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どちらにしても指名手配で逃げているというのは尋常ではない気持ちがあるんでしょう。逃げるほうは動けるけど、女は動けないケースが多いのでどちらの映画も良い関係になってしまうみたい。まさにどちらの映画も少年時代にトラウマがあるわけで、子供の育て方に問題があるかもしれないし、そうならざるを得ない環境も問題でしょう。しかしこの映画ではあの浮浪者が助けてくれると共に、Aの恋愛も終わりました。現実に戻ったほうが良い、という感じの終わり方ですかね。あまり面白くない映画のような気がします。

4/17

 

「闇の狩人」五社英雄監督 1979年

1747年かあ、イメージないですが賄賂の政治なんですね。

また闇の世界ものっけから手下と愛人に裏切られています。画面は横長で歌舞伎の舞台のような印象を受けます。ですから人物の動きは基本的に左から横切るかたちで、映像とするとアップは良いとこ取りですね。

裏切るはずの用心棒が寸前で裏切った(大将の値踏みをした)から話が面白くなる。うまいなあ、映画ってこうでなければいけない。あとでわかることですがこの裏切った武士の女も裏切って殺された親方が忍ばせておいた女です。裏切ったことでこの女が生きてきます。

田沼意次は北前藩士の動きを注視するべく、幕府の闇のものを忍ばせております。この懐刀は北前藩の藩士で裏切ったものです。おとり潰しになる前に寝返ったわけです。その男が闇のものをお家再興の動きをするものを消すために使うのです。まあ、腐りきった関係ですね。闇のものが腐ってはいないはずですけどね。「恩と義理の売り買い」で成り立っている世界ですから、義理を忘れてはいけないんです。そして、この裏切った用心棒が北前藩士でお家断絶を阻止すべく、間違って親殺しをした男です。かなり入り組んでいるんですが、その知り合いが闇の親方の愛人となっているという具合で、話は一気に進みます。これだけ都合が良ければ物語の進行は早いですよ。お家断絶の復興のためのお世継ぎの居場所をなんと闇の親分の愛人から聞きだします。この居場所は裏切った親分の愛人を拾った男も知っているんです。これで愛人が2人重なるわけで、面白くなりますよ。

「闇の家業、いざとなったら未練がなくたためるのが利点」ということで親分は勝負に出ます。というか恩と愛人(北前藩の人間)への未練です。愛人というほどではなく身投げをしたところ、拾って世話をしているというところですけどね。しかし、勝負をすると田沼の側近を敵に回すことになります。走馬灯を背景に「お前の始末は俺がつける、それまで黙って俺の言うことを聞いていればいいんだ」というせりふ、決心しましたよ。この映画、この走馬灯もそうですが、こいのぼりなどの江戸の風情が背景で役者を際立たせているのです。それはまるで歌舞伎です。結局、北前藩の男と女は死にそうになるのを(身投げなど)男は闇の親分を裏切った一の子分に拾われ、結局は親分に付いた。この恩義が親分にはあるんです。そして女は親分に拾われた。このように二人とも闇の世界の物に拾われて表に戻ろうという話です。しかし結末は、現実は厳しいです。

そして映画の最後も田沼意次の一人がち、というか勝手に滅んでくれたというか、平和な時代の汚職は崩れにくいという感じの終わり方です。

4/18

「中国の鳥人」 三池崇史監督 1998年

笑う。はじめからいい加減な映画だ。会社の隠れた不正の尻拭いの役を知らずに中国へ派遣された男Aがだまされた、やくざもどきに脅されて始まります。中国に出張に行ってから事実を知っても、うらむべく上司同僚は日本だしね。

中国を馬鹿にするのもいい加減にしろというか、ありそうなシチュエーションというか運転手の運転はめちゃくちゃです。ガイドの日本語もめちゃくちゃです。このガイド「ひどい田舎だから、毛沢東知らない爺さんもいるくらいだから」うーん、センスあるせりふだなあ。やはりこの監督はいいですね。変な旅行者もいます。「雲南のあたりって、日本の源流といわれて、羽衣伝説なんかもあるから、日本で見つかった遺跡にある、羽の生えた人間を探しに来た」ということらしい。筋は通っているんです。

またね、役者に過酷な演技を要求してますね。それに本木さんと石橋さんは見事に応えて、楽しいコンビになってます。すべてのシーンが楽しい。スパイスがガイドのぼけ、です。

しかしきのこ食べた時(このシーン良いですね)ガイドが倒れたときはちょっと驚きましたね。置いてきぼり食ったか、と思いましもん。

そして目的地について(景色がすごくいい)鳥人の学校を見つけ、やくざのほうが真剣になります。ここで出てくる村民の役、日本人が何人くらいいるんでしょうか?日本人の源流といいますが、この辺とバイカル湖周辺は本当にあの人に似ていると思い当たる人にいくらでも出会います。そして景色が少し耶馬渓とか高千穂に似ているのは気のせいでしょうか?

やくざのほうが率先して地元とくに飛ぶ鳥学校に馴染んでいきます。そこで先生のおじいさんがイギリス空軍の兵隊だったこと、航空機が落ちたときここで骨をうずめたこと、そして英語で秘伝書を残して行ったこと、などを知ります。おじいさんはここで秘伝書の原典を見つけてどうにか解釈をしていたんです。その翻訳を始めます。そして孫が歌っている歌は恋愛の郷愁の歌ということがわかります。

そのあたりから彼らの順風が吹き始め、すべてがうまくいくのですが、やくざは土地の自然に魅了されたのか同化を始めます。日本が小さく見えてきたんでしょう。あと近代化を阻止したと思っちゃったんです。笑い

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