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なんというか、何にも感想のない映画なんですね。では何で観るのかというとナスターシャ・キンスキーなんです。美人というわけではないと思うんですが、大体の作品見ています。今回も映画がつまらないにもかかわらず、最後まで一気に見られたのも、この女優がきれいに撮れているからでしょう。

黒ひょうに捧げられた人間の女の映像が出てきますが、あとでひょうのえさになるのは人間の女ばかりなんです。その局部を食いちぎる食べ方をするらしい。この黒ひょう一族が現代のニューオリンズに人間の形をして生きているらしいのです。

たまたま両親をなくして兄のもとにやってきたナスターシャは兄がひょうに化けることを知ります。しかしたまたま動物園で化けて人間の女をえさに取ろうとしたときにつかまった兄のひょうを見つけるのです。そこで何かを感じるのです。しかしナスターシャは人間で、ひょう一族ではないと言い張り喧嘩にもなりますし、動物園の園長の誘惑にも誘われるままに出かけます。しかし一線は本能的に拒否します。その晩、彼女は自然に眼が覚め外に出ると服を脱ぎ捨て動いている動物が良く見えるようになり、そのなかでおいしそうなものを狙い捕まえて食べます。しかし園長の愛は変わらないものになっていました。彼女自身も兄と同じ運命なのか良くわからないで恐怖を感じているのです。

こういう、想像だけでもやもやした映像を具体的に見せられるとこれが映画なんだ、とも思います。変な作品のようなんですが、逆にすごく映画的な作品かもしれません。第一、私がなぜか最後まで続けてみてました。この種族は(黒ひょう)兄弟同士で愛し合い種の保存を図っているみたいなんです。しかしナスターシャは人間であると拒絶しました。そして兄のひょうは撃たれて死にます。解剖すると人間の手が腹から出てきて消えてしまうのです。

この種族は昔人間の子供をいけにえにしていたので、その魂が宿り、人間の形をするようになった神の種族とのこと、なんでもいいから、適当にやってくれ、というかここまで行くと面白いし、美人、美男子が出てくるので飽きないです。最後は園長に抱かれること(神と人間の交わりでもあり、動物と人間の交わりでもある)を選択してそのまま動物園でひょうとして生きていくのです。仕方ないです、人間と関係してはいけない種族らしいですから。意外と面白いなあ。

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「ミッドナイト・エキスプレス」 アラン・パーカー監督 

この監督との出会いの映画だったと思います。映画は一期一会という言葉は本当に当てはまると思うのですが、一番初めの印象で何か残らなければ、二度三度と観ないでしょう。

もちろん、内容を知ってますし、忘れられないシーンも数多いので、今見ても再確認程度ですが、また久しぶりに見ました。内容が重いので、何回も観たいと思わないので、好きな割りに回数は観ていない映画です。しかし今回もまた、この映画を見直してしまいました。素晴らしい。

1970年のニクソンがトルコをを嫌っているときのイスタンブールが舞台です。空港でハッシッシの密輸をやろうとしている若者のシーンが心臓の鼓動のようなリズムとともに映し出されます。もうすでに、かなりあせっているのでやめれば良いのに、と思ってみているんですが、あせっている割に最後の度胸で行ってしまいます。たぶん厄年とか厄日なんでしょう。恋人と一緒のときに黙ってやるのは無謀です。それも素人なんで、かなりあせってます。つかまるまでの描写はこちらがあせるくらい、もっとしっかりしろよ、と思うほどです。そして売人の洗い出しに協力するために街に連れて行かれるのですが、ここでおとなしくしていたらどうなっていたでしょう?普通はここでおとなしくしているものです。犯罪捜査の協力ですので、悪い印象はなくなりますよね。しかしこの若者(Aとする)は逃げてしまうんですよ。いくらなんでもパスポートのなく何もない状態でのイスタンブールは危険です。つかまってしまいます。この間「まずいよ」と心の中で叫んでみているのは私だけでしょうか。何で逃げたんでしょう。甘いのです、考え方が。そして裁判になるにつれて父親がやってきます。結果は4年2ヶ月。密輸となるらしいので(本人にはその意思はなくても国外に持ち出すということは密輸)仕方なく、父は帰っていきますがこの別れのシーンと最後の再会のシーンは対になって感動を呼びます。

ミッドナイトエキスプレスとは脱獄という意味です。脱獄さえ出来ればトルコなら(ヨーロッパなんですが)すぐに偽造パスポート作ってギリシャに逃げることが出来るらしいのです。まあ父の言いつけどおりに黙って刑に服します。その間、人種的偏見や、ホモ、精神的にだめになっていくものなどを見ていろいろと考えさせられます。その中で回教寺院からローソク台を盗んだ男が何回も刑務所の警官のお世話になり、脱獄も試みますが失敗して睾丸をなくします。つかまったときにひどくぶたれてヘルニアをおこしてだめになったのです。憎しみを糧としてまじめにほかの人と生きていきますが、その人が少しホモっぱくて(仕方ないかも)それは拒否しながらも前向きに僧侶みたいに生きていきます。この相棒は先に釈放になり、睾丸をなくした奴は病院から戻ってきます。そこでこの監獄の建物の青写真をもらったらしい。脱獄を薦めますがAは拒否して、残り53日。このときに最高裁の判決が下り(判事が控訴していた)刑は30年と決定します。ここでぶちぎれて、脱獄計画に参加するようになり、どうにかトンネルを進めるのですが、出口にふたはしてあり、どうしようもないときにトルコ人の囚人なんですが見張り役みたいなお茶配り役の奴に(Zとする)見つかり、睾丸なくした奴が罪をひとりで3人分かぶっていきます。

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