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そしてラーラ(B)がモスクワで恋人(C)と一緒にいるのですがCはボルシェビキみたいな左翼系学生です。Aが見ている中Cはデモに参加して、Bは舞踏会に出かけます。4人がうまくクロスしてますよ。舞踏会は貴族特権階級、外は労働者階級でこのデモは弾圧されます。そしてBは叔父から迫られて、そのときに弾圧が始まり、その音を聞いて外に出てきたAは衝撃を受けます。Bは教会で「肉欲は結婚の契りによってのみ許されるのだ」と諭されますが、Cはこの弾圧でより過激的に変化していきます。AGはまさに良いカップルなんです。しかしBの叔父夫婦がちょっと変態じみていて危篤状態に陥ったときAの先生が呼ばれて、Aも一緒についていきます。ここでABの初対面が。しかしBは状況を知らせにきた叔父に抱きついてしまいます。やばい、見られた、という感じのシーンです。ここで重要なことが起きます。この叔父はAの父親を知っているというのです。Aはそんなことも知らずに、起こった2つの情事に放心状態。

そしてBCは結婚すると叔父に打ち明けます。まあ叔父との腐れ縁も解消したいんでしょう。叔父もそう簡単に納得はしません。Cが一途過ぎるのです。「不純同士の交歓」で逃げられてしまいます。このあたりBはこんな女だったっけと記憶が曖昧でした。まあ清算に出かけますが舞踏会に行ったとのこと、後を追いかけます。そしてその舞踏会にはAGが来ていて、かつ建物の前でCに会います。全員そろいました。殺すでしょう。失敗して取り囲まれたBを割り込んで救おうとするのはCです。ここで思い出しましたがこのCはまさに「人間の条件」の梶上等兵にそっくりです。悩み方まで似ているような気がする。

話はかなり対になるところあるので、続けてみることはお勧めはいたします。右翼的な勢力をうまく利用するというところはうまい。ドイツとロシアの戦争です。この時宮中にはエカテリーナ2世(ドイツ出身)がいたんですよね。「幸せな人間は兵役志願などせず、兵役免除を神に感謝する」まるっきり「人間の条件」と同じ。違うのは兵士が疲弊して(映画では自主的に)帰宅し始めたことです。確かに日露戦争もあったんですし、おかしいですよ。そして人間の条件と同じように帰る道ながら、いろいろなことを思ったんでしょう、革命の兵士と彼らは変貌するのです。アレックギネス扮する反抗分子を軍の中でまとめるスパイもいたのでしょう。そして革命の勝利に導くのです。ここまで革命軍は待ったらしい。しかしレーニンは前線をここまでは悲惨だとは思わなかった。戦場は経験したものにしか判らないでしょう。ここで国のため、戦って死んでいく命は無駄だというせりふにかなり監督の意思が入っていると思います。反戦のメッセージです。とにかく戦場の悲惨さは、当然私にはわからないのですが。この戦場の反抗分子をまとめるという、逆説的な発想ですが革命の発端となったところでABは再会します。Cは勇敢に戦い権力を物にしてます。この映画の描き方は、戦争がいかに無駄な死に方か、権力がいかにたわいもないものか、如実に語ってます。うまいと思いますよ。そして皇帝が殺されレーニンがモスクワに入ります。労働者の国家というのですが、すぐに別の権力が出来るのはご存知ですよね。

このときGはモスクワにいます。ということは2組とも別れ離れでABが一緒にいるということです。カーチャというこどもがBCに出来てます。そして子供とCのところに帰っていくのです。

サーシャという男の子がAGの間にいます。そしてモスクワは今度は公平、平等の名の下人民軍の統治が始まってます。統治とは言わないですね、分配でしょうか。

そして薪泥棒しているところをAはアレックギネスに見つかります。この人はAの兄でした(E)。Eはこのことでは党を裏切り、弟を許します。しかし入党しない弟に対して、「党に理念はわかっても入党しないやつはひ弱な賛同しかしない」という判断をしてます。まあすべてをかける人間と違う人間(リスクへッジ)の差です。そして言葉の端に「モスクワにいるな」という兄に従ってウラルに向かいます。屋敷も取られているので問題ないでしょう。途中でまた人間の業がでてきます。それは、Cの評価もまた低いものです。あれだけロシアから馬鹿にされてきたのに、今度は自分が馬鹿にされてもいいのでしょうか。

第二部

途中Aはひょんなことから、Cに捕まってしまいます。CはAたちの舞踏会を良く思っていないので手加減はしないでしょう。Bがいてくれたらまた話は別ですが。「個人の時代は終わった、愛とかはいらない」というような言葉、Cも変わったのです。BがいなくてもBと会ったという話で助かります。そしてBはユリアティンにいると知るのです。期待を持たせる情報を得ました。そして、そんなたたないうちにCが失脚したというニュースまで。Cは土台を作るまで必要なタイプの理想を追う理念家でしたから体制をある一部の人のためにする段階では要らなくなる人間です。そして満州に逃げてます。何故満州か?別に意味ないのですがソビエトの人間が逃げるときの果て、なのでしょう。そしてロシア皇帝は殺されます。見せしめですね。このときのロシア皇帝の内部の話も面白い話がありそうですね。

ユリアティンで再会するAG。静かですが、内面では激しい情動がうまく表現されてます。会うべき人には会えるのです。また会いたいと念じていれば会えるのです。

そして二股の生活。Gはまた身篭ってます。そして薬を取りに行き、関係をすっきりさせておいて帰る途中にパルチザンに襲われて仲間にさせられます。まあ医者がほしかったのです。しかしこの時点でどちらがパルチザンかまったくわからない感じですけどね。「人間の条件」とまったく同じ展開ですよ。白軍は皇帝が殺されているのでよく抵抗はしていると思うのですが。日本軍もそうでしたからね。

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