱたきますが、Bはまだ望みを持っているんです。その姿を見ているAの方が辛い。でもよく考えればAが来た事で、Cとの出会いもあったのですし、バイク乗りとの出会いもあったのです。そういうかけがえのない友人だったはずなんですが、Bはどこかに脱線してしまいました。Aは家を出て行き、この家の持ち主も意識を取り戻しつつあり、すべてうまくいくのですが、Bはひとりあてもなく寝ているだけです。家は追い出されるし、仕事はないし友人を一挙に失ったのです。その様子をAは家に来て見て、寝ているBに手紙を書きます。「Bへ、寝ているから起こさないで書くね、この家の持ち主は治るわ また生きるのよ。あなたも望みどおりに生きてね。あなたが夢見る人生を。毎日どんなときもね。あなたの友達、Aより」書いて帰ろうとしたら物音がして見に行くと、Bが窓から飛び降り自殺します。友人に恥ずかしくて会えないのでしょう。こんな言い手紙が残されているのに。題名はちょっと違う感じはします。Aは生活を固めて再構築しようとしただけですので、「夢」なのかなあ。

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「ふたりのロッテ」ヨゼフ・フィルスマイヤー監督 1994年 ドイツ

この映画はいい映画です。内容もよければ、音楽もいいし、風景もいいです。特に前半のスコットランドの景色はなんともいえないくらいきれいです。

映画のはじめは「離婚調停」の罵倒から。離婚から10年後、英語スクールで二つの家庭の子がスコットランドに出かけます。一人はやんちゃな女の子、もう一人はエレガントな女の子。この子たち仲が悪い上に同じ部屋になってしまいます。そこでいじめとしてお風呂に入っているときにシャワーをかけるのですが、格闘になってお互いに濡れてみると、姿がそっくりなんです。そうですね、離婚した夫婦が双子をひとりずつ引き受けて育てているのに、たまたま同じ英語スクールに通わせてしまったのです。子供たちはお互い、少しずつ、打ち解けあい、お互いの片親の話しなんかしながら、ほとんどまだ見ぬ片親を想像してます。そしてお別れのとき、スコットランドの灯台を背景に一緒に記念写真を撮るのですがきれいです。この知らない姉妹同士が触れ合うときの舞台としてスコットランドはとてもいい舞台です。

しかし別れ際に、ある作戦を立てて、別れます。それは別のうちに帰るのです。お互いのばれないために習慣とか教えあって、ママに育てられた子はパパのもとに。逆も。ふたりの名前はママのミドルネームからパパによってつけられているのです。

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