「ゴースト、ニューヨークの幻」ジェリー・ザッカー監督
この映画って忘れていたりしたんですが、ウィーピー(霊媒師)のところに死んだ霊が直接たずねて行くんでしたね。そうしたらこの霊媒師のほうが犯人より胡散臭いことがわかるなんて、この映画はすごくいいです。先日も「ギャラクシー・クエスト」を観たのですが一度で気に入った映画は何回見てもいいですね。
この映画ははじめから今回も面白いのです、映画館で見たときは感動したでしょう。かなり前のことで記憶はあるのですが、感動の大きさは忘れました。
そして銀行の現金引き出しのシーンは秀逸ですね。その後の一言「天国より私は現金が良い」というひと言は笑いますね。あの寄付をする瞬間もいいなあ。
そして、死んだ彼氏は彼女の愛の深さと愛の重要性を知って二人で最後幸せを分かち合って天国へ旅立つのです。
日本は輪廻転生を信じている人が多いので受け入れやすいと思いますが、だめな国もあるんでしょう。しかし本当に良い映画です。こんな後味の良い映画も少ないし、主演の二人はこういう映画を役者のキャリアで持っていると幸せでしょう。
10/8
「チャオ、マンハッタン」ジョン・パーマー、デビット・ワイズマン両監督 1972年
ずばり来ますよ、心の中に、この映画は。
久しぶりに観ます。「17歳のカルテ」とかを超えて、「GIA」などとともに重いテーマです。
一人のトップモデルの転落の様子が間接的に描かれてます。どういう風に?それは一時消息を絶って精神的にどん底のこのモデルを映画に出演させることで転落前の映像とともに転落後の映像を重ねて観る者に何が起こったのか間接的に想像させるというものです。
実際監督たちもその数年間のモデルの行動は知らないらしい。
その数年の間に豊胸手術もして胸は大きくなって、その胸を隠すこともなく常に顕にしてほとんど隠すということをしません。さらにメイクもあまりしないので美人の素顔に近い顔に接することが出来ます。このあたりになると、いかに精神的なものが外見的なものよりも強いのかということが逆にわかるという、強い逆説的な説得力があります。
さらに美人の素顔という覗き見的な視点、まだ現役人気モデルだったときの周りの環境の異常性などもこの映画にアクセントをつけております。ここでも出てくるのですが、ウォーホルという人物は私は嫌いなのですが、何でこうも周りを不幸にするのだろうか?と思わざるを得ない部分を再認識しますね。
さらにモデルのときとそれほど変わらない素顔。それはいかにモデルという職業が虚構の中にあるものかということを浮かび上がらせます。この素顔はやはり人間なので呼吸をする生きたものです。それゆえ、汚い部分もある、当然の結末なんです。しかしモデルのときの写真ではその汚い部分はきれいに化粧をされて隠されます。
そのギャップは観客に対してのアピールとなります。実際後半の精神的に不安定なときの顔は少し、こちらがお化粧でもしてくれよ、というもの。GIAと違って死因はエイズではないのかもしれませんが、この映画撮影の後、3ヵ月後になくなってます。
失踪した後は、結婚して一般人として暮らしをスタートさせようというときでした。その結婚式の様子は映画の中でも出てくるのですが、平凡かもしれない、その辺にいるちょっといい女という感じでしょうか?
幸せは作られた虚像の世界では得られない、ということ。
苦しい映画です。
10/9
「パピヨン」フランクリン・シャフナー監督 1973年
懐かしいです。これ映画館に観にいきました。当時、スティーブ・マックィーンが落ち目というか年をとり始めていて、最後の良作の部類でしょう。
すごく良い映画です。何で良いのか、それは監督の人生の一本だからです。誰でも人生ひとつは物語があるものですが、この監督はこの映画がそれにあたるのだと思うのです。また脚本も現実のパピヨンな訳で、真実味と男らしい部分がうまくミックスされてます。
さらにそれを引き立てる、映像のよさ、どの部分をとっても写真にしたいくらいです。最高の映画音楽。サントラ買いました。LPで出てすぐでしたね。何回聞いたことか。。
アンディウィリアムスの歌も良かったです(これはサントラに入っていないのですが)。俳優も演技というより絶対的な存在感があり、ダスティン・ホフマンなんか俳優というのを感じさせないドキュメンタリーみたいな雰囲気さえ漂わせる名演技です。そう、この映画はドキュメンタリーな雰囲気が漂う、素晴らしい映画です。内容はシビアですが音楽がロマンティック。はっきり言ってこの時代の映画はかなり観ておりますが、今から思うとかなりいい映画が多いと思います。中間期の変な時代ですがね。SWくらいから現代の映画なんでしょう。
はじめの脱走というか友人をかばっての逃亡と独房。さらには次の本格的な脱走。次に捕まったら独房5年の刑です。
ホンジュラスかどこかに流れ着いてすぐに警備隊に呼び止められ、ダスティン・ホフマン(A)を置いてけぼりにして仲間は撃ち殺されて、現地の犯罪者と一緒に逃げるあたりどうなることかと思いました。さらにAはどうなるのだろうかと心配したモンです。2回目からはそんなこともなく観てますが。しかしそこにたどり着くまでの船旅が二人の友情を永遠のものにしたのでしょう。実にいいシーンの連続です。
そして逃げているうちにパピヨンは吹き矢で撃たれて川に落ちますがそのまま、ある原住民に拾われます。今思うとここのところは話に説得性がないですね。
その原住民たちとの日々も楽園のような日々です。ここでも思うのですが監督はこの地域を知っていると思います。本当に監督のすべてをこの映画に出して、役者も本当に最高の演技をしているのですね。