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そして友人の仮釈放。そのときのせりふ「罪を犯したときから、後悔しない日はない。更正なんて言葉は作られた言葉である」いいせりふです。

仮釈放のあと、約束の地に行った時の手紙の内容は秀逸、元気であるといいが、と書いてあるけど、元気でなくてもこんな手紙読んだら元気が出てしまう内容です。

 

あとは仮釈放が決定してからみんなが思っているシーンに向かうだけです。「ザ・プレイヤー」とこの映画とこの頃いい感じでしたね。「ザ・プレイヤー」は大好きな映画です。

4/3

「ディンゴ」ロルフ・デ・へール監督 1990年オーストラリア、フランス映画

マイルス・ディビスがミュージシャン(A)として出演してます。プーナ・フラットというオーストラリアの砂漠のところについて飛行機から降りるなりすぐに演奏を始めます。まあ画面に移るバンドの数と音が一致しないのですがね。変な始まり方をします。

そのときジャズに魅了された少年が(B)大きくなってしがないミュージシャン放浪生活(キャンピングカー)と汚い家で住みながらAにファンレターを書き続けているのです。昨日の「ショーシャンクの空に」も図書館を作るとき補助金の要請の手紙を書き続けていましたが、手紙はどんな手紙でも相手に意識させるものです。大事な手紙があるからすべて捨てるわけにも行きませんし、一応あて先は見るでしょう。今回はあきれた事務所に人がA本人に渡します。

オーストラリアの田舎では同じバンドの演奏者も下手ですし、聴くお客様もほとんどいない。そんな中レコードでAのライブを聞くのが楽しみです。家庭を持ってしまっているので都会に出ることが出来ないのでしょう。しかしチャレンジはしているんです。しかし人生をかけられない。

そんな時、サバンナでトランペットを吹いているとジャズバンドの幻影が見えます。その次の日電報が舞い込んできます。しかしBは信じません。前に電報でレコード会社から来たように見せかけていたずらされたのに、気分が大きくなってみんなにご馳走してしまったからです。それ以来、笑いものにされています。そんな中子供のときの親友が成功して帰ってきて、どうもBの妻(子供のときはBに譲ったのですが、今は成功して立場が変わってます)に近づいてものにしたいらしい。先ほどサバンナで曲を無意識に演奏したときと同じく、こんどは嫉妬という曲のモチベーションがあります。そういう時は常にBの頭の中にAが現れて演奏を補助してくれるんです。しかし大自然と嫉妬というかなりいいテーマを演奏できるようになりました。

そして親友に妻には会わないでくれ、とけじめをつけて内緒でフランスに向かいます。まあ招待状が本物とわかり、自信がついたのです。まあそして再会して一緒に演奏して終わりなんでしょう。あと変化球があるとしたらどんなことでしょうか。ありました。クラブに無理やりAを連れて行ったらBに演奏しろ、と言われてしまいます。即興でBはAの前で演奏します。当然、クラブには行かないことで有名なAが来たことでクラブ全体が舞い上がっております。その中での演奏。一世一代の晴れ舞台ですね。うまいのでAもセッションに参加します。クラブは盛り上がること。そして大喝采。音楽の仕事はパリではとりあえずは見つかります。しかしAはBに帰れと。自分の音楽を追求しろ、オーストラリアの奥地の叫びのような音楽を、と指導してくれます。

そして当たり前の結末と思ったら、監督の前フリにやられました。もしかして、と思わせることが起こり、でも実は。という終わり方です。すごくいいですね。この映画はいいね。何で評価されないんだろうか?

音楽はミッシェル・ルグラン。この人のジャズはあまり好きではないんですが、マイルス・デイビスの存在感は圧倒してました。

4/4

 

「醜聞スキャンダル」黒澤明監督 1950年

「芸術は人まねなんかではない」と絵を描いているときに見物人から、雲取山の色が違うといわれて若い画家(A)が言った言葉です。昨日の「ディンゴ」の中でもマイルス・デイビスが言ってました。それよりも冒頭のバイクで突っ走るところ「大脱走」のスティーブ・マックイーンみたいでかっこいいですよ。「オートバイが傍若無人なところが好きな理由らしい」。そこに自然に見せられたのか歌を歌いながら女性がひとりBとします。声楽家だとのこと。ABともに有名な人たちです。そのふたりが出会って仲良くしているところを追ってきたカメラマンに撮られてしまいます。

「記事なんて少しいい加減でも、活字を入れさえすれば世間は信用するよ」現代の偶像は写真板と活字だとのこと。ライターがびびっているのに「男女関係のいきさつはひとつしかないよ、細かいところは違ってもいい」と編集長です。さらに「上品ぶっている連中はプライドが高くて告訴なんてしないよ、気概の高い軽蔑で済ませてしまうよ」とまで言います。そしてAが編集部に乗り込んで編集長を殴ってしまったからこじれてしまいました。

編集長にも理が出来てしまいました。そのことについてAはまったく抗議しますが、Bは沈黙のまま。Bをたずねると「相手にしないほうがいい」という母親。さらにはAの「僕たちが正しいことがわかっていて何で戦わないのです」ということばに目の演技。Bがひそかに好感を持ってしまったことは事実ということらしい。

「時々無分別になるのは人間らしくていい」「いつも分別ついているようなやつは安っぽくていかん」と訪ねてきた弁護士が言います。この弁護士の娘役かわいいですよ。あとAのモデルやっている人も。当然、Bも。黒澤監督の映画でこれだけ美しい人が出てくる映画は少ないですよ。モデルとAが作品「雲取山」とスキャンダルの話でからかい半分でカフェで盛り上がるシーンはめちゃくちゃいいシーンです。

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