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まあ連合軍のほうですが、小隊を率いたAが一人生き残りかえると、大隊が危ないのですぐに新たな小隊を編成して戦ってくれといわれます。まあ当然ですが、連合軍になんで余裕がないのかわかりません。まあナチスを甘く見ていたのでしょう。

戦車が違うんですよ。タイガー戦車なんです。冷静に考えると子供のときに、ミッキーではなくて戦車の形の絵本を読んでいた私たちはまだ戦争の余波があったのでしょうか?しかし戦争はいつの時代も大将の運、配置の運、天候などの運、本当に生きるも死ぬも紙一重です。そして裏切ったやつはその場ではヒーローですが必ずあとでしっぺ返しを食います。まるっきり関係ないことですが、新兵でこの戦場に配属になるなんて運が悪いですね。ノルマンディーなら良かったのにね。ノルマンディのあと休憩できて復帰したらベルリン陥落なんて運の強い兵隊もいるのです。

この映画の戦争は連合軍が歩兵のみで、ナチスが88ミリ砲と戦車(タイガー戦車ではない)の戦いで、橋の奪取と死守の場面です。

Aのリーダーシップの浸透もひとつのテーマになってます。リーダーシップとは、その人の行動が他人に与える影響の度合いで無意識的なものを言うような気がします。そのリーダーシップがはじめは信頼を受けないのですが、だんだん浸透していくんですね。修羅場を経てわかってくるんです。

小隊のみんなが「生き抜くこと」で意見が一致したときは強い。戦車を命令なく奇襲します。そしてはじめのシーンと同じシチュエーションが生まれるのですが今度は担いでいたやつが担がれて死ぬ寸前。担いでいるのは入隊したときはどうしようもないテンポの遅い兵隊でした。ほんの数日で一流の兵隊になってました。ヒュルトゲンの森の戦いで24000人の死傷者を連合軍は出したとのこと、そしてその後にバルジの戦いになるとのこと。

ナチスもかなりの抵抗をしたんですね。

4/11

 

「イングリッシュ・ぺイシェント」 アンソニー・ミンゲラ監督 1996年

「プライベート・ソルジャー」に続いて1944年の11月です。イタリアですので解放後。戦争初期北アフリカで地図を作っていた男(A)が被爆して全身やけどを負います。その後現地の仲間が現地の方法で応急手当をしてくれて助かるのですが付き添いの看護婦がイタリアの丘の上の教会に一時、自分も安静を求めてこの患者とふたりで生活を始めます。目的はあまり明確ではないのですが。

ギブリ、チェニスで吹く砂嵐、そしてアジェジェ、南モロッコのつむじ風。ハルマタン。サイムーン。

Aが怪我をする前を少しずつ思い出していきます。砂漠のランデブーがあったんです。思い出すのは熱い恋愛のことばかり。「砂漠の狂熱」というタイトルだったかバルザックの短編にあったと思いますが似ております。あの短編は「砂の女」のほうが似ているかな。

Aが人妻と恋におちてしまうのですが、それが激しい大恋愛。なにがきっかけか?結局一目ぼれ同士なんですよ。そして男のほうの真摯な態度に惹かれている自分に女のほうは人妻なんですが気がつく。そして燃え上がっちゃうんです。しかしその女が旦那の元にもどります。Aは悪態ばかりつくようになりました。しかし苦しんでいるのは女のほうもなんですね。恋愛の度合いで、相手の苦しみはわかります。ちょっと前に見た「私たちの好きなこと」もあのふたりはいい感じだったんですよ。ということは別れてあげたあの岸谷の懐の大きさが目立ちますね。あれは普通は出来ないですね。あと少し話が飛びますが、看護婦とインド人のラブシーンも秀逸ですね。この監督どこかで聴いた記憶があるのですがほかにどんな映画撮っているのでしょうか?すごくいい監督ですよ。

そして知り合いと終戦まじかのイタリアで再会するのです。その男はナチスに捕まってカナダのスパイとわかり、仲間の名前を白状しなければ指を落とすといわれて切られたのです。Aがスパイだと思っているのです。そして事情がわかり人間性を取り戻していくのです。

しかしAの不倫相手の夫は当然、妻の不倫に気がついていて、なかば自殺をします。妻も道ずれだったんですが不倫の相手同士は生きてしまう。そこでいろいろと裏切られたり、裏切ったりしますがそんなことはどうでもいい。愛なのです。出会ってしまったということは「縁」なんですが不可避的な問題なんですよ。愛の映画としていい映画でした。

ラルフ・ファインズは「ことの終わり」でも同じような、素晴らしい愛を演じてますね。「レッド・ドラゴン」なんて出なければいいのに。

4/12

 

「昭和枯れすすき」野村芳太郎監督 1975年

この映画知っていると聞くと、大体馬鹿にされます。しかしね、いい映画なんですよ。

まずは青森から上京してきた兄と妹(ABとします)Aは刑事、Bは学生。父親が出稼ぎに行っていたときに母親は男と夜逃げをして、お金だけは父親が仕送りしていたけど、結局は工事現場で死んでしまった、二人だけの身寄りの兄弟です。

この映画はふんだんに使われる30年前のロケが利いてます。そのくらい景色は変わるので風景も主役のひとつです。たとえば、三井銀行があります。映画館で「燃えよドラゴン」「ゴットファーザー」がかかってます。

Bの外泊の後、Aは町で家出してきた女をたぶらかそうとしている男を尋問して女を交番に連れてくるのですが、そこでBが男と歩いているのを見ます。そういえば家出って多かったんですよね。私はこの世代も信用していないんですが(団塊の世代、今の50歳代)この映画でもいい加減な感じが出てます。秋吉久美子のほうですけど。日本人は70以上でなければ信用できません。教育が違うんですよ。教育勅語を叩き込まれた世代が私は好きですね。全共闘世代は論外です。まあ世代における私の単なる好みですが。

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