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この覗き(Aとする)の母は「女は無邪気に遊んでいるようで、本当は優しい男が好きなのよ」とアドバイスしてくれます。そして牛乳配達のバイトをして直接のコンタクトを求めていきます。しかしひょんなことから、自分で覗いていたことを告白します。するとその夜から女は窓から見える位置にベットを動かして電話を近くにおきます。そして遊びに来た恋人に覗かれていることを言うとその恋人にAは呼び出され、殴られます。しかし次の日牛乳配達をすると女と話す機会があり、なぜつけまわすの?と聞かれると「愛しているから」と答えます。そしてデートに誘い会話が弾みます。女も好奇心ありますからね。覗かれていたわけですから、なに見られていたか知りたいですよ。そして部屋に誘われますがその様子を友人の母が今度は覗いてます。しかしセックスに誘われてしまい、Aはそのまま逃げ出します。そして家に戻り手首を切るのです。しかしその事実を知ると女の方がAをいとおしくなります。遊びではなかったと知るからですね。そして、極めつけのシーン、退院したあとお見舞いにAのうちを訪ねるのですが、そのときにAは横たわって寝てます。そして何気なく望遠鏡を覗くと、そこには自分自身がいて、孤独に打ちひしがれている姿が映し出されているのです。その孤独を癒すかのようにAが手を差し伸べてくる瞬間が映し出されます。そうです、Aはこのような優しいまなざしで彼女を見つめていたのです。それを知るのが遅すぎました。

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「ホーリー・スモーク」 ジェーン・カンピオン監督 1999年 オーストラリア、アメリカ

先日の「シェルタリングスカイのボウルズ」に影響されてインドを舞台のこの映画。砂漠って行ったことあるのですが、本当に暑いんですよね。私はアフリカの砂漠とアメリカの砂漠(砂漠といわないかも)しか経験ないのですが、本当にぐでええ、としてました。しかし身近に実際、インドに行ったまま初めの予定をオーバーして数ヶ月行っている女の子を知ってます。大丈夫かな。まだ帰ってこない。ケイト(Aとする)は「グッバイ・モロッコ」といい砂漠やインドの映画に良く出てます。あの映画でもこの映画でもトラベラーですね。TOURISTではないみたいですね。グッバイモロッコは最後子供たちが「ヒーディアスキンキ-」と叫ぶシーン良かったですよ。こっちのトラベラーは危なそうな感じもしますが、ボウルズも似たようなものでしょう。インドのヒンズー教との出会いがAの変化をもたらせたみたいです。CGの色合いが「リトル・ブッダ」とちょっと似てますよ。さらにホモが出てきたり、なにか最近観た映画がすべて関係するようなテーマです。自分の好みが完全に出ているんでしょう。ヒンズー教の中の亜流のカルと集団からAを連れ戻そうとするのはなにか「ミッドナイトエキスプレス」みたいです。あれも異常な環境でした。今度も異常です。父親が病気だから連れ帰ろうとしても「死はみんなに平等にある、来世でまた会える」と言われたら多分切ないでしょうねえ。育てたのにねえ。結局連れ戻しに行った母があまりにも不衛生で気がおかしくなって持病の喘息を悪化させたため、連れ戻すことに結果的に成功します。そこにあらわれるのが、カルト脱退請負人、これ本当にある職業なんでしょうかねえ。こういう職業が成り立つのも嫌な世の中です。彼らの着いてすぐの会話の背景に東洋人の結婚式のドレスを着たカップルがいるのですがこれは統一教会とかを皮肉っているのでしょうか(批判ではありません、なんで背景に東洋人のカップルが映るのか不思議なだけ)

とにかくAの家族が異常と思えるくらい、変な奴ばかりいるのです。こんな家で育つとおかしいのが出来るとも思えるのですが、Aももともとかなりおかしい奴ですよ。そしてカウンセリングが始まるのですが、Aに請負人が少ずつ感情を移入してしまいます。これは職業上許されない行為ですが、Aが魅力的なだけに少し精神的不安定な様子を見せると、それに応えるのが愛情だと思うのも無理はないところです。しかしここでAは演技なのか、そこが疑問です。そして請負人はAの虜になって求婚までするのです。Aは自分自身を失って自信がなくなるのです。何が請負人には魅力に映ったのでしょう。自分の不安定な様子を正直に言葉にする素直さ(基本的なところ)なんでしょうか。2人だけのシーンは感情の揺れ具合が良く表現できていないと思うのです。しかし最終的には請負人の方がインドの神を信じるようになります。好きな女が相手してくれなくて寂しさのどん底に落ちるのです。それを見て、逃げ惑うA、逆にこれで直りました。皮肉です。そして仕事をしなかった請負人を告訴しようと家族のものが言うのですが、それをやさしくAが請負人を受け止めることで彼の心の平穏も取り戻せましたし、女としての正常な母性を思い出すことが出来たのです。無論一緒になることはないのですが、お互いにこの短い間の濃い関係については良いステップだったと思えるようになるのです。はっきり作りは甘いとも思うのですが、良い結末だと思います。

 

「ギャラクシー・クエスト」ディーン・パリソット監督 1999年 ドリームワークス

この映画、数あるドリームワークスの中で私は一番良い映画のひとつだと思います。宇宙を舞台にシガニー・ウィーバーを起用するし、あの素晴らしい「ウィンター・ゲスト」の監督アラン・リックマンを起用するしそれも被り物の役で、かなり笑えれるんですが、内容も途中から加速度的に面白くなります。

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