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しかし男はこのシャーマンと心中する形で犠牲になることで解決するといった意外とロマンティックな解決方法が用意されております。この辺はあの世でもうまく行くのかなあ、と思えるようなきれいな終わり方ですし、役者の存在感は女優二人には特にあると思います。このことがこの映画のイメージを良くしているような気がいたします。夏川さんと栗山さん。特に栗山さんは、多分何も演技していないと思いますが、気持ち悪い雰囲気を持った女優さんでした。

9/10

 

「歌え、フィッシャーマン」クヌート・エーリク・イェンセン監督 2001年

ノルウェーの映画はなかなか観ていないので景色だけでも面白いですよ。景色は田舎そのもの、そして海は時化てます。さらに街に日本企業の看板があるのを見るとなにかうれしかったりもします。

何せ一番北の街らしい。もう北極海に面しているみたいです。そして町は水産業が下火で不景気。その中での合唱隊の話です。

しかし自然の厳しさと貧しさを知っている連中の歌は、それはうまくはないし、日常生活も豊かではないのですが、生活に愛着があるのです。何がいいのか?歌がいい、ということ。

そのことを延々と語る映画なのです。観ていて面白いのか?いいえ。

しかし誰かの発言になにかを感じることは出来るでしょうし、町並み、インテリアなどは参考になるような気がします。私はすごく参考になったというか、まったく私の感性と同じということを認識いたしました。店の照明は基本的に北欧の照明を参考にしているのです。しかし町並みに映る、白夜だけは幻想的ですね。すごく町並みを引き立ててます。

あとは合唱隊の素直な顔が主役なんでしょう。

これらのことはロシアに演奏会に行ったときにわかります。ロシアの国境の兵隊、町並みの貧そな建物。古い工場。これらがすべて対比として映し出されます。

しかし最後に公演でロシアの観客に受け入れられるところで終わります。人生捨てたモンじゃない、という感想。

9/11

 

「沈みゆく女」リン・ストップケウィッチ監督 2000年

「キスト」が意外と好きな映画です。テーマは異常なんですが意外と見ていて気が楽な映画でした。同じモリーパーカー(A)主演です。

ここではモーテルの受付のバイトをしている、欲求不満の主婦を演じております。旦那がナルシストで自分の美しさなどを捨てることが出来ない男で性的関係も淡白です。これがこのAには満足できなくて、体を売ることをはじめます。すると口コミでそのうわさが広がり、お客は次から次に集まってきます。その中にやけにやさしい男がいるのですが、だんだんその男と深みにはまっていきます。ここが盲点で、この男はそれがテクニックでAを駆け落ち、すなわち熱愛と思わせてその気にさせて家を飛び出させて、娼婦にさせるのです。

そのことを知ったAはぎりぎりのところで逃げ出すのですが、帰るところはもうない。しかし、まあ女友達が今までの行為を知っていながら友情を示してくれるというやさしい終わり方をする映画ですね。

確かこの監督、カナダの女流監督だと思ったのですが、女の欲求不満とやさしい女同士にしかわからない友情、思いやりをうまく描いた話だと思います。しかし平凡なストーリーであることは間違いないですけど。

9/12

 

「白鳥の湖」 ベルリンオペラバレエ団 1998年

私たち日本人はロシアバレエ(ボリショイ、キーロフ)、パリオペラ座、ロイヤルバレエと見慣れてしまっているので、どうしてもそれらから比較すると、個人レベルでは落ちます。

ソリストの踊りも、この演目ではそんなに難度は高くはないのですが目立ちません。まあオリバー・マンズというのか王子役はかなりいい跳躍をしております。あとステフィ・シーファーというのかオデット役もやわらかさのある踊りです。コールドの部分はさすがにキーロフなんかの比較ではないです。

しかしバレンボイム指揮のオーケストラの音の鳴り方はまとまりがあり素晴らしい。すごくリズムを強調して踊りやすく演奏しております。金管も派手ではないしね。

本当にオーケストラは最高です。そして映像のアングルが正面と上方からうまく舞台の雰囲気を伝えていて臨場感ばっちりです。私はバレエは一番前で観るのがすきですがまさにその雰囲気が伝わってきます。

そしてプリマドンナSTEFFI SCHERZERは記憶すべきバレリーナです。素晴らしい。年齢は若くはなさそうですが、もう知り尽くした踊りというか、多分得意にしている演目なんでしょう、本当にうまいです。

そして「舞踏会」のシーンの演出は際立ってます。すごくわかりやすいし、ゴシックの雰囲気充分。最高です。楽器のソロもさえて舞台と音楽の一体が図られてます。ここは本当に楽しい演出。

9/13

 

「鬼一法眼(きいちほうがん)」8 勝新太郎ほか監督 1973年

第十五話 小林正雄監督

ちょっと間があきました。ちょうど一週間待ったという感じでしょうか?

そしてドラマもパワーアップしました。もう漫画みたいで面白いです。丹波の国の山鹿(多分この字)の殿暗殺のため老中から賞金稼ぎ8名が雇われ、主人公もその一人です。しかしこの殿様評判がいいのです。そして賞金稼ぎも疑問に思うし、殿様も大江山に逃げます。酒天童子がいるからです。笑い

その通り一人ずつ賞金稼ぎが殺されていきます。見えない敵に対する恐怖が、強いはずの賞金稼ぎの中に充満してきます。

挙句の果て主人公まで罠に嵌ります。これは悪い戦なんで、どうしようもない。しかし賞金がどうしてもほしい主人公です。しかし山の者は強い。それを前に助けた女の子が介抱してくれるのです。

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