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残りのふたりは、このZに仕返しをしたく、お金を盗み(Zはお金が命のようなずるい奴)で燃やしますが、Zは地元の人間なので、仕返しをします(「眼には眼を」もすごい仕返しの映画でした)。マックスというもうひとりの監獄に長くいる奴を、ハッシッシの密売で摘発します。無実の罪です。そして警官に連れて行かれるのですが、そのときにAの怒りは爆発(身代わりになってくれた睾丸をなくした奴の気持ち、今までいじめられた怒り、そしてマックスを無実の罪で陥れた怒り)すべてが爆発して、Zを殴り殺します。最後は舌を噛み切ります。そしてAも特別収容所に収監されます。時計は7ヶ月進んでいます。本当ならもうとっくに出られた時ですね。しかしそこは半分精神病院のようなところでマックスがいるのですがお互いにもう気力なく呆然として、かつ、かかわりは避けたいのでしょうが気づきません。Aはいつしかお祈りの輪に加わり呆然としてます。

しかし恋人が会いに来て、アルバムの中にお金を隠して与えるのです。すこし、特別収容所は警備が緩やかなのでうまく通ったのでしょう。その恋人は意識せずとも久しぶりに見た女でした。「愛している」と自然に出るとともに、脱いでくれというのです。そして面会のガラス越しに愛撫するのです。昔見たときはすごいシーンだと思ったのですが、今見るとなんでもなく、久しぶりに性の衝動、生きる気力を蘇らせてくれた瞬間でした。それから、病院が警備が緩やかだと覚えていたので賄賂で病院に移らせてもらおうと所長に言い出るのですが、この所長のホモの餌食になるのです。実は本当かどうかわからないですが、所長が洋服を脱ぐということはチャンスですよね。あまりにも出来すぎてますがそこで殺せばいいのです。そして警官の服装をしてたまたまでしょうが、うまく刑務所の外に出ることが出来たのです。この映画のあと、トルコとアメリカは捕虜の交換の締結をしたとか、トルコ政府は上映に反対したとか、流れて最後に空港で父親と恋人と母親と抱き合うシーンをもって終わります。シナリオ、オリバー・ストーンだったんですね、音楽ジョルジオ・モロダーだったんですね。なんとなくわかる気がしました。「スカーフェイス」も同じですね。監督が違うだけです。あの映画も最後は逆にいらいらしました。自分の扱っている麻薬に溺れるなよ、と画面に向かって叫んでました。情けなしアル・パチーノという映画でした。メイキングで本人が出てきたんですが、やはり俳優はかっこいいです。このAの役と恋人の役、父親の役はみんないい役者です。ブラッド・デイビス、アイリーン・ミラクル、マイク・ケリンです。

 

「晴れ、ときどき殺人」 井筒和幸監督 1984年

この監督の映画最近続いてます。「がき帝国」は面白かったのですが、この映画はどうなんでしょう。角川映画と赤川次郎という組み合わせは実はほとんど見ていないのです。最近中古が安かったのでかなりまとめて買ってしまいました。それで先日の「時をかける少女」以来すぐに見ています。

今思ったのですが、渡辺典子は誰もがあの子に似ているなあ、と思い浮かべることが出来る女の子ではないでしょうか?実際に私も、ある人に似ていると思っていてその人は美人だったんだあ、なんて美的感覚のないことを思いながら見てました。さらに男の太川陽介も友人に似ていると思いました。そんな平凡な感じの中、せりふがたどたどしい、俳優がたくさん出てきますし、なんというか渡辺典子にいたっては間違えそうなところをわざと狙って撮っている感じもします。内容はかなり昔の人しかわからないようなせりふも多いので、今の若い人はわからないかもしれませんし、どっってことはない内容です。殺人事件が犯人は誰か、これがのほほんとして捜査も進み、誰も怖くなく、進行していくだけですね。しかしこの主役のふたりの魅力は今になって気づきました。かわいいし、男は素直でいいですよ。見ていてかわいいふたりです。あと意外といいテンポで、冗談ぽく進行するので本当に気楽に楽しめます。出ている役者は二世代前ですので今とはかなり違い人ばかりですね。そんなところも面白い比較です。この監督はかなり角川映画という枠で使える俳優もかなり選べて、自由に撮った印象があります。音楽は宇崎竜童ですがさすがにこの歌は聞いたことのある歌でした。角川映画は最近投売りに近い値段で売っているのでかなり買って観ているのですが、昔の俳優と今まだ活躍している人たちがごった煮で面白い位置づけですね。ちょうど邦画が停滞していたのかな。この数年後に塚本監督も出てきますよね。このころ「電信小僧」撮っていたのかなあと思うと面白いことです。のちにこの監督は俳優として塚本監督の「バレット・バレエ」に出ているんですよ。次にこれ観たくなったなあ。

最後に犯人は想像しませんでした。ミステリーだったんですね。面白かったなあ。ETのパクリも今となっては何も感じません。当時は批判受けてそうですね。しかしPCは20年前は古かったですね。あそこで道を間違えていなければ、日本企業はかなり支配力があったと思います。半導体でインテルに負けるなんてこのときは想像もしなかったです。時代を感じさせてくれました。

 

「バレット・バレエ」塚本晋也監督 1998年

「晴れ、ときどき殺人」の井筒つながりで観てます。この監督、あのチャカ売ったやくざの役ですよね。太ったのかなあ。ほかに井筒監督の昔の面影がある人がいないので多分そうでしょう。かなりの脇役です。

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