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「ラストエンペラー」ベルナルト・ベルトリッチ監督 1987年 イタリア英国中国

この監督のオリエント3部作の一番初めですね。意外と映画としてはこの3本とも評価が高いのですが、すべて表面的だ言う意見が多いようです。

どうなんでしょうか?私は感動している方なんですが、「シェルタリングスカイ」は原作者のほうについての映画を見てしまうとそうなのかな、と思います。話は戻りますがこの映画は、何か最近観た映画のテーマとかなりダブルのですが、「人間の条件」「ドクトルジバコ」などです。そういった意味では中国の逆側の風景だと思ってみると、今回は興味を持ってみることが出来ました。ロシアと清は搾取するだけの大国であって倒す価値があったのでしょうか?何故これらの国で、ほかに君主がいた国もあるというのに革命が起こったのでしょう?ロシアの辺境地は中国と接していますし、情報の交換や啓蒙があったのだと思います。しかし共和国となる過程と紫禁城の中にだけ存在できた理由などがあまり表現されていなくて、ちょっと拍子抜けします。象徴として存在していたということですが、実は私は中国の歴史は詳しくないので、そうなんでしょう。しかし子供のときに仏陀と同じような境遇にあったことは事実です。世間を見させてくれなかったという環境です。とにかく、この紫禁城のシーンは私にはつまらないシーンで、すごく興味があるのは溥儀が捕まった後拘束されてからです。なぜならば、違う名目の権力が裁こうとしているからです。ほとんど映画化されておりませんが、スターリン時代、毛沢東時代の両国内の状況を暴露したような映画はないのでしょうか?そのほうが興味あります。

途中「紫禁城は観客のいない劇場、そして熱演は今も上映されている」というような言葉があったと思うのですが、これがぴったり私の気持ちの表現に当てはまりました。なにか過去の遺物を何故残してあるのだろう、とはじめから思っていたのでしょう。これに気がつかないでおかしいと思っていました。すっきりしたのは、ジョンローンとジョアンチェーンのラブシーンからです。この辺の苦悩と夫婦の癒しがうまく表現されていると思います。いつこの奥さんと別れるんでしょうね。その前に共和国制がが崩壊するみたいですね。満州出身の溥儀は紫禁城から追い出しをくう。そして日本との接触が始まるみたいです。この映画昔は興味なかったんです。このような背景まったく考えないで観てました。1924年に共産軍が生まれていたのか?違います。蒋介石の国民党ですね。国民党が西太后および溥儀の祖先の墓を暴いたのも大きかったみたいです。しかし天津にそして1927年日本(日本大使館)に向かったというのはすごく興味があります。どんな背景があるのだろうか。日本もこのころは「帝都物語」ではないですが、関東大震災の頃ですよね。そしてジョンストンという家庭教師が1931年まで天津に滞在していたんですね。この辺の描写は映画では甘いので、深く理解は出来ないですし、劇的な描写もありません。

1934年に満州国の皇帝?に。満州事変より前なんですね。知らなかった、で済まされる内容かな。そして日本の植民地化へ。このとき、映画では甘粕の一連の行動、完璧です。日本こういう感じで他国を攻めるタイプの国ではないので、もしかしてこの人物はかなり優秀かもしれません。しかし大局では、満州に進出と南アジア同時に進撃という馬鹿なことをしたことになります。陸軍と海軍が別れたから仕方ないのでしょうが、満州のみに固執していればずいぶんと変わったことでしょう。その前に侵略戦争を否定しなければなりません。このころ梶上等兵も満州にいたことになりますし、「帝都物語」の加藤に代わるものが帝都を支配したことになるのでしょう。映画って類は類を呼ぶ感じで面白く拝見しております。しかし途中、南京大虐殺が出てくるのですが、これは事実なんでしょうか?よくわからないんですが、日本の国民性からして虐殺が出来るとは思えないのですが、本当にこの規模であったんでしょうか。そして第2次世界大戦の日付が一日前になってます。もうこういうのどうでもいい。そして原爆、昭和天皇のお言葉。日本をテーマにしていないからいいのでしょうが、やはりイタリア人が作ったとしか思えない感じがします。この監督を馬鹿にするわけではないですが、「シェルタリングスカイ」でもボウルズ、バロウズにけちょんけちょんに言われたのが判る気がします。彼らはすごかった、「早くイタリアに帰りたかったんじゃないか」なんて言ってましたね。この言葉わかる気がする。この監督はやはり甘いというかロマンティックすぎる。小林監督のほうが数段上です。「東京裁判」「人間の条件」込みで観るとぜんぜんレベルが違います。それでもアカデミー賞かなりとっているんですよね。まあいいか。その程度の映画です。最後のほうなんか甘くて甘くて観ていられないです。

そして文化大革命を見る元皇帝。裁判を取り仕切った男が捕まってます。毛沢東の名の下に馬鹿な革命が起こってます。中国の歴史はこの辺描けないでしょうか。絶対に面白い。なにせこの映画が出来た頃はまだ天安門事件の頃ですから。笑い。

3/29

 

「ドクトル・ジバコ」デビット・リーン監督  1965年

よい映画ですね。しかしかなり入り組んだ構造なのでアカデミー賞も主な部門は取れなかったのでしょう。ラーラ(Z)の娘らしき人がみつかり、話しを聞いているうちに、中央アジアの平原の中でジバコ(A)の母親が埋葬されるシーンに移ります。魂は肉体を離れただけです。ここがポイントなんです。バラライカは弾けなくても、大きくなったら詩を好む医学生になります。ここでトーニャ(G、母が死んだあと母の友人の家にもらわれた、そこの娘同い年くらい)はどうしたのかというとパリにいます。

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